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4

 ――――――



 「あー!! ちょ、ねぇねぇ! 結婚したの!?」




 突然声を張り上げたのは、クラス一番目立つギャル系だった女の子。



 相変わらず派手で目立つ感じに苦笑した。



 君とは全く違うその風貌は今でも健在だ。


 


 「え、マジ!? お前そうなの!?」



 

 その彼女のノリにかぶさるように、君の隣にいた奴が身を乗り出して俺の薬指を凝視してきた。



 輝くシルバーの輪。



 薬指の根元で輝くそれは、触れられたくないとどこかで思っていた反面、わざとつけてきたものだ。



 外そうか……と一瞬思ってしまったけれど、妻に誓って妙なことはしたくないとあえて嵌めてきた。




 「結婚、したんだ……」




 目の前に当たり前のように座った君。



 それだけでもドキドキしていたのに、君の漏らした言葉でドクドクと妙に心臓が脈打つのが分かった。



 それに反して少しだけ悲しくなる心。


 

 けど、それはほんの少しで。



 光る薬指を見て、ふっと笑った。



 家で待つ、彼女のことが思いだされたからだ。



 それに気が付いてやっと分かった。



 もう、目の前に座る君は―――好きな人じゃなくて、好きだった人、で。


 完全に自分の中で消化できたことに。


 あのころ、俺は君が好きだったんだってするりと認められた。



 俺だってあれからいろいろな付き合いがあったわけで。



 それで気が付いたんだ。



 好きの始まりに、拘りなんてもっちゃいけないと。



 単純でも、ありきたりでも、なんでも。



 自分の気持ちを軽いなんて思う必要なんてなかったんだって。



 人と比べる必要なんてなかったんだってことに。



 俺は初めて君を好きになって、10年経ってようやく気が付いた。





 ―――好きだったよ、君が。





 そう心で呟きながら俺は 




 「あぁ。つい、こないだだけど」




 ニッと笑って、彼女に答えた。




 君に対する気持ちを、ようやく消化できた気がした。



 どことなく上の空な感じがする君。



 だけど、昔と同じ笑顔で俺を見て




 「おめでとう」




 と言ってくれた。



 あの時。



 卒業式の日に見ることが出来なかったその笑顔を見て、俺は嬉しくなった。




 もう俺の一番は君じゃないけど、それでも君の笑顔はやっぱり素敵だなってそう思った。




 ―――彼女は、どうしてるんだろうか……




 君の笑顔と、そして同窓会というシチュエーションが嫌でも彼女のことを思い出させた。



 幼かった俺が、ずるずると引きずって想っていたもう一人。



 元気だったら、いいなと思う。





 本当に、ただそう思っただけなのに―――





 1次会が終わって外に出てみて、俺は固まった。


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