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ハッピーカモーン 22

 外に出ると、先ほどの激しい雨は止み、太陽が雲の合間から、まぶしく輝いていた。

 (奈々子、奈々子、幸せになあれ)

 拓也は心の中で呟きながら、雨上がりのさわやかな空気を胸に吸い込みながら、店に戻る道をたどっていた。


 拓也が店に戻ると浜本くんがあわてた顔で声をかけてきた。

 「奈々子さん、急な仕事といって、荷物まとめて、出て行ってしまったんですよ。もう来られないから、店長によろしくって」

 「いつ?」拓也は驚いて、浜本くんに尋ねた。

 「つい、さっきですよ。今、追いかけたら間に合うかも」

 拓也はとっさに店を出て、奈々子を追いかけていた。今思えば高校時代のベストタイムと同じぐらいの速さで走っていたかもしれない。10分ぐらい走った頃だろうか、大きなボストンバックを持った奈々子の後ろ姿に追いついた。

 「奈々子!」

 拓也は大きな声で奈々子の名前を呼んだ。

 「拓也・・・」と奈々子は拓也の方へ振り返って答えた。

 拓也は何も言わず、奈々子に近づき、腰を引き寄せ、唇に触れるか、触れないかの軽いキスをした。

 とっさのことで、奈々子は驚いたのだろう。奈々子は手にしていたボストンバックを落とした。

 奈々子は何も言わず、拓也の肩に頭を乗せ、離した両手で拓也に抱きついた。拓也もギュッと奈々子を抱きしめた。一分ぐらいの短い間だったと思う。そして二人は離れた。拓也はボストンバックを拾って奈々子に手渡した。

 「拓也・・・、ありがとう。急にお別れになっちゃった。ごめんね。」

 奈々子はそう言うと、拓也に背を向けて、駅の方向に向かって歩いて行った。 

 拓也は奈々子を黙って見送ることしか出来なかった。


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