表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/24

ハッピーカモーン 19

 「何?」

 「私、隠していたけど、恋人がいるのよ」と奈々子はそういってから顔を赤らめた。拓也は浜本くんに既に聞かされていたから、特に驚かず「うん」と答えた。

 「それも、うんと年下の」

 「それで?」

 「例の事件のことは彼に話せないし、お見舞いに来るっていう彼を電話で断り続けて、とうとう彼がぶち切れたのよ」

 「そりゃあ、そうだろう」と拓也は言った後、「いやいや、相手が山本奈々子であれば、しかたないこともある」と言い直した。

 「彼、まだ大学院生なのよ」

 「え、そうするといくつなの?」

 「今年、26歳かしら」

 「天下の山本奈々子さんの恋人が26歳の若造だと?」

 「まあ、そういうこと。そんな若い男性を好きになるなんて、拓也は驚くかもしれないけど、彼のことは尊敬しているし、本気で愛しているのよ」と奈々子は言った。愛している?10歳も年下の恋人を?拓也はほんの少しばかり嫉妬の気持ちが心に現れた。

 「出会いは?」

 「ロボット選手権。2年前の取材で知り合ったの」

 「それは随分…、オタクな彼なんだね」と少々、拓也は面食らった。奈々子につりあう相手となると青年実業家か医者か、などと想像していたからだ。

 「うん、ロボットに関してはオタクよ。拓也がコーヒーオタクであるようにね」拓也が「オタク」と言ったのが癪に障ったのか、奈々子はそういって、そして続けた。

 「彼に会ってほしいのよ。で奈々子は元気でいてもうすぐ会えるからって伝えてほしいの」

 拓也は少し考えて答えた。

 「俺から一体何て言えばいいんだ?」

 「高校の陸上部の同級生で私に頼まれたと言えば、それでかまわないから」

 「うーん」と拓也は頭を抱えてしまった。

 「あまり考え込まないでよ。何か尋ねられたら、彼女はマスコミに嗅ぎ付けられるのを嫌がっている、とか何とか、適当に答えればいいのよ」と承諾を避ける拓也をはやし立てるように言った。

 「そおかあ?」と拓也は生返事をした。

 「拓也しか頼める人がいないのよ」と奈々子に上目遣いで頼まれると嫌とは言えない。

 「わかった。何とかやってみる、よ」と拓也は頼りなげに答えていた。

 「ありがとう」と奈々子は深々と頭を拓也に頭を下げていた。

 「え、そんな、頭を上げろよ」と拓也は言ったが、

 「本当にありがとう」と奈々子は頭を上げない。

 そんなわけで拓也は奈々子の頼みを断わることが出来なくなった。

 奈々子はすぐさま恋人に連絡したらしく、拓也は奈々子の恋人と3日後の午後3時にナツカワベーカリーで会うことになった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ