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ハッピーカモーン 17

 桜通りの片側の歩道に水色のシートを敷き、小さな置物を売っている露店があった。ウサギや犬や猫などの動物をかたどった愛らしい小さな置物が所狭しと並べられていた。

 奈々子は置物を見つけると「かわいい」としゃがんで、いろいろな置物を手にとって眺めているようだった。

 その中で手のひらに2、3体乗るほど小さな黄色や緑色の様々な色をしたブチの招き猫の焼き物が気に入ったようであった。

 奈々子の様子に気がついたのか、先ほどまで退屈そうに文庫本を読んでいた若い売り子の女性が

 「これは陶器でできているんですよ。職人さんが一つ一つ、色をつけて、同じものは一つもないんですよ」と招き猫の焼き物について説明をした。奈々子はさんざん悩んだ末に、青と赤のブチの招き猫を2つ買い求めた。

 「これは今年の桜の思い出に」と拓也に奈々子は笑顔を向けて言った。

 「でも何で2つ買ったの?」と拓也は尋ねた。

 「1匹だと寂しそうじゃない。それと青は拓也の分。拓也のお店が繁盛しますように。ハッピーカモーン」と奈々子は茶目っ気のある顔をして言った。

 「これで商売繁盛、間違いなしだね」と拓也も答えた。

 奈々子は店に戻ると、2階のダイニングのサイドテーブルに2体の招き猫を仲良く並べ、

 「2匹、仲良くするんだぞ」と招き猫に対して語りかけていた。


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