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「邪魔!」と言ったらピンチになった話

掲載日:2026/03/25

チンピラみてーな男が生き方を変える話です。

「邪魔!どけよ!!」


俺の歩行を邪魔する人間に、そう言って、どついた。

俺の前方にいた女は言う。


「おお……それはすまない。私はお前ではないから、わからなかった」


「思いやりはないのかよ!思いやり!」


女は黒髪で長い三つ編みをした、小柄な少女だった。


「お前は、いつもそういうやり方で他者を意のままに従えているのか?」


女が着ている黒のジャケットに黒のプリーツスカートが、やけに、テラテラと太陽の光を映す。


ジャケットの下に着ている白のTシャツがそれを緩和する。


「あぁ?!」


「喧嘩を売るスタイルはやめておいた方がいい。いつか、痛い目を見るぞ」


そういうと俺に謝らずに、女は去っていった。


「んだよ、あの女……」


俺がそう呟いた直後、前から男がぶつかってきた。


「痛ってーな!邪魔だ!」


「……痛い?痛い?痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い?」


ぶつかってきた男は、明らかに異質な男だった。


「ひっ」


悲鳴を上げると、男が言う。


「人間、この俺に喧嘩を売ったな?殺さない程度に遊んでやろう」


瞬間、体の自由がなくなり、ニタニタ笑った男の片手が俺の顔を鷲掴む。


ミシミシと音を立て、痛みと恐怖がやってくる。


「……!」


声を上げたいのに声が出ない。

その時。


「我が同胞よ。私の顔に免じて、この男を見逃してやってくれないか」


先ほどの女が、どこからともなく現れた。


「お前は……魔物でありながら魔物を殺す者!


俺を殺しに来たのか!」


「いいや。お前は人間を殺していない。だから、何もしない。


けれど、私は人間を傷つけない魔物として()()()()()()

だから、この男は見逃してほしい」


すると、男は少し考えてから俺の顔を離した。


皮膚に残る痛みに、心臓がバクバクする。


「……ふん。お前と事を構えたら面倒だ。人間。

一度だけ見逃してやる。次はない。」


男は煙のように消え、女は最後に俺にこう言った。


「これに懲りたら、人に喧嘩を売るような生き方は、もうやめるんだぞ」



――そんなことがあってから数週間後。


(邪魔だ……)


俺の歩行を邪魔する婆さんが、ヨボヨボ歩いていた。

以前なら邪魔だと言ってどかしてたろう。


だが、あんなことがあってからは、とてもじゃないがそんなことをする気分にはならなかった。


(にしても、ホントにこの婆さん遅いな……よし。)



「……婆さん。おぶってやろうか?歩くの大変だろ。」

「えぇ?!いいのかい?」


俺はガラにもなく婆さんをおぶった。

婆さんは家の近くの公園まででいいと言うと、俺に言った。


「ありがとうねぇ。助かったよ。お礼に、はい、これ!ミカンだよ」

「え……あ、ありがとうよ」


婆さんはお辞儀をして去っていった。

俺はもらったミカンを手で持ちながら、思った。


(今までの生き方は損だったのかもなぁ……)



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