戦後12か月 カナダ ユーコン準州 ①
アラスカを抜けて、カナダへ。
オンタリオまでの道はまだ長いけど、
今日はいつもより休憩時間が長くとられることになった。
ここまでずっと動かしっぱなしだった雪上車たち。
ちょうど全行程の半分くらいらしく、
「このあたりで一回ちゃんと点検しておこう」という話になったらしい。
もしこの先どこかで故障したら──
私たち強化兵三人はまあ何とかなるけど、
整備のグエンのおっちゃんや通信兵ユイさんみたいに主戦闘員じゃない人たちや、
助けに来てくれたロバート中尉達は救助してもらうしかなくなっちゃう。
歩兵隊……はまあ、だいじょうぶかな。うん。
というわけで、整備できる人総動員で大点検開始。
こうなると、私たち前線兵科はあまりできることがないんだよねえ。
「じゃあ私と伍長は周辺警戒してくるわ。危険な動物がいるかもしれないし」
「あ、私も行きます!」
「ナツメはあっちでしょ」
「へ?」
クローディアさんに言われて振り返ると、
グエンのおっちゃんとハロルドさんが手を振っていた。
「おーいナツメ、このエンジンカバー持ち上げてくれ!」
「頑張ってね」
へう……。
「はーい。」
素直に重機の代役します、ハイ。
こういう時はいつも力仕事仲間のセルゲイさんは……と見回すと、
歩兵隊のみんなが中尉と何か話しているところだった。
終わったらそのままフル装備で森の方へ向かっていく。
セルゲイさんは元気いっぱいだけどついてく三人の勘弁してって顔…あ、訓練か。がんばれー
「おーい、よそ見してないで、そのまま保持しててくれよ?」
「あ、はーい!」
っと、お仕事お仕事。
――それから、二時間ほど。
二台の整備が終わって、一休みしていたとき。
森の方から、雪を踏む音が近づいてきた。
「中尉! 点検中すみません! 報告あります!」
歩兵の二人が駆けてくる。いつもの軽さがない、軍人の顔。
「どうしました? なにかありましたか?」
中尉さん……若いせいか、上階級の威厳ってやつがまだないんだよね。
アラスカのみんながベテランすぎるだけなんだけど……。
「はっ、人工物です。
地下に大きな構造物が埋まっています。
隊長とカイルが現場で待機中」
私と隣で休んでたグエンのおっちゃんが顔を見合わせた。
人工物?
こんな場所に?
中尉が尋ねる。
「構造物の特徴は何かありますか?」
「はっ。入り口は人類軍のシェルターの様式です。
内部はまだ確認できておりません」
中尉が頭をひねった。
「このあたりに軍の地下シェルター?
公式記録ではこの辺には存在しないはずですが……
案内してもらっても?」
「了解!」
中尉は軽く振り返って言う。
「整備に関わっていない方で手が空いている方、ご協力をお願いします!」
……やっぱりこの辺の指示の出し方が民間人相手みたいなんだよね。
命令でいいのに。
でも、シェルター……燃料とか、まだ残ってたりするのかな。




