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碧玉の瞳  作者: ふとん
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「……結局、元に戻してしまったわね」

 黄金色の爪を水晶の丸みに預けて、ヘカテは息を吐き出した。

「五回目……。五回目の人生を彼女はこれから辿るのですか」

 長いブロンドの男はヘカテの水晶を見つめて、紫の双眸を細める。

「佐々木歩美というこの少女は、何回人生をやり直せば気が済むのでしょうね」

「ラファエル」

 ヘカテは水晶から黒瞳を移す。

「彼女はいつも同じカードを引いてしまうの。そして引かせているのはラファエル。貴方よ」

「私は見たいだけですよ。それに、今回はアズラエルとイブリースのことがわかりましたからね。ソフィアも帰ってきたことだし、僕の研究は順調ですよ」

「運命についての論理の研究……。つくづく倫理観の薄い男ね」

 ヘカテは肩を竦めてみせるラファエルから視線を外して、水晶をなぞった。

「とんでもない。僕は極めて道徳的ですよ。変化よりも秩序を重んじていますから――――それに、わからないことがあるというのはとても楽しいものですよ。ヘカテ」

 笑うラファエルを無視して水晶は街を映し出す。

 それは、背の高いビル郡。

 その一角にある病院では、一人の女の子がイギリス人と日本人との間に生まれていた。

「今度は無修正で彼女を監視するつもりなのね?」

「僕は万能ではありませんから」

 ラファエルは口の端を上げる。

「ここからは、あなたの自由ですよ」




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