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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

永遠に、君を待つ。

作者: 出雲 想良

ある日、僕は心の中で問いかけた。




「ねぇ、神様。なんで、罪を犯してもいない(みなと)が死ななきゃならないの?」




それは心に抱えた問いで、答えを見つけられないまま、僕の胸の中でくすぶり続けていた。




初めて(しょう)に出会ったのは、何の変哲もない日常の中だった。


僕は急いでいて、翔にぶつかった勢いで抱きしめてしまった。


慌てて上を向いたとき、僕の目に映ったのは、鋭い眼差しを向けてくる翔だった。


普通なら怖いと感じるはずなのに、その瞬間、何かが僕の心に引っかかった。


翔のその目に、僕は不思議な魅力を感じたからだ。




その日から、僕は翔の影を追い続けた。


だけど、自分の感情が翔に届くことなんて、到底ありえないと思っていた。


自分なんかが翔に好かれるなんて、夢のまた夢だと。


けれど、運命は僕を驚かせることを決して止めなかった。


翔はまるで奇跡のように、僕の心の中に入ってきたのだ。




それからの僕たちは、互いに惹かれ合い、恋に落ちていった。


初めて感じたこの感情は、胸が高鳴るようなもので、二人で過ごす時間がとても短く感じられた。


日常の一瞬一瞬が、まるで永遠に続くように思えた。




だけど、その奇跡は突然終わりを迎えた。




あの日、湊は車にはねられて命を落とした。




僕が湊のそばに駆け寄ったとき、湊は息も絶え絶えに涙を流しながら、僕に向かってこう言ったんだ。




「もう一日だけで良いから、翔と一緒にいたい。


死にたくないよ。


こんなに翔のことを愛しているのに。


翔だって、僕を一番に愛してくれたのに…。


ごめんね、翔。」




湊のその言葉は、胸が張り裂けそうになるほどの痛みを僕に残した。


まるで、朝の霧が太陽の光に溶けて消えていくかのように、湊は僕の前からいなくなってしまった。


湊のその願いは、儚くも霧の中で消え去ってしまったんだ。




今、僕は一人の老人になり、湊との思い出を胸に生きている。


湊と過ごした日々がどれほどの意味を持っていたのか、今でも僕の心に鮮明に残っている。


湊は何も悪いことをしていない。


それでも、湊との日々は終わりを迎えた。


しかし、湊の微笑みは心の中で永遠に生き続けている。




湊が待っている場所へ、僕はやがて逝くことになるだろう。


その時まで、湊はきっと霧の向こうの光った世界で、僕を待っている。


そして、僕もまた、湊のもとへ逝く日を静かに待っている。




「もう少しだけ、待っててね。」




そう心の中で彼に語りかけながら、僕は湊との再会を心から願っている。




二人で共有した夢は、やがて霧のように薄れていった。


湊が望んだ「もう一日だけ」という願いは、朝の霧の中で消えていった。


だけど、その霧の向こうには、まだ湊がいると僕は信じている。




その朝、僕は何かを感じていたんだ。


心の奥底で、明日が来ないような予感がしていた。


まるで時間が静かに止まりかけているかのような、そんな不思議な感覚だった。


だから、半分は分かっていたんだ。


嫌な出来事が起こるって。


けれど、その現実を完全に受け入れることなんて、到底できなかった。




一瞬の出来事だったのかもしれない。


でも、その一瞬の中で、僕は翔に愛され、誰よりも幸せだったんだ。


僕の家庭には、僕を本当に愛してくれる人なんて誰もいなかった。


だから、ずっと心の中で願っていたんだ。


いつか僕を心から愛してくれる人が現れてくれたらいいのにって。




翔はその願いを叶えてくれたんだ。


本当に、奇跡をありがとう。


君と出会えたことが、僕の人生にとって最大の贈り物だった。


だから、これからもずっと、僕は翔のことを待っているよ。


霧の向こうで、翔と再び会えるその日を心から願いながら。

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