光
たまにこういうの書きたくなる。
月が太陽に照らされて輝くのならば、
その太陽がなくなればどうなるのだろう。
私にも太陽があった。姉という太陽。
姉は私に輝き方を教えてくれた。
メイクもオシャレも、人との接し方も。
私は姉が大好きだった。
だけど、私は目の前で姉を失った。
人はいつか死ぬ。そんなことは分かっていたけれど、
こんなにも突然のことだとは思わなかった。
死因は事故だった。
ちょうど姉とのショッピングの帰り道。
「今日は楽しかったね。」
そんなデートの帰りのような会話をしている時だった。
居眠り運転をしている自動車に轢かれた。
私が代わりに轢かれていればと何度も思う。
死にたい者が生き、生きたい者が死ぬ。
この世は理不尽だ。そんな理不尽のせいで私の世界から太陽は失われた。
私の心はどこまでも暗闇。どこにも光はない。
私は1人で輝くことのできない月。
それを理解したのは姉を失ってからだった。
「これからどうしたら良いのか」
そんなことばかり考え、生きることへの興味も尽きかけていた。
そんな時、母は私に一冊のノートを手渡した。
私の知らない姉のノート。
そこには姉の苦悩と努力が詰まっていた。
私の前ではカッコいい姉でいようとした事。
そのためにメイクやオシャレを学んだ事。
中学2年生の時にいじめられていた事。
そのいじめを耐え切った事。
そんなそぶりを見せたことは無かった。
姉について全て知っていると思っていたけれど、それはほんの一部に過ぎなかった。
姉は元から太陽だったのではなく、努力して太陽になったことを知った。
また姉に照らされた気がした。
私は月だ。太陽がなければ輝けない。
でも、太陽の記憶が、与えてくれた光がある限り光り輝くことができる。
その光がある間に、太陽の記憶が薄れる前に、
自らが輝けるよう努力し、輝く方法を見つければ良い。
この世は理不尽だが、この世に不可能は無い。
努力しなかった者には奇跡は訪れない。
奇跡は努力の先にしか存在しないのだから。
だから私は姉を目指して努力を続ける。
私は姉のようになれているだろうか。
誰かを照らす、太陽になれているだろうか。
だけど姉になることはできない。自分は自分だ。
私の中で姉は太陽だ。ならば私は恒星を目指す。
太陽になれなくても、自ら光り輝けばいいと気づいたから。
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