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1話

 中学での茶番から俺向井間は高校を進学していた。

そこでいじめを受けたことへの同情で、とある高校側から是非迎い入れたいと誘われた。

面倒な受験が無いので承諾した。

さて、本音はどうだか。



 卒業式中断から翌日。


「蔵元さんお疲れ様です」


「いやぁとぉるくん。本当に骨の折れる仕事だったよぉ。卒業式の例の計画の段取りとは別にやらないといけないからねぇ」


「馴れ馴れしいのは変わりませんね」


「それが僕の美徳さ」


 マスコミ関係の蔵元と話しをしているのは当然訳があった。

後ろだてにこの男を利用するためだ。

手段はそれとして、目的は高校の中でいじめの素質がある高校の品定めが半分、残り半分は俺の未来の為だ。


「本題に入りましょう。いじめが起きてから10年以上いじめが無い所はありましたか?」


「三つに絞られたね」


「その三点の学校名お願いします」


「○市第三東雲高校、○市前中西高校、青空高校」


「…?青空高校。地名は無いんですか?」


「うん。青空高等学校が正式名称」


「…。そこにします」


「どうして?」


「ここら近辺の学校名はたいてい地名が使われます。なのに、ないというのはそれ相応の理由がある。予想として、その学校がいじめが起きた次の年くらいに名前を変えているとか。学校崩壊したくらいの惨状で、このままでは、名前が影響で学校事態が潰れる。こんな所でしょうか。そもそもその前に学校が運営出来なくなるとは思いますが」


「おお。言ってることだいたい正解だよ。青空学校、そこでは20年前に生徒が身を投げて自殺したんだよ。校長もその責任でやめちゃって、この学校をどうするかって所で、ある若い教師が校長になりたいと表明したんだよ。彼の名前は舞川隼輝(まいかわとしき)。そこで学校名を変えてやり直そうと提案したんだ。青空というのは清らかで見上げてしまうものだ。だから下ばかり見ずに歩んで行こうって意味合いでつけたのだと。そして青空高校という名前に変わった。結構ニュースで有名になっているから気になったら調べるといいよ。青空高校ニュースとかですぐに出るよ」


「出来すぎた感動ストーリーですね。さぞかしその教師は生徒に好かれていたのでしょうね」


「うん。生徒の後ろ楯があったから校長になれたと言っても過言ではない」


「絶対腹黒い人ですよね」


「酷いなぁ。違ったらどうするの? 罪悪感で途中で止めるとか止めてよ」


「まさか。その人が良い人だろうと悪い人だろうと関係無いですよ」


「とおるくん、性格悪いね」


「否定はしませんよ。学校の背景でこれ程、後で利用出来そうなのはそうそう無いですから。それに、やっとやりたいことがわかった気がしますから」


「へぇ、それじゃあ大役だね。僕は」


「そうですよ。ちゃんと悲劇の人に仕立て上げて下さい」


「ほーい。それじゃあ」



 話し合いを済ませてそれぞれ場所を移動した。

本当にとぉる君と共にいると、面白い。

刺激を求めてフリーのマスメディア職に就いたが、日常というのものは退屈の連続だった。

そんな中出会った彼は普通の人とは違った価値観がある。彼のおかげで特ダネは自分から作らないいけないと思うようになった。

ああ、これから面白い事が続くと確証も無いのに、考えずにいられない。


「! ?」「! ?」


あっといてて。誰かとぶつかった?


「悪い悪い。余所見していた」


「いえいえ。私こそぶつかってしまいすみません」


「それじゃあ、失礼」


「あっちょっと待ってください。これ、落としてます。! ?」


「あ、本当だ。ありがとうって、ん?」


返してもらおうとして手に力が入っているようで、普通の力で取れない。


「あの、これ生徒手帳ですよね? すみません、学生じゃ無いですよね?何でお兄さんがこれを?」


 やっば、まず。とぉる君の生徒手帳借りていたんだ。

この娘に、全容教えるわけにもいけないよなぁ。

ややこしい事になったなぁ、よし、落とし物とし拾ったと誤魔化さそう。


「えっとね、「この方、透さんの事! 私探していたんです!お兄さん心当たりありますよね!」


あれ? 意外な展開。でも、うーん。


「ごめんね。これは拾ったもので、交番に届けようかと思っていたんだ」


「そ、そうだったんですね…。小学校の頃にいじめられた時に助けてくれたので恩返ししたかったので、つい」


小学生の事は向井間君にも事細かに聞いている。

これはもしや…。


「いやいや。それは、残念。でもへぇ~、で、その子には、なんて呼ばれてたの?」


「あ、あの芋です」「うわ、ひっど」


「けど、本当にいい人なんですよ。それは、間違いないんですよ」


わぁーお。運命じゃん。


「あはは。ごめん。さっきのは、嘘」


「え?」


「素性は詳しく言えないけど、向井間君には、雇われて協力しているって感じ。僕は蔵元。君は信用できそうだから伝えとく。とぉるくんは青空高校ってところで出会えるよ」ニカッ


「は、はい。ありがとうございます。私は玉川です」


 そう言って去った彼女の足取りは軽快なものだった。

うーんキューピッドになっちゃったなぁ。

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