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ある日、僕らの落ちこぼれクラスに『世界最強』がやってきた  作者: 動物園と海
設定資料 (ネタバレを含みます。興味ある方のみどうぞ)
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学年集会 防衛戦の意義

作者が自己満で作った設定資料的な感じのものです。

本文を読んでないと内容が分からない上に別に読む必要もないものなので、興味のある人以外は飛ばしてください。興味のある方は「学年集会 防衛戦のルール説明」の後にでも見てみてください。

では、防衛戦の意義を説明する。

 

まずは防衛戦の形態の意義ついて説明する。即ち、チームごとに分かれて防衛と攻撃を行うことの意義についてである。最初に説明しておくと、市街地における対能力者戦闘が諸君らの将来の主な任務――とまではいかないが、多くの者にとってよく任されることとなる任務となるからだ。


 さて、ここで歴史の話をしよう。特殊能力者が初めて戦場に表れたのは第三次世界大戦のさなかであった。世界に先駆けて能力者を軍隊に組み込んだのは超大国アメリカ――次いでそのほかの各国も特殊能力者を自国の軍隊に取り入れ、各地の戦線に特殊能力が飛び交うことになった。黎明期においては、能力者は戦車や戦闘機の代わりとなるのではないかと考えられていたようで、次世代の「兵器」としての役割を期待された。

しかしここである問題が発生した。それは軍隊に組み込み、軍人としての教育を受けたはずの彼らによる――重大な命令違反が続出したことだ。ここで補足しておく必要があるだろうが、これらの命令違反は基本的には戦況に良い方向に働き、損害も軽微だった。しかしながら、この相次ぐ特殊能力者の命令無視に、各国の軍上層部は彼らを軍隊の一員として扱うことに対する忌避感を感じだしていた。と言うよりは、持て余していたといった方がいいだろうか。それが良い方向に向いているとはいえ、コントロールできない兵器などいつ自分たちに牙をむくことか分からない。そのような恐怖があったのだろう。

ちなんでおくと、現在はこの現象を、特殊能力者の持つ不平等性の観点からある程度説明ができるようになっている。原理については諸君らも直に習うであろうから割愛するが、諸君ら特殊能力者――特に強い能力者において、規則や法による支配は困難であることが知られている。そのため、諸君らは国連軍において、単体、あるいは4人程度の少人数の班で運用され、どの指揮系統にも属さず、特殊任務を主に与えられる。

 これが今回のチームの上限が8人である理由である。諸君らは主に4人4人に分かれて行動することになるだろうが、これが最もよく使われる部隊の単位である。


 さて、次に諸君らに与えられるであろう特殊任務について説明しよう。

まずそれを説明するうえで――諸君らB~Dランク程度、即ち一個中隊から複数班程度の戦力を持つ能力者の利点と弱点を考えてみる。

 弱点は明確だ。それは諸君らがいくら強かろうと――所詮は一個人に過ぎないところである。故に、同等程度の火力を持つ通常軍と比較してあまりにも脆い。もちろん諸君らは非能力者よりはるかに頑強な肉体を備えてこそいるが、いくら高位の特殊能力者であろうと――例えば、基礎能力の高さだけでCランク程度の認定をされている超人であっても――全く無防備な状態に戦車砲が直撃したら、まずその戦闘能力を喪失するだろう。むろん、高位の能力者になればなるにしたがって、あらゆる事態へ対処できるようになるはずだが、仮にそれを防げる手段を有していたとしても、数に押し切られれば対処も困難になるだろう。また、個人故に大きなフィールドを制圧するのにも向いていない。

 そのため、特殊能力者は開けた場所での戦闘には向いていない。むろん作戦によっては野戦に使用されることもあるが、そのような任務は例えばA級程度の極めて戦闘能力の高い特殊能力者が請け負うものである。

 次に、利点について考えてみよう。利点をあげればきりがないが、代表的なところを言えば、機動力が極めて高いところにある。特にいえば、市街地や密林地帯など入り組んだ地形においても、極めて高い機動力を有する。これは市街地戦闘において大きなアドバンテージとなる。

 市街地において、諸君らは無敵の存在と言える。諸君らに対して有効な高火力の兵器は、その火力の高さ、大きさや遮蔽物の多さなどからあまり有効でない。そのため、基本的には敵は歩兵部隊となるわけだが、銃器で武装した複数人規模の部隊であれば諸君らは能力の特性にほとんど関係なく、その制圧が可能である。

 その有用さから第三次世界大戦末期や戦後において、特殊能力者は市街地への攻撃に使用されてきた。しかし当然と言うべきか、そのカウンターとして防衛側にも特殊能力者が配備されるようになると、攻撃側の優位はたちまちに打ち消されることとなった。特殊能力者に対して有効なのは、また特殊能力者。そうして市街戦において特殊能力者同士の戦いが行われるようになり、特殊能力者において対特殊能力者の性能が重視されるようになった。


 防衛戦が行われる意義として、このような背景がある。本来であれば通常軍の援護を含めた戦闘が行われるわけであるが、それらは今回考慮しない。市街地における純粋な対特殊能力者性能を測るため、防衛戦が行われる。



 では次に、アルタレルムを用いて訓練を行う意義について説明する。

 勘違いされやすいことであるが、これは必ずしも対能力者戦闘においての自身の技術を向上させるために行われているわけではない。これは、アルタレルムにおいて、身体情報と精神情報の分離が行われることが理由である。

諸君らの能力は脳内における認識によって生じるものであるが、そこには少なからず身体的な情報による影響が存在している。手を突き出したり、対象を視認したり、もしくは体を動かして能力を発動させる者たちがいることからも、これは理解できる。しかしながらこうした身体的な情報に関しては、身体と精神の両方があって成り立つものであるために、精神のみに影響を与えるアルタレルム世界においては十分に訓練されない。むろん、精神の訓練は行われるわけであるから全くの無駄という訳ではないが、アルタレルムにおける訓練を行いすぎると、実際の身体操作と想像の身体操作の解離が激しくなってしまう恐れがあるために、推奨されない。故に、本訓練は能力の向上を狙った訓練ではない。


 では何なのか。

 それは――人を殺せるようにするための訓練である。


 先にも述べた通り、諸君らは単体あるいは少人数で敵地に侵入して戦闘を行うことが求められる。周り四方が全て敵と言う状況、そんな中で必要になってくるのが理性的な判断である。しかしながら、ただ引き金を引く、あるいはボタンを押すだけで攻撃のできる通常兵と異なり、諸君らは自身の認識をトリガーとした能力を用いて――人によっては感覚の通った自らの体そのものを用いて、攻撃を行う必要がある。そのため、精神的なショックも多大であるから、攻撃の躊躇や攻撃後の硬直などが起りやすい。それは諸君らにとって致命的な隙となりかねない。

 故に、アルタレルム――第二の現実を用いて訓練を行う。同級生を躊躇なく攻撃できるようになれば、いかなる敵に対しても常に理性的な判断を下せるようになるであろう。

諸君らが防衛戦を行っていく中で、同級生との交戦を経験し、友人と戦うことに嫌悪の感情を抱くものも出てくることだろう。しかしながらそれ自体がこの訓練の目的であるわけなので、諸君らにはそれを乗り越え、一人前の特殊士官に成長することを期待したい。


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