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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

美しい人から見た、美しい人について

掲載日:2023/02/17

 

 綺麗って言葉をすごくよく聞く。

 たぶん、自分に向けられていることが多いと思う。

 目線で訴えられているように、感じることもある。乱反射してチラチラチカチカしている時もあれば、包み隠さず具がそのまま投げつけられたような生々しい時も本当にある。嬉しく受け取れる時って意外と少ない。

 僕の数センチ先に手を置いて自分の指の先を触っているこの人は、「綺麗だ。」を目線で出してしまう人だと最近わかってきた。目が色々なものを映している、本人がそれを知っているのか無意識なのかも僕は知らない。

 ほら今、彼女の睫毛がほんの少し動いて多分僕の服の袖辺りを見ている。

 見られている方の袖を少しまくり上げる。

 彼女は少しだけ居住まいを正して、目線を、






 僕の肩の辺りにまで、引き上げる。少し落ち着きない足が動く、僕と彼女どちらもだ。

「 当たった? 足。ごめんね。」

「 いいよ。」

 少し肌寒いテラス席のど真ん中、数人で絶え間なく話すもう二時間も。その間も、降ってくる褒め言葉に相槌。席を立てないなんてことはないきっとお互いに分かっているまま動かない。

「 今が一番、楽しい時だよね。」

 全く関係がない話題で誰かがそう言う。僕は一度だけ頷いて彼女の目線を探してみるけれど、こんな時は決まってそっぽを向いてお話ししていることが多いのだ。雰囲気だけが優しい彼女のいつも何かが混ざり合った色味の声が、その人にぴったりな言葉をシャボン玉みたいに吹いて時間差で贈り届けているような。要は、甘ったるい。


 どうしてそんな風に話すようになったの?


 髪を伸ばしているのはどうして?


 僕のこと気に入ってくれているよね?


 見た目だけの話だとしても。

 最近の僕、思考、最後に思うこと。

 この繰り返しだ。恋ではないのだ。

 はじめて自分で知ったんだと思ってる、この女の子は綺麗なんだもの。

 僕は美しい人を食べたい。

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