サイドストーリー~アテナ~
少し時間が戻ります。
一章の間の話です。
アタイの名はアテナ。
冒険者を生業にしている。
団長と知り合ってから三年くらいか。
生まれは多分この国だと思う。
だが、冒険者登録したらすぐに国を出た。
そして、各地を放浪していた。
そして、久々に王都に帰ってきた。
そこで青臭い餓鬼と知り合うこととなる。
それが団長だ。
正直、他の皆みたいな劇的な話はない。
ただ、ある時に救われ、成り行きで入っただけだった。
もちろん、今では良かったと思っている。
さて、そんなアタイは今とても悩んでいる。
それは、団長の家に行った時に起因する。
ある人と仲良くなったのだ。
その人の名前はハルカさんという女性だ。
団長の初恋相手らしい。
アタイとは違う、貴族のお嬢さんだ。
ただ、話してみると楽しかった。
見かけによらず男勝りで、馬が合ったのかも。
そして、そのハルカさんに友達になってと言われた。
アタイはただの平民だ。
いや、それどころがスラム街で生まれ、親の顔もしらない。
そんなアタイが友達でいいわけがない。
まあ、ただの社交辞令だと思うけど。
ところが、そのハルカさんから手紙が届いた。
今度いつ遊びに来ますか?と。
アタイは焦った。
社交辞令じゃなかったのかと。
そして、迷った。
どうしたらいいのか……。
迷った末に、団長に相談した。
そしたら、自分家に遊びに来る感じで来れば良いと。
なるほど、確かに団長の前の住処にはよく行っていた。
まあ、正直全然違うだろ!?と思った。
だが、気持ちは少し楽にはなった。
アタイは勇気を出して、手紙を送った。
字も汚いし、文章もよくわかんないし、大変だった。
あんなんで良いのか?
だが、返事はすぐに来た。
しかも、物凄い綺麗な封筒。
そして、綺麗な字で書かれた文字。
丁寧な言葉遣い。
アタイは本当に仲良くしていいのか?
そして、いよいよ当日になった。
アタイは勇気を振り絞って、門の前まで行った。
何か言われるかと思ったが、特になかった。
ユウマ様から伺っておりますと。
ああ、あいつも貴族なんだよなと、今更思った。
団長はそんな感じしないからなー。
そして、セバスという執事に案内され、部屋に入る。
そこは別館の奥の部屋で、人気もない。
どうやら、団長の言う通り、ハルカさんは複雑な立場のようだ。
そして、ハルカさんと話をした。
団長の小さい頃の話や、自分のこと。
アタイは団長と出会ったころや、自分のこと。
アタイがスラム街出身と言っても、顔色一つ変えなかった。
ああ、もしかしたら友達になれるかもと思った。
そして、話は意外な方向に進んだ。
なんと、アロイスがタイプだと言うのだ。
これには、アタイも驚きを隠せなかった。
そして、爆笑した。
だって、あのアロイスだぜ?
女が泣いて逃げ出すと評判の。
ハルカさんは膨れていた。
そんな仕草も可愛くて、羨ましいと思う。
アタイは可愛くないし、口も悪いしね。
ハルカさんは変わった人のようだった。
表情がコロコロ変わる。
アタイはいつのまにか、敬語も忘れ、楽しんでいた。
そして、アロイスについて色々聞かれた。
どんな服装が好みとか、どんな髪型が好きかとか。
正直、アタイもよくわからない。
だが、できる限り答えた。
そして、ハルカさんは爆弾を放つ。
アタイに好きな人いないの?と。
アタイは焦った。
そんなこと考えたことない!
アタイはこの見た目だから。
酒を頼んだら、止められる。
夜歩いては、補導されそうになる。
変な趣味の男に狙われてる。
なので、そうゆうのとは無縁だった。
そしたら、ハルカさんは言った。
イージスさんと仲良さそうだけど?と。
最初、何を言われたのか、理解できなかった。
だが、理解した時、叫んでた。
そんなわけねえ!と。
ハルカさんは驚いた様子だ。
アタイは謝った。
怒鳴って悪いと。
そして、一度その話は終わりにした。
ハルカさんが上手くやってくれた。
ハルカさんはとても気配り上手で、素敵な人だ。
団長が惚れるのも無理はないな。
そして、帰る時間になる。
すると、ハルカさんがに頼まれた。
ハルカと呼んでくれないか?と。
そして、また遊びに来てくれる?と。
アタイは迷った。
呼び捨てにしていいのか?
また遊びに行っていいのか?
アタイは勇気を出して言った。
ハルカ、また来るから遊ぼうぜと。
心臓がバクバクしている。
ハルカは満面の笑みを浮かべていた。
手を握られ、ブンブンされた。
とても嬉しそうで、アタイも嬉しくなった。
アタイも友達いないからな。
ホムラとシノブとは、仲良いとは思う。
だが、あくまで仲間という認識だ。
友達とは違う。
こうして、訪問は無事終わった。
アタイは帰り道を歩きながら、考えていた。
イージスかぁ………いやいや。
まあ、悪い奴ではない。
むしろ良い奴だ………いやいや。
イージスは泥臭いが、良い腕をしている。
本人曰く、最初は酷かったらしいが。
団長に心酔している、立派な男だとは思う。
家族思いで、仕送りもしているしな。
………いかんいかん!アタイは何を考えている!?
ハルカがあんなこと言うから、意識しちまう!
良い父親になりそうとか、大事にしてくれそうとか。
まあ、よく考えてみればあっちが嫌だろうな。
アタイみたいな可愛くない女は。
アイツなら、そのうち良い女ができるだろう。
まあ、それでも……。
どうしてもと言うなら、考えてやらんこともない。
アタイは帰り道、そんなことを思った。
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