貴族とは
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俺とバラルに気づいたスレイさんが近づいてきた。
「あ!ユウマ殿!お疲れの所、申し訳ありません!」
「いや、そちらこそお疲れ様。皆のおかげでゆっくり眠れたから、もう大丈夫。ありがとう」
「いえ!私にはこれぐらいしかできませんから」
「それが大事なんですよ。自分ができることをやる。これができる人は意外に少ないのですよ。少なくとも俺はスレイさんに助けられましたよ?」
「ユウマ殿・・・ありがとう。ではユウマ殿にしかできないことを頼んでよろしいですか?」
「ええ、もちろん。ここからは俺に任せてください。ですが頼みがあります。もし奴らが大人しく縄につかなかった場合は強行手段にでます。なのでスレイさんは右側を頼みます。俺が手を挙げたら合図です。バラルさんは左側をお願いします」
「わかりました!」「任せとけ!」
俺はバラルさんとスレイさんが配置に着くのを確認し、、人混みに近づいていく。
俺がきたことに気づいた兵士や市民達が道を譲る。
すると息子とその取り巻きがいた。
「お、なんだお前は?見ない顔だな」
「俺の名はユウマ-ミストル。準子爵だ。お前こそ誰だ?」
「は!準子爵如きが生意気な!俺様の名はガラン!口の利き方に気をつけろ!俺様はこの街の伯爵様だぞ!?」
俺はこいつは何を言っているだ?と思ったが、そのまま話を続ける。
「いつからお前が伯爵になった?まだ後継者は決まっていないが?」
「は!そんなもん決まってらぁ!セインの奴なら逃げきれずに、自分の母親と一緒に魔物にやられちまったぜ!つまり残った俺様が領主ってことだ!」
こいつ弟を見捨てて逃げ出したなと思った。いや、それどころか囮にした可能性もある。
「その前に、お前は街の市民に謝ったのか?」
「は?何言ってんだ?なんで俺が市民如きに謝らなければならない?」
俺は沸々と怒りが湧いてくるが、我慢する。
「それはお前が守るべき市民を見捨てて逃げ出したからだ」
「は?市民がいくら死のうが関係ないだろ?大事なのは高貴な血を持つ俺様が生き残ることだ」
「その高貴な血とはなんだ?」
「はん。そんなもん貴族の血を引くことだろ?お前もそうだろ?」
俺はとうとう我慢が出来ずに叫ぶ!
「ふざけるな!!貴族とは民の安寧の暮らしを守る者!確かに貴族は偉いかもしれない!高貴な血かもしれない!だがそれは!守るべき民を守って初めて言えること!自分の街の市民を見捨てて逃げたお前にその資格はない!!」
「そうだ!そうだ!」「お前なんか帰れ!」 「ユウマ様は見ず知らずの私達を守ってくれたぞ!?」
「なんだ!?てめえら!後で覚えとけよ!俺が正式に伯爵になったら酷い目に合わせてやる!」
すると市民達は黙り込んでしまう。
俺は怒りを落ち着かせて考える。
俺はこのままではラチがあかないと思った。こいつは自分を既に伯爵だと思い込んでいる。
というか、馬鹿なのか?街を見捨てた奴が伯爵になれる訳なかろうに・・・。
自分に都合のいい考えしかできない、典型的なクズ貴族だな。
だが、このままでは流血騒ぎになりかねん。
俺の体調も万全とは程遠いので、全員無傷とはいかないが・・・。
たが、仕方ない。強行手段しかないか。
「おい、クズヤロー」
「あぁ!?お前今なんつった!?」
「クズヤローって言ったんだよ。守るべき市民を見捨てるどころか、酷い目に合わすとは・・・そんな奴はクズヤローで十分だ」
「な!?貴様さっきからうるせえな!お前には関係ないだろ!?」
「馬鹿言うな。関係あるに決まっているだろう。彼等はこの国の住人だ。そして俺は国王様より準子爵の爵位を承ったユウマ-ミストル。先程も言ったが、市民を守るのは貴族の義務である。何故なら市民の納める税金によって貴族は生かされているからだ」
「は!?今更そんな建前守る奴なんかいねえ!馬鹿か!!」
「ああ、そうかもしれない。確かに今は、お前みたいな貴族が増えているのも事実。だが、だったら俺は馬鹿でいい」
ガランは俺を気味が悪そうに見ている。理解できないと。
俺は、もうこいつにはなにを言っても無駄だと思い、手を挙げようとしたその時、声が轟いた。
「ユウマ!!よく言いましたわ!!」
なんと馬に乗ったホムラが現れた!
「ホムラ!?どうしてここに?」
「そんなの皆が心配だったに決まっているじゃない!良かった!無事で!」
そう言って俺に抱きついてきた。俺は不謹慎にも思った。めちゃくちゃいい匂いするなと。
いかんいかん。今はそういう場合ではない。
「ん?無事で良かった?誰かに会ったのか?」
「ええ、平民用の門のところの兵士に聞きましたわ。全員無事だと」
「そうか・・・。心配かけて悪かったな。ありがとな」
「べ、別に!貴方の心配してたわけじゃないんですからね!?」
するとまた馬が一騎駆けてきた。
「何言ってるんだか。ユウマが!ユウマが!とずっと言ってたくせにな」
「シグルド!?なんで言ってしまうの!?」
ホムラは俺に抱きついたまま、俯いてしまった。
「叔父上!来てくれたんですか!?」
「ああ、だが無用だったようだな。オーガジェネラルを倒したそうだな?強くなったじゃねえか!」
叔父上は近づいてきて、俺の背中を叩く。
俺は叔父上に認められた気がして嬉しかった。
「いえ、皆の力のおかげです。自分1人では倒せませんでした」
「はは!いいじゃねえか!それも含めてお前の力だ!こうして俺やホムラが来ちまうくらいにな」
すると乱入者が叫んだ。
「なんなんだ!?お前らは!?人の街にズカズカと!」
俺は何か言おうとするとホムラが前に出た。
「申し遅れましたわ。ワタクシの名はホムラ-バルムンク。公爵令嬢にして国王陛下の姪ですわ」
「な!?公爵令嬢だと・・・しかも国王様の血筋・・・」
さすがのこいつも強くでれないらしい。まあ、それはそうだ。
先程の2段階下がるってやつは公爵家にだけは当てはまらないからな。
公爵家の者はたとえ子供であっても爵位が下がることはない。
まあ、絶大な権力を持ち、貴族の頂点にいる公爵家たる所以だな。
「先程の貴方の言葉は聞きましたわ。貴族の風上にもおけない発言見過ごせませんわ」
「これはこれは貴族の頂点にいる公爵様とは思えぬ発言だ」
「いえ。先程ユウマが言ったことが本来正しいのです。それが近年おかしくなっていることを、国王様は嘆かれております。よって、貴方の振る舞いは、貴族として正しくないので身分を剥奪します!」
「な!?ふざけんな!さっきから小娘が偉そうに!なんの権利があってそんなことになる!?」
ホムラは持っていた書状を開いて、ガランに見せつけながら朗読する。
「其方らの身勝手な振る舞いは、もはや見過ごすことはできない!たった今より、ここは王家直轄領となった!そして残った貴方達には責任をとってもらう!王都に連行し、尋問を受けた後に斬首とする!」
「はあ!?なんで俺らがそんな目に!?」
「当たり前ですわ!貴方達は自分の欲望のためにオーガを殺した!それどころか、新たなオーガを呼び寄せ、自分達だけで逃げ出した!許されることではありませんわ!恥を知りなさい!」
ガラン達は下をみて俯いている。
「何より、あのままユウマ達がいなく、この街が蹂躙されたらどうなります?そのまま国全体に広がっていたでしょう。その場合の犠牲者の数は言わなくともわかりますわね?」
「う・・・うるせー!!!ふざけんな!!平民なんざ放っておけば増えるんだからいいじゃねえか!おい!お前ら!やってらんねえ!行くぞ!」
ガラン達は逃げ出そうとする。
ああ、馬鹿だなぁ。最強にして最恐が目の前にいるのに。
「おい、ここを一歩でも動けば斬る」
「おい、貴様じゃ・・・ぐはっ!」
「なんだおま・・・ぐぇ!!」
「な、なんなんだよ!おま・・・ごはぁ!」
あっという間に3つの死体ができた。
「な、な、なんだ!?お前は!?」
ガランは恐怖で震えている。
「俺か?俺の名はシグルド。ただの剣聖だ」
「なに!?あの永世称号を持つシグルドだと!?」
ガランは膝から崩れ落ち、放心している。
他の連中もガタガタと震えている。
ふう、どうやら街の人や兵士に犠牲者を出さずに済んだな。
叔父上が来てくれて良かった。
そこからは早かった。まず、放心した奴らを縄で縛り付ける。
そしてあろうことか、高級レストランで飲み食いする領主一家の母親や娘を捕まえる。
これが散々喚き散らして大変だった。救いは全員がクズで良心が痛まないところか。
おそらく扇動した母親は死刑。
娘達は死刑にはならないと思うが、修道院行きで一生日の目をみることはないだろう。
ちなみに既に嫁に行った者には罰はない。注意程度だ。
そして万が一逃走されたらマズイので、叔父上が連行することとなった。
これにて、一連の騒動は一先ず終わりを迎えた。




