ハルカ義姉さんと話し合い
俺はハルカ義姉さんの部屋の前に行きドアを三回静かに叩き「義姉さん、ユウマです。お久しぶりです。ちょっと話しがあるのですが今よろしいですか?」
するとドアが開き「ユウマくんね。今シズクを寝かしつけたとこだからどっか別のところでよいかしら?」
「もちろんです。では俺の部屋でよければ参りましょう」
「ええ、それで大丈夫よ。行きましょう」
俺と義姉さんはひとことも喋らずに別館にある俺の部屋まで行った。
俺はガチャっとドアを開け「義姉さんどうぞお入りください」
義姉さんはきょろきょろしながら「ありがとう。お邪魔します。わーすごい久しぶりに入ったわねー。懐かしいわね」
「まあ俺が家を出てからは入ってないので7~8年ぶりですかね」
俺はあたりに人がいないのを確認しドアを閉め「義姉さんこの度は」と言いかけたところ義姉さんが
言葉を遮り「やめなさい。気持ちのこもってない言葉なんかいらないわ」と厳しい口調で告げた。
俺は言葉に詰まり頭をハンマーで叩かれたような気持ちになった。
俺は軽く深呼吸して「確かにそうですね。義姉さんは優しいけど厳しい人でしたね。では俺は特にお悔やみは申し上げません」
義姉さんは微笑み「そう、それでいいのよ。それで話は継承のことね?ユウマ君の考えは?」
俺は変わってないなと思いながら「ええ、そうです。俺としてはひとまず俺が継ぎシズクが年頃になったら婿を迎えてその子を後継にしようかと」
義姉さんは真剣な顔をして「なるほど。その理由は?」
俺は言葉を選びながら「本来なら兄貴が継ぐはずで女子とはいえ長子の子ですし、俺はこの通り貴族なんか向いてないでしょうし」
「いやユウマ君ならしっかりやれると思うけど。つまりは私とシズクを追い出したりシズクを政略結婚の道具にしたりする訳ではないってこと?」
それはまさに晴天の霹靂だった。「え!?どうしてそうゆう話になるの!?義姉さんの中で俺はどんなクズヤローになってるの!?」
義姉さんは手を叩き「はいはい、落ち着いて。もちろんユウマ君がそんなことしないとは思っていたけど実際にちゃんと話するのは久しぶりだし、爵位を継いだ途端に変わってしまうまたは本性を表す人も見てきたから。ましてや私にはシズクを守らなきゃいけないんだから大事なことよ。それにほら・・ユウマ君は夫であるバルスとは仲が悪かったでしょ?だからちょっと不安になって」
俺はその話を聞きその通りだと思った。シズクは長子の子とはいえ基本的に女子に継承権はないので俺がその気になれば義姉さんやシズクを追い出したりすることもできるわけだ。
俺はうーんと唸り「よくよく考えたらそうですよね。これは配慮がたりませんでした。もちろんそんなことはしません。そもそも兄貴は嫌いですけど義姉さんは好きですしシズクには罪はないですから」
義姉さんは安心した表情で「よかった。ユウマ君が変わっていなくて。昔から優しい子でしたものね」
義姉さんはそういうと顔を引き締めて「とはいえ当主となる方に失礼なことを聞いて大変申し訳ございませんでした」と頭を下げた。
「いやいや!頭あげてください!謝らなくていいですから!義姉さんの質問はもっともですし、俺が先に言うべきでしたしね」俺は頭をあげさせて「ところで義姉さん的にはどうしたいのですか?できる限り応えたいとは思いますけど」
「そうね・・・できたら爵位はそのままユウマの子孫が継いでいってほしいかなと。父親のいないまだ2歳のあの子に貴族の妻を押し付けてしまいたくないと思うの」
「そうですか。では俺がこのまま男爵家を継承していくということでいいですか?」
義姉さんは申しわけなさそうに「ええ、それでお願いします。そして不躾なお願いですがシズクが15歳の成人を迎えるまではこちらに住まわせてもらってよろしいですか?」
そういえばハルカ義姉さんの父親は亡くなってて、母親は身体が弱く地方で養生してるんだった。
で、確か叔父に当たる人が継いでるんだっけな。
俺は笑顔で「もちろん。兄貴に変わり俺がちゃんと義姉さんもシズクも面倒みますから安心してください」
すると義姉さんは安心したのか目をうるわせながら「ありがとう。そして貴族になりたかったわけではないあなたに押し付けてしまいごめんなさい」
俺は笑顔で「気にしないでください。やるからにはちゃんとやりますから。では俺は冒険者の仲間達にも報告してきますから落ち着くまでこの部屋にいて良いですよ」
「ありがとう。では遠慮なく落ち着くまで居させてもらいますね」
「では今日の夜にでも家族会議すると思うのでまた後で」
「ええ、行ってらっしゃい」俺は家を出て仲間が待つ冒険者ギルドに向かった。