戦場へ向かう途中にて
俺達は王都の入り口に用意された馬に乗り、休憩を挟みながら移動していた。
さすがに全員分はなく10頭なので、五頭を荷物持ち、三頭を兵士が交代で、ガタイがいい一頭をイージス、一番良い馬を俺とシノブで二人乗りだ。
そして休憩時間にイージスから質問を受けた。
「団長、オイラはなにをすればいいんですか?」
「まあ、俺の護衛だな。敵がこないとは限らないしな」
「はい、了解です!」
「お前が来てくれて助かったよ。これで俺は治療に専念できる」
「はい!団長の守りは任せてください!」
「団長、わたしにはなにもないんですかー?」
「はいはい、付いてきてくれてありがとな」
「うわー、全然気持ちがこもってない。もう!」
そんな会話をしていると、少し離れたところにいた兵士達がやってきた。
その中では古参の兵士が代表で恐る恐る話しかけてきた。
「あの〜ユウマ様、お話中に失礼いたします。我々はどうしたらよろしいですか?」
「そうだな、ではここにいるシノブに従って戦場に出てくれ」
「え、いつもユウマ様のそばにいる綺麗な方も戦場にでるんですか?」
俺はポカンとしてしまった。こいつなにを言っているんだ?
「どうゆう意味だ?」
「えっと、ユウマ様の恋人とか婚約者とかだと我々は思っていたのですが・・・だからなんで今回いるのか謎だったのです。何か聞いてはまずいことでしたか?」
「え?恋人ですって!団長、聞きました?そう見えるんですねー。ふふふ」
俺はそこでようやく気付いた。
普段あまり会話もしないし、うちに住んでるわけではない兵士からしたらそりゃそうなるわな。
シノブは黙って立っていれば容姿も相まって貴族の令嬢に見えなくもない。
「あーすまん。これは俺が悪かった。こいつはこう見えて冒険者ランク3級のアサシンだ。実力は俺が保証する。一応俺の専属護衛みたいなものだ」
すると皆騒ついた。
あんなに若いのに3級なのか、すげー可愛いのに、ユウマ様いいなーとか色々だ。
「こら!静かに!そうでしたか。これは失礼しました。ではシノブ殿よろしくお願いします」
「はい、こちらこそよろしくです。ふふー、ご機嫌が良いので頑張っちゃいますよー」
「はぁ、まあそうゆう訳だ。ほかに何かあればなんでも聞いてくれ。正当な理由があれば不満でも、苦情でもな」
そうゆうと皆驚いた様子。
「団長、なんか皆さん驚いて固まってますよー?」
「ああ、恐らく親父と兄貴の所為だろ。あいつらすぐ怒るからな。不満とか言ったらどうなるか。とゆうか俺が悪かった。当主になってから忙しかったからな。シノブを側に置くときにきちんと説明をすべきだった。こいつが側にいるのは俺にとっては当たり前だったからな。これからは疑問があればなんでも聞いてくれ。答えられるものなら答えるから」
「これは・・・わかりました。皆にもそのように伝えます。では失礼します」
そうして兵士達は離れていった。
「これは中々重症ですねー」
「ああ、いかに親父と兄貴が理不尽な振る舞いをしてたかってことだな。まあ、こればっかりは俺が少しずつ信頼してもらえるよう努力するしかあるまい」
「まあ、団長なら大丈夫ですよー。ね、イージスさん?」
「はい!団長は素晴らしい人です!」
「とゆうかイージス。喋って良いんだからな?いくら口数少ないほうとはいえ黙りすぎじゃないか?」
「いやオイラ難しい話とかわからないし、話も早くてついてけないし、でも別にそれでも団長の側にいれば幸せなのでいいんです」
「お、イージスさん。気が合いますねー。わたしも団長の側にいれば幸せですもん!2人で団長を支えましょうね」
「はい、シノブさん。オイラもシノブさんいれば心強いです」
俺はそんな2人の会話を聞きながら、そんなお前らが側にいる俺こそが幸せ者だと思った。
2日後、俺たちは予定通りにアクナライナ平原の野営地に到着した。
幸い小競り合いほどで本格的な戦はまだだった。
まず俺は、この戦いの指揮官で伯爵でもあるザガン中将に、イージスを連れ挨拶に行った。
「ザガン中将!本日、国王陛下の命により中尉として着任したユウマ-ミストルと申します!よろしくお願いいたします!」
「ふん、貴様がミストル家の新しい当主か。いいか、偶々ウィンドルの怪しい動きに気づいただけで調子にのるなよ?お前は後方の方で大人しく回復でもしておれ」
「はっ!肝に銘じます!では失礼いたします!」
俺はそう言って頭を下げてその場から去った。
小声で「団長、なんか嫌われてるみたいなんですけど?」
「ああ、典型的な貴族の態度だな。下の者が功を立てるのが気に食わんのだろう。シノブを連れてこなくて正解だった。絶対いちゃもんつけられたわ」
「はは、そうですね。シノブさんは文句いってましたけど」
そうして俺らは後方の方へ下がっていった。
そしてテントを張り終えた兵士達が待っていた。
俺はそれにご苦労様と言い、中に入った。
「団長、どうでした?噂通り嫌なやつでした?」
「まあ、典型的な貴族って感じだ。最近会う貴族はまともな方が多かったから忘れてたけど、本来ならあれが普通なんだよな」
「そうですよねー。まあ、しょうがないですよ!わたし達はできることをやるだけです」
「シノブ・・・そうだな。お前の言う通りだ。では戦に備えしっかりと休んでおこう」
「ええ、そうしてください。不寝番はわたしにまかせてください」
「いつもすまないな。ありがとう」
「えへへ、いいんです。団長の寝顔見てるの好きなんで」
そうして俺は食事をとり、移動で疲れた身体を癒やすため眠りについた。




