可愛い妹エリカと話し合い
俺はドアを三回ノックして言った。
「エリカ、今大丈夫か?」
「あ、お兄ちゃん。うん、大丈夫だよー」
俺はドアを開け、そこで目にしたのは明らかに泣いた跡がある妹の顔だった。
「エリカは優しいな。エリカも親父と兄貴には結構理不尽なこと言われきたのに泣けるんだもんな。俺なんか嬉しくもないし悲しくもなくて困ってるよ」
「ううん、わたしなんてお兄ちゃんに比べたら全然大したことないよ。精々婚約者にって人が皆ちょっと年上でちょっと太っててちょっと髪が薄いくてちょっと背が小さいだっただけだし」
「いやそれ大したことだろ!なんだ12歳の娘にオッサンでチビデブハゲって!舐めてんのか!」
「いやお兄ちゃん人がせっかくオブラートに包んだのに台無しだよ!まあお兄ちゃんの言うとうりなんだけどさ。そりゃ貴族の娘として家のための結婚は仕方ないとは思うけどさすがに30歳くらい離れてるとね。それでもここまで育ててくてたし小さい時の楽しかった思い出もあるしやっぱり悲しいよ」
俺はフーと息を吐きた。
「そうか、俺は物心ついた時にはもう嫌いだったからなー。親父も兄貴も俺は爵位なんか興味ないって言っても全然信じないし」
エリカは軽く微笑みながら言う。
「しょうがないよー。お父さんとバルス兄さんは貴族であることが誇りだったんだから。ユウマお兄ちゃんみたいな変わり者は少数派だよー」
「まあ、そうだろうな。でもそんな俺が男爵を継ぐことになるんだから人生わからんよなー」
「そうだね。でも冒険者の方はどうするの?さすがに今までみたいにはいかないでしょう?」
俺は自分のクランである、白き風のメンバーのことを考えながら言う。
「んー、そもそも俺が貴族だって知らない奴もいるし俺も継ぐことないと思って自分のクラン作っちゃったしなー」
エリカは真剣な顔をして言ってきた。
「ちゃんと考えなきゃだめだよ?人の人生を預かってるんだから」
「ああ、わかってるよ。まあとりあえず事情を話してだれかに継いでもらうか、活動は減るが俺が継続して団長を続けるか、解散かは相談してみないとな。あとこれから義姉さんととこに行くけどいずれ姪っ子のシズクに婿養子で継がせるかどうかとかも話し合わなきゃならんし」
「あーそうだよね。別にお兄ちゃんは貴族になりたいわけじゃないからそのあと自由に生きてもいいんだもんね」
「まあそうだな。名残惜しいがとりあえず今から行ってくるからまた後でな可愛い妹よ」
「はいはい、あなたの可愛い妹ですよー。ちゃんと義姉さんのことも慰めてあげてね」
「そりゃ、もちろん。ではまた後でな」俺はドアを開け義姉さんがいる部屋へと行った。