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妹が第三王子に惚れたというので成り上がることにした  作者: おとら@9シリーズ商業化
1章 冒険者から男爵になる

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サイドストーリー~シグルド~

兄貴が死んだ。


あの剣の腕前も中途半端で性格のねじ曲がった兄貴が。


俺は常々弱いんだから戦争でても無理するなと忠告した兄貴が。


準男爵から男爵に上がったと自慢してきた兄貴が。


俺がまだ剣の才能が発揮するまでは可愛がってくれた兄貴が。


俺が親父に可愛がられるまでは優しかった兄貴が。


俺が小さい頃よく街に連れ出しては遊んでくれた兄貴が。


俺はそれを聞いた時、そんな言葉で頭の中が一杯になった。


小さい頃の楽しい思い出とそれ以降の楽しくない思い出が混ざり合い俺は少しの間立ち尽くしていた。


だがすぐに涙が出ている自分に驚いた。


俺は兄貴に散々な目に遭わされつつも、やはり悲しかったということか。


そして俺はこんなことになるならあの時親父の跡を継ぐかと言われた時に継いでおけばよかったのか?と一瞬思ったがそれならそれで別の問題があったに違いないと思い直した。


そして俺は涙を拭き二日酔いのまま数年振りになる実家へ向かった。


数年振りに見る実家は建物が増えてるし、改築されてどこに行けばいいかよくわからんと思っていたら、セバスはこちらに気づき近づいてきた。


眼を腫らして「これはシグルド坊っちゃまお久ぶりでございます。壮健そうでなによりです」


「おいおい、もう俺30だぜ?勘弁してくれよ」


「いえいえ、私と妻クリスにとってはいつまでも可愛い坊っちゃまでございます」


「まったく、セバスとクリスには敵わんな」


セバスは多分俺の顔が強張っていたのに気がついてリラックスさせようとそんな軽口を言ったのだろう。

自分は主人と次の主人を亡くして悲しいはずなのに・・・。たく、ホント敵わん。


「ところで皆は何処にいる?俺は寝坊しちまったみたいでな」


「皆さま本館の会議室の方に集まっておいでです」


「わかった、サンキュー。では行ってくる」


俺は驚いている家臣や使用人達を尻目に会議室に入った。


するとユウマ以外の皆がポカンとしていた。


そりゃそうだろう。俺はユウマの冒険者仲間はアロイス以外はほぼ初対面だし、身内の方もエリス義姉さんとエリカに会うの数年振りだし、バルスの嫁さんにいたっては初対面だ。


どうやら皆で顔合わせの意味を込めて自己紹介をしていたようなので、俺もユウマにデトックスをかけてもらい自己紹介をした。


そしてその後ユウマと話をした。


どうやらユウマは悲しくない自分が酷く冷たい人間のように思ってしまっているようだ。


だから俺はそんなことはないと言った。実際兄貴とバルスのユウマに対する仕打ちは酷いもんだった。


俺は何度か兄貴に言おうかと思ったが間違いなく逆効果になると思い我慢していた。


何よりユウマ自身が我慢しているのに俺が我慢できないでどうして師匠なんて名乗れるかと。


それにユウマがそんな目に遭う責任の一端は俺にもある。


こいつの境遇は俺と似ている。次男なのに長兄より腕も人柄もいい。


特に男爵の爵位なんかにはこれっぽっちも興味がないところなんかそっくりだ。


まあ、それがなにより兄貴達が気にくわないところだったんだろうが。


多分兄貴にはユウマと俺とが被って見えていたのだろう。


性格も見た目もまったく似てないのにな。


そして俺は可愛い甥っ子の気持ちを和らげようと誰にも話したことのない、いや生涯話すことはないと決めていた継承のことを話した。


ユウマは驚いた顔して叔父上もそうだったんだと言って、少しスッキリしたようだ。


俺は少々気恥ずかしくなり、クリスの飯食うぞ!と2人で食堂に行った。


食堂で久々のクリスの手料理に舌鼓をうっていたら同い年でダチでもあるアロイスが話しかけてきた。


「シグルドちょっといいか?」「ん?どうしたアロイス?」


「いやこんなことになっちまってお前も大変だろうが頼みがあってな。お前にもう一度団長を鍛え直してほしいんだよ。団長は俺らを優先するあまり自分の修行が疎かになっているんだ。でも団長はこれから戦場に出なくてはいけない。シノブは何とかして団長について行こうとあの手この手を使うだろう。俺だってついて行きたいが俺は団長に団長がいない間このパーティを任された責任がある。だから団長には戦争で生き残ってもらうためにもう一段階強くなってほしいと思ってな」


「なるほど、そうだな。俺もそれは考えていた。あいつは俺から見ればまだまだだからな」


「いやお前と比べると誰でもまだまだになっちまうよ」


「そうかもな。くく、いやしかし俺が頼んだとはいえすっかり心酔しちまって。あの泣く子も黙るアロイスがね」


「そりゃ最初はお前がいきなりユウマの面倒を見過ぎると兄貴がまたうるせーからアロイス代わりに冒険者としてあいつを守ってやってくれと言われた時は面倒くせーなと思ったけどな。でも一緒に過ごしているうちに貴族とは思えない人の良さ、時折見せる熱い心、甘ちゃんだが決めるところはしっかり決めるところとか見てたらなんだがこの人を支えてやりてーなと思ったんだよ」


「くく、それは俺にとっては嬉しい誤算だったな。ところで俺とお前がダチなのあいつまだ知らないんだろ?これからは会うことも増えるから変に思われるぞ。まあ最初は俺が内緒で頼んだけど」


「だって団長そしたらただでさえ年上の俺が団長に敬語使ってるのやめいと言ってくるのに、お前に対してタメ口なの知ったら尚更言いそうじゃねえか。なんで叔父上にタメ口で俺に敬語なんだ?おかしくね?って」


「ははは!確かにそうだな!変だもんな!まあじゃあ言わなくていいか。なんか言われたら同い年で意気投合しましたみたいに言えば」


「お、そりゃいいや!それでいこう!よし、あースッキリした。んじゃ団長の件ヨロシクな」


そう言ってアロイスは別のところに行った。


そして俺は帰り際にユウマに鍛え直すことを伝えた。


ところでシノブってゆうお嬢さんはなんで天井に張り付いているんだ?最近の子はわからん。


次の日、早速俺はユウマとその傍付きのシノブと模擬戦をした。


ユウマは腕が鈍ってなく安心したのとシノブ が意外と強いことに驚いた。多分だが磨けば光るものがありそうだな。


俺は朝帰りだったのでそのまま寝て、起きたら風呂に入り王城へ向かった。


俺は守衛に挨拶をし素通りで通りそのままとある部屋へ向かった。


「おう、邪魔すんぜ」と俺はその部屋の主である国王に挨拶した。


「ん?なんだお主か。まあ来るとは思ったが」


「ああ、兄貴が死んじまってな」


「ふむ、男爵を継いで余を支える気になったか?」


「はは、すまんがそれはできない。あんたのことは好きだけどな。多分俺がそうゆうものに混じったら必ず軋轢が生まれるからな。俺は権力を欲しがらないから他の奴らがうるさいことを言ってこないんだし」


「残念だが、まあそうだな」


「それにあんたの数少ない友達減っちゃうぜ?いいのか?」


「ははは!それはそうだ。確かに飲み友達がいなくなるのは寂しいな」


「だろ?代わりに俺の甥っ子が支えてくれるだろうから安心してくれ」


「ほう!噂のお主が可愛がってる甥っ子か。ふむ、余の姪っ子とも仲が良いと聞いておるから一度会っておきたいと思っていたところだ。ふむ、2日後に来るか」


「お、書状届いてたか。いやでもあんましからかってやんなよ?あいつは俺と違って真面目なんだから。あいつ自分の叔父が王様と友達で、自分の友達が王様の姪っ子なんてわかったらひっくり返るぜ?」


「ははは!それも一興だな。まあ楽しみにしてるとしよう」


そのあと2人で飲んでいたら宰相が来て2人して怒られた。王様も宰相だけには敵わんらしい。


「んじゃ、怒られたし帰るわ。あ、ちなみに俺ユウマが独り立ちしたらこの国でていくことを考えてたがやめにした。あいつはまだまだ放っておけないようだからな。俺がしっかり鍛えてやんねえとな!」


俺は王城をでて明日からもユウマを鍛えるぞー!と気合いを入れた。


そしてそのことを思いのほか楽しみにしている自分に気づき、あいつが小さい頃叔父さん叔父さんと足元をチョロチョロとしていた時を何故か思い出していた。





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