家庭教師の授業、ギルドマスターに報告
俺が目を覚ますとシノブはすでにいつもの格好で立っていた。
「おい、おまえちゃんと寝てるんだろうな?いくらバンパイアの血を引いてるからって無理はするなよ?」
こいつの種族はあまり眠りを必要としないし、立ったままでも眠ることができるからなー。
「はい、大丈夫ですよ。団長の寝顔堪能したらちゃんと寝てますから」
「いや待て。それはそれでどうかと思うんだが?」
「まあ、いいじゃないですか!ほら、ご飯いきましょう!」
「わかったわかった。朝から元気なことで」
俺は顔を洗い食堂へ向かった。
朝食を食べ終えるとセバスが近づいてきた。
「ユウマ様、本日の予定でございますが午前中は家庭教師による授業。そして昼食後は冒険者ギルドに立ち寄り状況報告。一度帰宅をしシグルド様と稽古。その後予算について話し合い。以上になります」
「わかった、ありがとう。今日も一日頑張っていきますかね」
「団長、私団長が授業受けてる間ちょっと出かけてきますねー」「おう、了解」
シノブは「ではしからばごめん!」といい去っていった。あいつの言葉はたまに謎である。
俺は食後の紅茶をのみ家庭教師が待つ部屋へ向かい、ドアを開けた。
そこに60歳過ぎぐらいの小柄な男性が立っていた。
「すいません、お待たせしましたか?」「いえいえ、大丈夫ですよ。さ、席についてください」
俺は席につき「ではよろしくお願いします」「はい、こちらこそ」
「本日ユウマ様の家庭教師を務めさせていただくモーリスと申します。ではユウマ様もお忙しいのでさっそく授業に参りましょう」
「まず我が国デュラン王国について説明しましょう。デュラン王国は500年前初代国王である剣帝デュランダル様が3人の弟子の剣聖とともに建てた国でございます」
「我が国は国王を頂点とした王政であられます。上から国王、公爵、侯爵、伯爵、子爵、準子爵、男爵、準男爵、騎士爵位となります。ちなみ騎士爵位以外は継承権がございます。ではユウマ様、なぜ子爵と男爵の爵位には二段階あるのかわかりますか?」
「それは伯爵以上の方々が数が決まっているからです。公爵は2つ、侯爵は6つ、伯爵は12までとなっています。しかし、それ以下の下級貴族である子爵、男爵は数が20~40と数が定まっておりませんゆえに、例えば子爵に近い男爵と騎士爵位に近い男爵とでは天と地ほどの差が生まれるからですか?」
「はい、その通りです。デュラン王国は王族の血を引く二大公爵、六大侯爵、12個ある都市の領主である12伯爵。そしてその下で働いたり、王都の警備や防衛を担うのが下級貴族でございます」
「では次に軍内部の階級に移ります。貴族当主は軍に入る義務が生じます。もちろん当主でなくとも平民のかたでも入れます。そして階級ですが上から元帥が1人、大将が2人、中将が8人、少将が12人ここまでは人数が決まっております。そして、大佐、中佐、少佐、大尉、中尉、少尉、曹長、軍曹、一等兵、二等兵、三等兵となっております。ではなぜ元帥から少将まで人数が決まっているのでしょうか?」
「元帥から少将までの方々が戦争において総指揮権を持っているからですか?」
「ええ、そうです。戦争が起きればその規模によってその中から国王陛下が任命なさります。まあもちろん他にも理由がございますが今はいいでしょう」
「そしてユウマ様は貴族当主であり五年前ですが軍学校も卒業なさっておりますが、まだ貴族として戦争にでたことはないとゆうこと。ですので左官である少尉からスタートとなります」
「なるほど。よく分かりました」
その後は一年が1月~12月の360日であるとか、1か月は30日とか、一週間が7日とか、一日が24時間であるとか基本的なことを中心に教わり時間は過ぎていった。
「では本日はこの辺りにしましょう。またお時間ができましたらご連絡ください」
「はい。本日はありがとうございました」
「ほほ、美徳ではありますが当主の方が滅多なことで頭をさげるものではございませんよ?次回はそのあたりについて教えいたしましょう。では失礼いたします」
モーリスが出て行った俺は「あー貴族って面倒くさいなぁ。まあでもしょうがない!やるしかない!」と気合いを入れた。
そして予定が目白押しなので急いで昼食を食べた後冒険者ギルドへ向かった。
俺は冒険者ギルドに入り受付嬢に「すいません、ギルドマスターに面会の予約をしたんですけど」
「はい、ユウマ様ですね。お話は伺っております。どうぞこちらの通路をお通りください」
「話が早くて助かります。では失礼します」
俺は守衛さんに挨拶をし、冒険者が滅多に入ることのできないギルドマスターの部屋をノックした。
「ギルドマスター、ユウマです。入ってもいいですか?」「はい、どうぞー」
俺が入るとそこにはどう見ても荒事に向いてなさそうな柔和な表情をした身長170センチ年齢30後半くらいの男性が立っていた。
「どうもロイドさん、お忙しいのに時間作ってもらってすいません」
「いえいえ!ユウマ君にはお世話になってますから。貴方のお陰で我がギルドは生存率がギルド内トップですから」
俺は複雑な気持ちで「いえ、こちらこそ色々便宜を図ってもらってますからお互い様ですよ。それでですね・・・正式に男爵位を継ぐことになりまして」
「そうですか・・・懐かしいですね。友人であるシグルドに連れられうちに来た貴方を私はよく覚えています。貴方は父上と兄上には世話にならない!妹は俺が守る!そのための力がいる!と言っていましたね」
「ははは・・・まだ世間知らずの子供でしたね。その節はお世話になりました」
「いえいえ、最初は驚きましたが実際貴方はとても優秀でした。それに人柄もよく貴族にありがちな平民を見下したりもしない。ただ惜しむべきは裏方に徹し仲間に手柄を譲ったりしてた部分もあるので5級であることですね」
「それは平民の人達がいなければ貴族である私達は生活できませんから。あ、それでですね・・・男爵位を継ぐので今までみたいには冒険者活動ができなくなることをお伝えしなくてはと思いまして」
「ふふ、それを言える貴族のなんと少ないこと。ええ、それは仕方ありませんね。むしろこっちとしては続けてくださるだけ有難いですよ。最悪辞めることも考慮に入れてましたから。なにせ不幸な出来事とはいえ貴方は妹を守るという第1目標を達成したのですから」
「はは・・・.確かに俺はシスコンですが、仲間も大事だし、それこそギルドマスターであるロイドさんのことも大事てすから」
「これはこれは嬉しいですね」
「あと恥ずかしながらうちの家親父と兄貴のせいで火の車でして、冒険者稼業で少しでも稼いどかないといけなくてですね」
「なるほど・・・でも失礼ですがユウマ君は相当溜め込んでいたはずではありませんか?」
「それがですね・・・使用人達の退職金や脱退したクランのメンバーや亡くなった家臣のご家族にお金を振り分けたら結構減ってしまいまして」
「なるほど、ご立派ですね。うーんちょっと待ってくださいね」
ロイドはブツブツと独り言を呟き考えているようだ。
「お待たせしました。では一応確認ですが冒険者稼業は出来る限り続けるということでよろしいですか?」
「はい、そうですね」
「ではご提案なんですが、私の推薦で4級にあげてしまってもよいですか?」
「え!?4級ですか!?でもまだ依頼達成度が少し足りてないような・・・」
「ええ、そうですね。けれど貴方の実績と実力なら本来3級でもおかしくないのです。他の家族を抱えた方やお金に困ってる方に手柄を譲ったりしてなければね」
「すいません、あまりよくないことですよね」
「まあ、推奨はしませんが脅迫したとかされたとかではない限り問題はありません。それに手柄を譲ったとしてもそれに見合う実力がなければこちらも承認しませんし。まあ正直ユウマ君みたいな優秀な方にはどんどん上にいってもらいたいのですよ。5級だと受けられないものもありますし。ユウマ君も報酬の高い依頼も受けられてお互いに利益があると思いますがどうしますか?」
「ええ、少々心苦しいですがよろしくお願いします」
「了解しました。ただこれは決して不正ではないことを断言します。誰からも文句も出ないでしょうし」
俺は少しモヤっとしたがその申し出を有り難く受け取った。
「では、明日午後にまたいらしてください」「はい、では失礼します」
俺はギルドを出て叔父上が待つ男爵家に戻った。




