表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/117

親父と兄貴戦死する

「え?親父と兄貴が戦死したって・・・」


俺は急に実家に呼ばれ、母上に開口一番にそう告げられた。


「そうです。夫ランドと長男バルスは此度の魔法国ウィンドルとの戦争において、昨夜亡くなったと連絡がありました」


「そうですか・・・ちなみに原因は?」


「敵の敗走に見せかけた罠にかかり、魔法による奇襲にあったそうです」


「そうですか・・・母上には申し訳ないですが、知ってのとおり俺はあの親父と兄貴には散々な目に遭わされたので特に悲しいとは思いませんけどね」


俺はもちろん死ねば良いのにとは思ったことはないが、自分でも驚くほど悲しくはなかった。


「ええ、わかってます。貴方が私やエリカのためにずっと我慢してきたことは」


母上は複雑な顔をしながらそう言った。


「そうですね、親父は剣の腕前はなかなかだけどすぐ怒鳴るし殴るし威張るし。しまいには母上みたいな美人で気立ての良い奥さんがいるの浮気ばっかだし。兄貴もやれ口をひらけば爵位は譲らんぞ、おまえは俺のスペアだ、いくらおまえが優秀でも次男だからなと似たような内容を物心ついたときから言われてきましたし。しかも俺の初恋のハルカさんと結婚するし」


俺は昔を思い出しながらそう告げた。


「ええ、わかっています。あの人も昔はあんな人じゃなかったんですけれどね・・・。恐らく剣一本の人だったので準男爵から男爵に昇格したことにより慣れない貴族間の政争や軍の内部闘争により少しずつ変わっていってしまったんでしょうね・・・。バルスも悪い子ではないのですが貴方の方が明らかに優秀だったので不安だったのでしょう・・・。私もそんなつもりはなかったのですが私と同じ回復魔法の才能がある貴方を特別可愛がっているようにみえていたでしょうしね・・・まあハルカさんついてはなんとも言えないけど」


母上は目に涙を浮かべながらそう呟いた。


「ごめん、母上にとっては夫と息子だもんな。俺の言葉が悪かったよ」


「いいのよ、あなたにとっては良い父良い兄ではなかったものね」


母上はそう言うと涙を拭って、この話はおわりと言った。


そして真剣な表情で俺にこう告げた。


「それで戦死した父と兄に変わり、貴方にミストル男爵家を継いでもらいます」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ