シノブとの関係性
叔父上と食堂に着くともう皆揃って食べ始めていた。
今回は平民、貴族といる。なのでバイキング形式で、皆好きなものを選んで、好きな奴と一緒に食べるようだ。
「おおークリスわかってるな!俺の好物ばっかじゃねーか!」
叔父上はそう言うと、皿一杯に好物を乗せ席に着いた。
俺も叔父上ほどじゃないが、クリスの手料理は久々だったのでウキウキで好物を取った。
そして、どこ座ろうかなとあたりを見渡すと、エリカに呼ばれた。
「お兄ちゃんー、こっちこっちー」
俺が近づいていくと、そこにはシノブとエリカが座るところだった。
「どーゆー組み合わせだ、これ?」
俺も同じ席に着く。
「さっきは聞くような空気じゃなかったから聞かずにいたけど、結局シズクさんはお兄ちゃんとどんな関係なのー?妹は気になります!」
すると、俺が何か言う前に、どこからか母上が来て席に着いた。
「あら?母として私も気になるわ」
「うーん。こいつと俺のとの関係ね、それは難しいな」
「団長と私は運命共同体で」「お前はちょっと黙ってろ」「わかりましたよー」
そう言い合ってると、2人に仲良いねーと言われた。解せぬ。
シノブがポテトをつまみながら爆弾を放つ!
「まあ正直なところ、わたしが団長に子作りを迫ってるけど、スルーされてる感じですね」
2人がまあ!と声と合わせた。
「ユウマ、女の子にそんなこと言わせるなんて、母は貴方をそんな子に育てた覚えはありませんよ」
母上は厳しい顔で言ってきた。母上怖い。
「お、お、お兄ちゃん!?」とエリカは顔真っ赤に。可愛い。
「いやいや、ちょっと待って!それには事情があるんだよ。てゆうかシノブお前色々端折りすぎだろ!?てゆーかポテトばっか食ってんじゃねえ!」
モグモグ、ゴックン、飲み物をズズズー。
「はぁー、団長何ですか?怒鳴って。血足りてないんじゃないですか?」
「誰のせいだよ!まったく、話が進まんからお前は黙ってろ。えーとまずはそうだな、こいつの国について話さないとだな。ちょっと話長くなるけどいいか?」
2人は頷いた。
「まずこいつの出身は亜人国家であるエデンだ。で、さらにその中の古代バンパイアの血を受け継ぐ忍者の里と呼ばれる少数部族の出身だ。この里は特殊で何故か8割くらい確率で女の子が生まれるらしい。しかもあらゆる能力が女の子のほうが高いのが特徴だ。それで近親婚を避ける意味もあって初潮を迎えた女の子は修行も兼ねて優秀な子種を求めて外の世界に飛びだしていくらしい。それで人によっては子種だけ貰って帰る者もいるし、本人の了承が得られれば婿として一緒に帰るらしい。ここまでいいか?」
「あら、そんなところがあるのね。うん、いいわよ」「わたしくらいの年齢出て行くんだ、すごいね!うん、いいよー」
「そんで俺が16の時に冒険者ギルドで絡まれて、そのまま訓練場に連れていかれ闘うことになって、まあギリギリで俺が勝ったんだが、その後いきなり子種ください!だからな。もう俺はあ、こいつはヤバイ奴だ逃げなきゃ!と思い今日に至るわけよ」
「団長ーしょうがないじゃないですかー。2年放浪してやっと同世代で自分より強くてしかも回復魔法まで使える人を見つけたんですから」
「いや、俺より強い奴はいくらでもいるぞ?」
「団長はシグルドさんが身近にいるから気付かないけど相当強いですよー」
母上が「それこそシグルドじゃダメだったの?強いし、独身ですし」
「それが難しいところで、強ければいいってわけではなくてですね。うーんなんとゆうか優秀なのはもちろんなんですけど、一番大事なのはピンと来るか来ないかなんですよ。多分本能的にこの人と子をなせば強い子が生まれるとかがわかってるんじゃないかと。確かに見た目でいうとシグルドさんのがタイプですし」
「あ、同じ女としてそれは理解できるわ。私も夫のことはタイプではなかったけれどなんか不器用でほっとけないって思ってしまったのよね。まああんな風になってしまうとは思ってもみなかったけど」と苦笑した。
エリカが「へー、そうゆうものなんだー?わたしにはまだわかんないや」
「エリカはまだわからんでいい!」
「出た、団長のシスコン発言。ずっと妹が可愛いって言ってるもんね」
その発言をうけエリカは恥ずかしそうにしている。尊い。
「ほんと昔からそうよね。えーとそれで話が大分逸れてしまったけれど今もそのつもりなの?だとしたらユウマはもう当主になるので連れていかれるのは困るのだけれど・・・」
「あ、それはもうないんで安心してしてください。今は忍びとしてユウマさんに命を捧げましたから。それになんだかんだ今の生活気に入ってますから。もちろん団長とそうなれば嬉しいですけどね。その場合は妾でいいんで」
「そう、なら私としてはゆうことはないわね。我が国は甲斐性さえあれば一夫多妻ですし。こんな可愛らしい子なら大歓迎よ」
「わたしもー!話してて楽しいし、明るいし、美人さんだし」
「団長ー!家族公認ですよ?これはもうチェックメイトじゃないですかー?」
俺は外堀が埋められるのを見ながらも決死の抵抗!
「いや、まだだ!まだいける!俺は諦めない!」
ちなみに俺はシノブを憎からず思ってはいる。
なのに頑なに手を出そうしないのは半分意地みたいなものだ。
散々断っておいて今更どうしていいかわからん。俺はヘタレか。
「もう、強情ですねー。まあ気長に待ちますけどねー」
俺は分が悪いので、その場を去ろうとした。
女性陣「逃げたわ」「逃げましたねー」「逃げたねー」
その声を聞きながら、そそくさとその場を後にした。
だが、俺はさっきの妾云々の話でふと気づく。
「あれ?でもそうか。俺当主だから嫁さん取らなきゃなのか」