最終決戦
さて、いよいよ決戦なのだが……。
どう戦う?周りの奴らを、排除するのが先か?
……それにしても、こいつらは気味が悪いな……一言も喋らん。
「ククク……そいつらを警戒しているのか?いいだろう、面をあげよ!!」
フードを被った奴らが、一斉に脱ぎ去る。
「……同じ顔……?クローンか!?」
今、俺の頭に自然に浮かんできた……!
「ユウマ!どういうことだ!?」
「自分の細胞を媒体として、自分と同じ肉体を作る技術です!俺の中の何かが、怒り狂っています……!」
「ほう?生まれ変わりなだけあるな。おそらく、魂の記憶が目覚めつつあるのだろう。奴は、これには最後まで反対していたな……人道に反すると」
「当たり前だ!自分の細胞だけでは、成り立たない!人間の体が必要となるはずだ!どこから持ってきた!?」
「セントアレイにたくさんいるではないか。ゴミみたいな人間が。あそこなら、人がいなくなろうと誰も気にせんからな」
こいつ……!
虐げられている平民を材料にしやがった……!
「……このクズめ……!待て……つまりはそういうことか……!」
「団長?どういうことですかー?」
「この国には、国民がいない。今までの魔道士も召喚士も、全てクローンかもしれん……!」
「正解だ。優秀だった奴を、クローンの素材とした。ただ、失敗も多くてな……ゴブリン程度しか呼べない個体もいて困ったものだ」
「……もう、いい……!お前は、俺が殺す……!」
「ハッ!ほざくな!良いだろう……かかってこい!」
そして、クローン達が一斉に動きだす!
そこそこ速いが、所詮はクローンだ……!
あれなら、エリカでも平気だな……。
「シノブ!頼む!ホムラ!援護しろ!エリカ!ホムラを守れ!」
「はいはーい!」
「わかりましたわ!」
「任せて!」
「叔父上!ゼノス!蹴散らしつつ、ウィンドルを倒す!!」
「おうよ!!」
「よし!行くか!」
槍や剣を持つクローン供が、迫ってくる!
「チィ!ユウマと同じ顔してやがる……!」
「うー!団長の顔にするとは、卑怯です!」
「お兄ちゃんの方が、カッコイイもん!」
「そうですわ!ユウマの方が、イイ男ですわ!」
皆、やりずらそうだな……無理もないか。
「ゼノス!!」
「わかってる!俺がトドメを刺す!」
「助かる!」
そのままクローンを蹴散らしつつ、トドメをゼノスがさしていく。
「おい!随分遠慮ないな!?」
「あん?ユウマ殿が頼んだじゃないか!!」
「それもそうだな!」
「俺も平気だ!もう、慣れた!」
「では、このまま行きます!!」
そして、玉座までたどり着いた。
「やはり、クローンでは止められないか……。仕方あるまい、我自ら殺してやろう……!」
ブチッブチッ!という音ともに、奴が立ち上がる。
どうやら、チューブのような物で繋がれていたようだ。
そして右手には、方天戟を持っている……!
アレに突かれたら、身体がバラバラになるな……!
「ユウマ!俺がやる!お前は援護しろ!ゼノスとやらは、槍が伸びるなら牽制しろ!」
「わかりました!」
「おうよ!俺からいくぜ!」
ゼノスの槍が伸び、奴に向かう!
「小賢しいわ!我に槍で挑むとは!」
それは簡単に弾かれる!……だが!
「ウラァ!!」
叔父上が奴に接近し、剣を振りかぶる!
「甘いわ!デュラン!!」
槍を持っていない方の手から、闇の玉が浮かび上がる!
俺は直感的にまずいと思った!
「叔父上!避けて!それは、だめだ!」
「なに!?チィ!!」
叔父上は攻撃を中止し、下がる。
「チィ!弟の魂を持っていると厄介だな……。色々と見破られるな……!」
「ユウマ!今のはなんだ!?」
「俺の回復魔法とは、真逆の力を感じました……!おそらく、細胞を死滅する魔法……回復魔法が光だとしたら、闇魔法といったところかと」
「……正解だな。だが、どうする?わかったところで、避け続けるか?お前の再生魔法でも、追いつくかは微妙なはずだ」
奴は、身体全体を闇で覆う……!
確かに、そんイメージは湧くが……問題ない……!
「いや、平気だ。俺がお前を止める……!」
俺は目線だけで、叔父上に伝える。
叔父上なら、わかってくれると信じて……!
「ゼノス!!」
「任せろ!!」
ゼノスは伸びる槍の性能を利用し、伸縮を繰り返して、連続の突きを放つ!!
「うお!く!トライデントめ!小癪な真似を……!」
俺は今だ!と思い、魔力を放出する!
俺の身体から、碧い炎が舞い上がる……!
よし!これでいけるはず……!
「いくぞ!!」
「馬鹿か!喰らえ!!」
黒い玉がいくつか浮かび上がり、俺に向かってくる……!
「馬鹿は、お前だ!!俺の力を、弟と一緒にするなよ!?」
これは、俺が今考案した技だ。
再生能力を身にまとい、そうすれば……!
「何!?消滅しないだと……!ま、まさか!魔闘気の質を変えた……?再生魔法に……!」
「そういうことだ!喰らえ!魔光剣!!」
俺のミストルティンが、奴の闇を切り裂く!!
「グハッ!!いや、これしき……!」
「ハッ!!これで終いだ!!デュランダル!!ティルフォング!!俺に力を貸せ!!」
叔父上の両手の剣が、光り輝く!!
「そ、それは!や、やめろーー!!」
「覇王剣!!」
2つの剣から溢れでたエネルギーにより、奴は塵になる寸前の状態だ。
「ば、馬鹿な……!こんなにあっけなくだと……。同じ時代にデュランと弟がいたことが間違いだったか……や、やはり情などかけずに弟をこ・ろ・し・て・お・く……」
そして、完全な塵になる。
「やったな!ユウマ!」
「ユウマ殿!やりましたな!」
「叔父上、よくタイミングを合わせてくれましたね」
「おうよ!伊達に師匠はやってねえからな!」
「ゼノスも、いい牽制だった。ありがとな」
「いやいや、気になさんな」
「団長ーー!やりましたね!!」
「お兄ちゃん!やったね!」
「ユウマ!やりましたわ!」
皆が、こちらに駆け寄って来ようとする。
「皆も、無事でなによりだ。さあ、帰ろう。皆も、待っている」
そして俺がシノブたちに振り返る瞬間、それは起きる。
「ユウマ!!あぶねえ!!」
俺は叔父上に押され、その場を退かされる。
そして目にしたのは、結界により入れないシノブ達。
そして俺を庇い、腹に穴の空いた叔父上。
最後に、叔父上を刺したゼノスの姿だった……!