最終決戦の前に……
俺とヤツが双子の兄弟………?
「ククク……まあ、そうだろうな。何を言っているか、わかるまい」
「ユウマ!んなこたぁどうでもいい!!やるぞ!」
「……相変わらずだな、お前は。生まれ変わっても、姿や性格が変わらないとは……」
「あぁ?……チッ、気になること言いやがる……。仕方ねえ、話を聞いてやる」
「そうだな……我も懐かしい顔ぶれに、少々感傷的になっているやもしれん……。まずは、ユウマ。お前は、我の弟の生まれ変わりだ。そして、統一王朝の血を受け継ぐ者だ。正確には、お前の母親がだな」
「……確かに、母上は途絶えた一族の末裔だとは聞いている」
「ああ、弟の血を引く一族だったのだろう。相手は誰か知らんがな……。そして、弟の血を引くのはまだいる。トライデント王家だ。奴の子孫が建てたはずだ」
「なに!?では俺は、ユウマ殿の前世の方の血を引いている……?」
「そうだ。次は、そこの娘はヴァンパイアか……しかも、真祖に近いな。我らに歯向かった奴によく似ている。奴と鬼人族の長がいなければ、鎮圧など容易かったのだがな……」
「そうなんですかー?まあ、確かに使い手は少なかったみたいですけど」
「そして、そこの金髪はデュラン一世の妻によく似ているな。奴も、突然変異の生まれだった。平民の分際で、我らに匹敵する魔力を持っていたな」
「……話には聞いていますわ。剣の王の伴侶は、魔法に優れた方と。そしてその血が、ワタクシに流れていることを」
「そしてユウマの妹ということは、我の妹でもあるのか……?」
「むー!私のお兄ちゃんは、1人だけだもん!」
「まあ、それはいい。そして、デュラン一世……今は、シグルドというのか。お前は、初代デュラン王の生まれ変わりだな」
「俺が……?」
「根拠は二つ。デュランダルは、あいつにか扱えない。いや、認めないと言った方が正しいか。そしてティルフォングは、デュランダルにしか従わない」
「確かに……創設以来、初めての使い手だとは言われたが……」
「バルムンクは、割とフランクでな。気に入れば、誰にでも使える。ミストルティンは、魔力が高い者を好む。カラドボルグは、才能のある未熟者に惹かれる。グラムは、欲望に取り憑かれた者を好む」
俺は、さっきから疑問に思っていることを聞いてみる。
「随分と色々なことを知っているんだな?まるで、見てきたみたいに……」
「見てきたか……まあ、正確にではないが。我は500年眠っていた。傷と魔力を癒すためにな。だが、我には眠りの中で、遠い場所の出来事や任意の人物の行動を見ることができる。ユウマ、お前にも覚えがあるのではないか?自分の知らない場所や、会話を夢に見ることが」
「確かにあった……ここで、お前とシャロンが話している夢を……」
「我らに伝わる力の1つだな。我らの父は最強だった……。剣を振るえば大地が割れ、槍を突けば海が割れ、魔法を唱えれば山が消え、蘇生魔法により死んだ生き物を生き返らす。まさしく、神といっていい」
「俺の力は、そいつの血から来ていると?」
「そうだ。お前は回避盾系の剣の才能と、回復魔法系を。そして我は、攻撃魔法と、剛力を誇る槍の才能を。さらには、お前は再生魔法と、転移魔法と譲渡魔法の才能。我には従属魔法と、召喚魔法と転送魔法の才能」
「そうか……あれは転移魔法ではなく、送る方の魔法だったのか」
「あれは、目覚めたばかりで失敗だったな……。オークの転送に失敗し、ヒュドラをの召喚場所をしくじり、アースドラゴンを刺激した。だが、最早完全に目覚めた。まずは、裏切り者のデュラン一世を殺す……!そしてユウマ……お前の血肉を喰らい、俺は父のような完全体になる……!生まれ変わる前は、愛しき片割れで躊躇したが……あくまでも、今のお前は生まれ変わりだ。俺の本当の弟ではない。今度こそ、頂くとしよう……!」
「まて!デュラン一世が裏切り者とは、どういう意味だ?」
「そのままの意味だ……!奴は、剣の師である父を裏切り、鬼人族の長と真祖のヴァンパイアと共に、我らを裏切りおった……!父があんなにも、目をかけてやっていたというのに……!それを……なんだ、奴は?
そんなことを父は望んでいない。亜人達を解放しろ。平等とは言わない、だが奴隷だけはやめろと……!」
「それは、当然だろう。至極当然のことだと思うが?確かに生まれや血筋によって、平等ではないかもしれない。だが、お前のやり方は間違っている!奴隷とは、その人の尊厳や誇りを奪い去ること!それだけは、許されてはならない!」
「……生まれ変わっても、似たようなことを言う……!」
「それに、その父とやらが頼んだのではないか?弟子に息子を止めてくれと。俺には、そんな気がしてならない」
「……フフフ……ふざけるな!!そんなことがあるわけがない!!もう、いい!感傷に浸る時間は終わりだ……!……死ね……!」
「どうやら、心当たりがありそうだな?いいだろう、決着をつけよう……!」
いよいよ、最終決戦の幕開けだ……!