決戦の幕開け
さて、数日しっかり休息をとり、出発の日を迎える。
裏切りを避けるために、人数は大分制限した。
もしかしたら、まだ残っているかもしれないからな……。
主なメンバーは、叔父上、俺、エリカ。
そして、シノブ、ホムラの五人だ。
後のメンバーは、カロン王子やサユリさんの護衛に残しておく。
その隙を突いてくるとも、限らないからな。
ホムラの魔法は、道を切り開くので連れて行く。
何より、俺が魔力譲渡を思い出したので、これでホムラも魔力切れにはならない。
エリカもカラドボルグが認めていることもあり、連れて行く。
後は、大量の兵士と俺の信頼する人を呼んでおいた。
そう、ルイベ少将である。
「ユ、ユウマ殿……!いいのでしょうか?私が指揮官で、少将だなんて……!」
「自信を持ってください!俺が信頼できる人と言われたので、推薦したのですから」
エデンとの同盟の功績と、上の席が空いたことにより、準子爵及びに少将に昇進したのだ。
ちなみに、俺も大佐になっている。
「……わかりました……!覚悟を決めます!後ろのことは気にせずに、前だけを見て進んでください!」
「とても、心強いです!よろしくお願いします!」
そうしてオレ達は、王都を出発した。
そこから3日かけて、国境にたどり着いた。
皆で、最期の休憩をとることにする。
「さて、ユウマ殿。作戦はどうしますか?」
「まずは、ホムラに一撃かましてもらいます。それで空いた穴を、広げる感じですね」
「なるほど、了解です。それは、我等の役目ですね」
「正直、誰も奥まで行ったことはないので、わからないことだらけですし。あまり立てようがないですから」
「そうですよね……。生きて帰ってきた人はいませんからね。初代国王と三人の剣聖以外は……」
「そういえば、そんな伝承もありましたね。初代国王デュランは、デュランダルとティルフォングを持ち、二刀流だったと。そして、支えたのがミストルティン、バルムンク、カラドボルグと。そして、謎の多い魔剣グラム」
「ほう、まさに今の俺達だな」
「叔父上は、ティルフォングにも認められましたからね。初代と同じですね。そして、俺、シノブ、エリカ。……確かに、状況は似てますね」
叔父上は、二刀流になった。
両方とも大剣なので、扱えるのは叔父上、ただ一人だろう。
「グラムはやはり……?」
「ああ、宝物庫になかったようだ。シャロンの奴が持っているかもな……」
そうなのだ。
叔父上が、ティルフォングにも認められるかを試すときに入ったところ、無くなっていたのだ。
「そうなると、手強いですね……誰が相手にするかですね……」
「俺かお前しかいないだろうな。もしくは、グラント王か、虎の獣人の長だな」
「そうなりますか……。まあ、こればっかりはわからないですね。同時とはいえ、時間がずれるでしょうから。誰が一番に本拠地へ行くかは、神のみぞ知るってやつですね」
そうして、侵攻する時間を迎える。
「叔父上は、前だけを見て進んでください!」
「おうよ!任せとけ!」
「シノブは遊撃しつつ、エリカのフォローを頼む」
「了解しましたよー!」
「エリカ、無理だと思ったら強制送還する。わかったな?」
「私だって戦えるもん!大丈夫だよ!」
「ホムラ、お前は俺から離れるなよ?」
「わかりましたわ!」
「ルイベさん!後は、任せましたよ!?」
「ええ!お任せを!」
「よし!では、行くぞ!!」
俺達は、未開の地ウィンドルに進んでいく!
そこは、人の住めるところではなかった。
大量の魔物が徘徊し、瘴気が漂っている。
これは、まずは吹き飛ばす必要があるな……!
「ホムラ!いけるな?」
「ええ!いきますわよ!……眼前の敵を消し飛ばせ!バーニングフレア!!」
ホムラの背中からいくつもの炎の玉が出現し、眼前の魔物に降り注ぐ!!
轟音が鳴り響いたあとには、魔物達は跡形もなくなっていた。
「おい!いきなり最強魔法使うのかよ!?」
「だって、ユウマが補給してくれるのでしょう!?」
「いや、だからって1発で無くなるような魔法撃つか!?」
「ホムラ!良い一撃だった!ユウマ!遅れるんじゃねえぞ!?」
「ホムラ、乗ってますねー!では、シノブちゃんも最初から飛ばしますよー!」
「ホムラさん、カッコいい!!よーし!私も頑張るぞ!!」
「あー!もう!わかりましたよ!皆、好きにどうぞ!!」
「「「「了解!!!!」」」」
そこは息ぴったりなのね……。
叔父上は二刀流で、敵を葬っていく!
そのフォローを、俺とホムラがする。
その後ろから、エリカとシノブが追随する。
あぶれた魔物を、兵士達が駆逐していく。
魔物の種類は、多様である。
スケルトン、ゴブリン、オーク、オーガ、トロールなどだ。
「エリカ!大丈夫か!?」
「うん!大丈夫!身体が羽みたいに軽いよ!」
「団長!これなら、心配なさそうです!私が見ていますから!」
「わかった!では、どんどんいくぞ!!ホムラ!手を握るぞ!」
「ユ、ユウマ!?こんなところで……!」
「ちげーよ!魔力供給だよ!お前もう空っぽだろうが!」
俺は手を握って、魔力を送る……!
よし、いけるな。
「なんだか不思議な気分ですわ……身体の中に温かいものが入ってきますわ……!」
……なんというか、エロいな……いかんいかん!
「お前の魔力量も多いよな……よし!これでいいだろう。では、俺は減った魔力を補充してくる!」
俺は、近くにいるオークやゴブリンを斬り裂いていく。
オーガは魔力が少ない上に、叔父上が嬉々として葬っていくので用はない。
これなら行けそうだと思ったが、そうは問屋がおろさないようだ。
その奥から、大量のスケルトンとゴブリンジェネラル。
さらには、オークジェネラルやオーガジェネラルまで現れたからだ。
どうやら、ここからが本番のようだな!!