俺は誰なんだ?
投稿するのを忘れてました!
怖いですね……投稿した気でいたようです。
さて、無事に終わったが……どうしたものか……。
あの後、国王様や宰相様を集め、俺の実家に集まった。
「ユウマよ、まずは感謝する。よくぞ、王都を守ってくれた。だが、どうやって帰ってきたのだ?どう考えても、不可能じゃが……」
皆も、頷いている。
「どう説明していいのか、自分でもわからないのです……。ただ、結論から申しますと、俺は転移魔法を使えるようです」
「……なんと……!信じられないが、証人もおるし、そうでなくては説明もつかんな……」
「俺は、最近変な夢を見るのです……自分ではない誰かの夢を……。それに、自分が知らない場所の映像が流れてきたり……」
「ふむ……宰相、これは……」
「ええ、その可能性がありますね。ユウマ殿、もしかしたら、前世の記憶が蘇ったのかもしれません」
「前世の記憶ですか……?」
「ええ、生まれ変わりとも言いますね。稀にいるのです。何かをキッカケに、思い出す人が。何か、変わったことはありませんでしたか?また、それは、いつからですか?」
いつから……?
変わったこと……?
あれしかないな……。
「今思うと、親父と兄貴が死んだ後に、魔力がどんどん増えていきました……。そして、剣の腕も上がっていきました……。それからです。変な夢を見るようになったのは……」
「なるほど……。ここからは推測ですが……もしかしたら、ユウマ殿は無意識のうちに、ご自分を抑圧していたのでは?」
「宰相様、どういうことですか?」
「いや、文献にそういうのがありまして……。人より優れた者の中には、空気を読んだり、周りに配慮をし、自分の才能や能力を抑えるといったものが……。ユウマ殿は、父親や兄のために、無意識のうち力を抑えていたのではと……」
俺が、親父や兄貴のために……?
確かに、これ以上関係が悪くならぬように、色々制限はしていたが……。
「自分で言っておいてなんですが、あまり気にしないでください。ただの推測に過ぎませんから」
「いえ……貴重なご意見でした。ありがとうございます……」
すると、黙っていた叔父上が話し始める。
「いや、俺はガレスの意見に賛成だ」
「どういうことですか?叔父上」
「ずっとおかしいとは、思っていたんだ。お前の才能は、俺に匹敵……いや、超えるものだ。なのに、お前は俺に勝てなかった。俺の予想では、お前が17ぐらいで互角の勝負になると思っていた。それが、ここ半年ほどで、俺に匹敵する強さになった。そうなると、理由はそれしかあるまい……」
叔父上が、そんなことを思っていたなんて……。
確かに、最近は叔父上に勝てないということはないと、思ってはいた……。
「そうですか……」
「それで、ユウマお兄ちゃんは何か変わったの?わたしの知ってるユウマお兄ちゃんじゃなくなったの?」
エリカが涙目になり、そんなことを言う。
俺も含め、皆が目を見開く……。
「エリカ、そんなことはない。俺は俺だ。エリカの兄で、お前はおれの大事な妹だ。それだけは、変わらない……!」
「なら、わたしはいいと思う!わたしは、どんな力を持っていてもユウマお兄ちゃんが大好き!!なのに……なんか、国王様も宰相も、お兄ちゃんを怖がってるみたい……」
エリカ……俺は、良い妹を持ったな……。
「そうじゃな……ユウマは、ユウマだ。すまんかった。つい、転移魔法ということで、警戒してしまった……それを使えるのは、ウィンドル出身だけじゃからのう……」
「そうですね……。国を救ってくれたユウマ殿に対して、失礼でした。謝罪致します」
「……いえ、当然のことです。自分でも、不気味に思いますし。ただ、エリカ。ありがとう。俺は、とても嬉しかった」
「団長!私だって変わらないですよ!」
「ワタクシだって!!」
他の皆も、頷いている……。
俺は、恵まれているな……。
「ゴホン!余達が、悪者じゃのう。では……ユウマは変わらず、この国の為に動いてくれるのか?」
「もちろんです。たとえ何があろうとも、大事な人がいるこの国が、俺の帰るべき場所です」
「そうか……感謝する。そして、すまなかった。では、話を進めるとしよう」
「まず、ユウマ殿。その転移魔法は、どういったものですか?」
「そうですね……まず、行ったことのない所には行けません。そして、恐ろしく魔力を使います。俺でも、2回が限度ですね。そして、俺自身も飛ぶ必要があります」
「ん?しかし、ヒュドラは単身、王都近くに突然現れたぞ?あれは、どういうことだ?」
「……おそらく、俺よりも上の術者の転移魔法でしょう。俺はまだ未熟で、指定の相手を飛ばすことは出来ません。相当な技量が必要かと。そして、あの質量の者を送るとなると……とんでもない魔力の持ち主です。ただ、そいつも正確な座標には転移出来ないでしょう。俺自身、使ってみてわかりました」
「……魔導王が復活したのやもしれんな」
「それは、どういう意味ですか?」
「初代国王からの遺言じゃ。いずれ魔導王が復活する。宝剣を絶やすな。それが、奴の鉄壁の防御を破ると。眉唾物かと思っていたが……今の状況からすると、そうとも言えないか」
「なるほど……そんな伝承があるのですね」
「さて、ではこの辺で終わりにしましょう。皆さん、お疲れでしょうから」
「宰相の言う通りじゃな。皆の者、感謝する。ゆっくりと休んでくれ。また、明日にでも話し合おう」
そうして、その日は解散となった。
俺は部屋に戻り、考えていた。
エリカにはあのように言ったが、俺は誰なんだ?
俺じゃない誰かが、身体の中にいるようで、気分が悪い……。
もちろん、俺は俺だと思っている。
ただ、どうしても疑問に思ってしまう。
転移魔法?再生魔法?
俺は、何故使える?
どうして、理由がわからない?
「団長?どうしたんですか?」
「……いや、なんでもない。寝るか」
「久々の二人っきりですねー。ふふふ、いい事でもします?」
「魅力的なお誘いだな……だが、やめておこう。流石に、疲れたしな」
「ですよねー。睡眠削って行軍して、そっから王都に行ってヒュドラですかねー」
「そうだよな……。シノブ、ありがとな」
「なんのことですかー?私は何もしてませんよー」
全く……相変わらずだな、コイツは。
俺の気を紛らわす為に、軽口を言ったのだろうに……。
さて、これからどうなるのだろうか?