ヒュドラ
さて、いざ対峙してみたが……どうする?
身体自体は、そこまでの大きさじゃない。
だが、首が長い……!
首だけで、5メートル以上はあるぞ……!
腕はなく、足は太い。
首を同時に斬らなければならない……どこから攻めればいい?
やはり、足から攻めていき、削っていくしかないか……?
「ところで、何故叔父上1人なのですか!?」
「全員下がらせた!こいつは、生半可な武器では傷一つつかん!龍燐というやつだ。さらに、こいつはドラゴンの中でも、最強の部類だ!死人が無駄に出るだけだからな!」
そういうことか……!
だが、ここには三本ある!
我が国が誇る、宝剣が……!
「毒のブレスの守りは、大丈夫です!今の母上なら、問題ありません!オレ達三人で、ヤツを倒しましょう!」
「おうよ!お前が何故いるかはわからんが、オレ達師弟トリオの力を見せてやろうぜ!」
「あれ?私も入れてくれるんですかー?嬉しいですね!やっちゃいましょー!」
すると、ヒュドラが王都へのブレスを止め、こちらを向いた。
いくら吐いても無駄だと思ったか……?
そして、体長の半分を占める長い首が、急降下してくる!
「避けろ!!一箇所に固まるな!噛まれれば、即死だと思え!」
俺とシノブは、言う通りに避ける!
「叔父上!こいつ傷ついていませんが、再生能力ですか!?」
「そうだ!生半可な傷は無意味だ!やるなら一撃に込めて、ぶった斬らないとな!」
「なるほど……!そもそも、1人では倒せない相手ということか!」
「どうします?首を同時にですよね!?」
「……ユウマ!お前が指示を出せ!俺らは、それに従う!」
「私も、従います!団長!」
「……わかった!まずは、俺が奴の左足を狙い、魔力を吸い取る!シノブは牽制!叔父上は首が来たら、迎撃を!」
「「了解!!」」
まずは、魔力を回復しつつ、奴がそれで弱るかだな……。
俺は駆け出し、ブレスを避けながら、接近する!
おいおい!なんて太い足だ!……これは、一撃で斬れないぞ……!
俺は純粋なミストルティンの斬撃のみで、すれ違い様に足を斬る!
足から血が吹き出す!……よし!魔力は吸い取れる!
まずは、魔力を回復しなくては!
この三人なら、倒せない相手ではない!
「ウラァ!!」
叔父上の一撃が、首を切断する!……が、すぐに再生する!
なるほど……再生が早い……時間差は無意味……ただ、宝剣なら切断できる……。
あとは、どのように同時に切断するかだな……!
「エイヤーー!!」
なるほど……シノブでも一撃で首を切断出来ると……決まったな。
俺はその後、魔力回復に努める。
ただ、ひたすらにヒュドラを斬り続ける!
どうやら、魔力も無限か……だが、おかげで全快した!
「叔父上!時間を稼ぎたい!俺が左足を斬る!叔父上は右足を!」
「おうよ!任せろ!」
「シノブ!気を引いてくれ!」
「お任せを!」
シノブがヒュドラを斬りつけ、注意を引く。
「ウォォォ!!!」
「ハァァァ!!!」
俺と叔父上は、同時に駆けだす!
「ぶった斬れろや!!」
「魔光剣!!」
叔父上はその斬撃のみで、足を半分以上斬る!
俺の魔力剣も、足を半分以上斬る!
ヒュドラはバランスを崩すが、倒れるまではいかない!
足がグジュグジュと気味の悪い音を立てながら、再生していく……!
だが、少しの時間が出来た……!
「叔父上は右側!シノブは左側!それぞれ、俺に掴まれ!」
「どういうことだ!?……いや!わかった!」
「そういうことですか!」
「叔父上、一度だけ言います。俺は転移魔法を使えます。それでアイツの頭上に飛びます」
「……俺は、どうすればいい?」
「この並びに出現するので、叔父上は右の首を。シノブ、お前が左の首を。良いですか?」
「おうよ!」
「はいはーい!」
奴の再生が終わろうとしている……早いな、クソ!
俺は逸る心を抑え、集中する……!
イメージしろ……正確な場所を……今!!
「空間の狭間を超えろ!テレポート!」
俺らは、空間を超え、空中に出現する!
よし!ドンピシャだ!
奴が首をもたげ、こちらに気づいた……!
だが、もう遅い……!
「ぶった斬れや!デュランダル!!」
「やっちゃいますよ!バルムンク!!」
「俺に力を!ミストルティン!!」
それぞれの宝剣が、光り輝く!
そして、同時に剣を振り抜く!!
ヒュドラの首が、おもむろにずれていく。
俺は魔力強化により、危なげなく地上に降り立つ。
シノブも問題ないだろう。
叔父上は……地面にめり込んだな……まあ、大丈夫だろう。
さて、どうなった?
ヒュドラは再生する様子は……ない。
そして、胴体と首が塵のように消えていく……。
再生能力を失ったからだろう……。
「団長!やりましたね!!」
「おい!抱きつくな!剣持ってんだぞ!?」
「えへへー、照れないでくださいよー」
「……おい、まずは俺を助けるべきじゃないか?」
「叔父上!今引っ張ります!」
「あら?埋まってますねー」
叔父上は着地に失敗し、地面にめり込んでいた。
2人で叔父上引っ張りあげる!
「ふぅ、助かったぜ。やったな、ユウマ」
「ええ。この3人でなければ、無理でしたね」
まるで、宝剣がこの為にあるようだ……あの光といい、謎が多いな。
「ユウマーー!終わりましたのー!?」
邪魔をしないようにしていたホムラ達が、駆け寄ってくる。
さて、俺自身もよくわかってはいないが……どう説明したらいいやら……。