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その軽〜いノリで言われた業務命令を受けた後が大変だった。
王宮に呼ばれて、業務内容を王直々に聞いたら、さらにありえない!と思った。
基本的に王宮外交だった。但し、途中誰にも知られず、一人で某王宮までいけという。
どこの隠密ですか?そんな訓練受けてません。ただの神官ですから。
現地まで1か月ほど。
自分には若干の放浪癖があるため、山越えなど若干サバイバルには自信ある。
問題は着いてからある。
会食はともかく、社交界、ダンス、絶対無理!
いつもは、仕事が忙しいとか社交的な幼馴染に丸投げとかで逃げまくってきたのだが。
周りも自分にコミュニケーション能力がそこまでないとわかっているはずなのだが。
国交を樹立していない国での外交という事は…、自分の対応一つでやばいことになりかねない。無理!
普通、王族が行くやつじゃなくて?
この仕事はやっぱり日々いろんなところに呼ばれて遊びまくっているヤツ向き案件だろうと思って、ヤツを探しまくったが、出発期限までに見つからなかった。どこにいる?
見つからない。
なんということだ!
きっと山越えがいやで、姿を表さないに違いない。
いろいろ思うところがありながらもこの仕事を引き受けざるを得なかった。
王命なんだよ。断れない。
数人に挨拶をした後、こっそりとルアナ王国を出発したのだった。