はじまりは、ため息とともに。
この世界は、神からのお言葉を古くから言い伝えとして伝承している。
そして、代々ご神託を受諾する家系も存在し、ほぼ、王家として血を残している。
各王国家は、薄めない様に他国との交流を絶ってきた。
各王国毎に、髪の色や体質、魔力の系統も違いがある。
一般人は、少しずつ混血していったが、王家に近い者は、その力を色濃く残している。
中でも、光女神イルサリアを神として崇め奉るリクカス王国には、神に愛でられた人々が住んでいると言われる。容姿は麗しく、魔法力に優れた人達が、生活を送っている。
1人の若者が、難しそうな顔をして歩いていた。
ごくどこにでもいる育ちの良さそうな少年である。
彼の住んでいる国では、だが。
ここはリクカス王国。
フルーラデデイア大山脈を挟んで国境を接するが故に長年敵対する国の王宮内。
王宮内ということもあるとは思うが、ここの人間は揃いも揃って美男美女である。
神々に愛されている人種というのは誇張ではないということをここへたどり着く間に理解した。
老若男女問わず。
『見た目的にも立場的にも絶対にあいつが来ればよかったのではないか?私は外交も向かんし、なぜ私にこの仕事がふられたんだ?』
仕事を押し付けて遊びに行ったであろう超社交的な金髪美少年の幼なじみを思い出し、さらに苦虫を噛み潰したような顔をした。
中庭を見上げてため息をついた。
思い起こせば、ここへたどり着くまでも、大変だった。
国王から直々の指示で外交の仕事に行くにも関わらず、だ。
自国の国境越え時、許可証があっても若すぎて怪しまれて通してくれない(話くらい通しておけ!)とか、途中、幼女に絡まれたりとか…。