餓舎ヶ原ノ合戦 幕間
『西ノ大嶋』『中ノ大嶋』『東ノ大嶋』三つの大嶋よりなる『ホツマノ界』に、千年の太平をもたらした主上。
やがてその権勢は衰え、戦国の世が訪れる。
乱れに乱れた世を鎮めんと興った『勧請宗』は『現世往生』『今生化生』を旗印に、宗徒を増やし、国主達を帰属させ、勢力を拡大。
ついに二つの大嶋を平らげ、主上の居ます都『常春京』おも陥し、残すは『東ノ大嶋』のみとなる。
しかし、打ち続く戦の中、宗旨は峻嶮に変じ、行いは苛烈を極め、
勧請宗第三代法主、慧厳の治世ともなるや、一片の慈悲心も失せ、
一度教敵と定めた相手には、女子供の区別なく悉く屠り、一木一草残らぬまで滅する『聖絶』を敢行。
『ホツマノ界』は阿鼻叫喚の地獄絵図に塗り替えられた。
事、此処に至り『勧請宗』に反する国主達は、戦国の世の因縁を越え、盟約を結び『列国同盟』を興し、慧厳率いる『勧請宗』に戦いを挑む。
これを受けた慧厳は『列国同盟』が拠る『東ノ大嶋』に大軍を差し向ける。
だが『中ノ大嶋』と『東ノ大嶋』隔てる『関ノ峰々』での『列国同盟』の抗戦の激しさに軍を引く事となり、
これに逆に勢いを得た『列国同盟』は『中ノ大嶋』になだれ込み、離反した国主や民と合流し『常春京』を奪い返し『西ノ大嶋』に迫らんとしていた。
そして『西ノ大嶋』と『東ノ大嶋』の間に広がる地峡『雁首ノ洲』に広がる原野『餓舎ヶ原』で、両軍が対峙するに至った。