はじめに
目指せ大衆文学。
「私は、お二人のことが大嫌いでした」
純白のドレスに身を包んだ親友の笑顔が消えた。美しい新婦と照れて口元を緩ませた新郎、二人を祝福する参列者。友人代表の挨拶は祝いの場に相応しくない一言で始まった。
これから私が読み上げる手紙は、二人にとって悲劇の始まりを知らせるベルになる。
思いつきの135字を打ち込み手を止めた。物語はこれで完結である。何度か校正はしたが、おおかたのストーリーを打ち込むのに大した時間はかかっていない。読者の皆様におかれましては、こんなもの小説と呼ばない、これより先のストーリーがなければ小説ではないとお思いかもしれません。そして、ここの文章などエッセイではないのかと。
では、これは私が妄想の恋を綴るエッセイということにして、筆者の自己紹介をいたしましょう。
先月、22才に別れを告げた独身の者です。お付き合いしている人もいませんし、そもそも交際経験すらありません。私のように開き直る若者も現代では多くいらっしゃるでしょう。そして、私たちのような者が絶望を感じるという結婚式や披露宴にも参列したことがありません。ですから、先述した物語はドラマや漫画、他の小説で読むようなどっかの物語から想起させて無理やり書いたものでリアリティなどとても表現されていないでしょう。
さて、ここでこの小説を読む上での注意点を申し上げます。一つだけ、どうか寛大な心でお読みください。23の若造が書いたものであることをご理解いただき、途中で常体から敬体になろうが、現代において辻褄が合わなかったり現実味がなかったりしようが、作者の妄想の恋と価値観が合わなくなろうが、最後まで読んでいただきたいのです。
そして、読者のあなたが共感したところ、共感できなかったところ、違和感をおぼえたところ、笑ったところ、泣いたところ、面白くないとおもったところ、腹が立ったところ……なんでもかまいません。あなたの人生の中で、一度でも思い出していただけたら嬉しいです。できれば、恋をしたときに。
前書きが長くなりました。それでは、恋を知らない少女の話にしばしお付き合いください。
ずっと脳内妄想していた作品です。
ビューティフル・サンデイっていう舞台いいよね。