武器を考える
「外に出て、真っ先に出くわす危険生物は何だろうか……」
まぁ、こんな状況だから人間ですら信用ならんのだが、それ以外にも犬、猫、ネズミにカラス。このあたりはマジで危険だ。
となると、こいつらに対抗できる武器が必要……というわけだが、まぁ、とりあえず武器が金属であることは当然だろう。その中で俺が扱えるものを持っていくしかない。
「部屋にある金属で武器になりそうなものは……っと」
こうして、俺は部屋にある金属を片っ端から集めた。集めたものは、包丁、カッター、ナイフ、フォーク、ドライバー、キリ、ハンマー、ホチキス、ハサミ、鉄アレイ、シルバーラックのポールやラックの棒部分とかか。
「確か、俺は切断系武器だと補正がかかるんだよな。」
俺はスキル「切断」により、切断武器を使った場合の攻撃力が2倍になる。それを生かさない手はない。なので、包丁、カッター、ハサミ、ナイフ辺りは必ず持っていく。
「だが、どれも扱うには脇に抱えるようにして振るわないといけないのが何とも……」
包丁に至っては脇に抱えるようにしても厳しい。能力値のおかげだろうか、不思議と簡単に振り回せはする。だが細かい操作は無理だ。
「まぁ、ナイフかカッター辺りが妥当なところだよな。」
ちなみに、俺の持っているナイフは所謂果物ナイフというやつで、鞘がついているから携帯には便利。ただ、柄の部分を含め、俺の体と同じくらい大きいから脇に抱えるわけにもいかない。
というわけで、皮のベルトを切り裂いてナイフの鞘に取り付け、たすき掛けできるようにした。これで持ち運びも問題ない。
「あとは……そうそう、確か「収納魔法」というのがあったな。どうやって使うんだ?」
《回答:念じるだけで十分です。「収納」と念じれば対象物は異空間に収納され、「取り出す」と念じれば異空間から対象物を取り出すことができます。なお、異空間に収納されているモノは「参照」と念じれば画像形式で表示可能です。これにはMPは消費しません。》
「成程な。じゃあ、「収納」」
俺は早速武器になるものをまとめて収納しにかかった。確か、収納スペースは魔力値×?だ。だから今の俺は27?の体積まえ収納可能。これは縦横高さが3メートルの空間に等しい。小さくなった俺としては結構な広さだ。
たちどころに異空間に収納されていく道具を見ながら、俺は呆気に取られてしまった。
「これは確かにすごいんだが……この状況になれるのは少し時間がかかりそうだ……」
そうそう、武器になるのは何も金属ばかりじゃあない。
スマホの充電ケーブルや、マウスケーブル(無線じゃないんだよ)、それに家電製品のコードケーブル。これらも相手を縛ったりするのには有効かもしれない。そう思って、部屋にあるケーブルは片っ端から収納魔法で取り込んだ。
武器だけじゃない。衣類や布団、それにサランラップやアルミホイル、ティッシュなどの生活必需品などなど、部屋にあるありとあらゆるものは一通り収納した。
「そしてこれが最後だっ……」
最後に収納したのは水と食料。家にある食料は全て収納した。
さて、何度も収納魔法を使ったからMPはすっからかんになっている。今日は部屋でこのまま寝るとして、明日外の世界に出てみよう。MPは寝れば回復するらしい。そして、準備をしていたらすっかり日も暮れかかっていた。10月にもなれば日が落ちるのも早いものだ。
それにしても、俺の家の周囲はそれなりに騒がしさもあったが、無事我が家はこの大変革した世界の初日を乗り切ることができた。神という存在がいるのなら、その神に感謝しなければならない。きっと今日一日で相当な人間がトラブルに巻き込まれ、下手すれば死んでしまったことだろう。
俺はそんなことを考えながらベッドに横たわり眠りについた。
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