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身なりを整える。

 「さて、スキルはこんなものでいいとして、問題は……」


 そうして俺は自分の身なりを見回した。見回したところで何もない。俺は素っ裸なのだから。

 今は10月。部屋の中は温かいが、外に出ればそこそこ冷える。


 それに、体が小さくなったということはそれだけ体温の維持が大変になるはずだ。しっかり着込んで、さらに食料の準備もちゃんとしないとあっと言う間に死んでしまう。


 「服はどうするかな……」


 当然、俺のサイズに適した服なんてない。いや、あったら俺はそういうお人形さんを部屋に置いて楽しんでいる男……というわけになるが、勿論そんな趣味はない。


 というわけで、服の生地に使えそうな布を体のサイズに切って何とかするしかないのだが……当然裁縫道具もなければ裁縫知識もない。


 「しゃーない。とりあえず、下着は下着の素材を適当に切って……糸は―――適当に解れた衣類の糸を使うか……針はホチキスなんだが……」


 そう、ホチキスは机の上に置いてある。勿論、今の俺からすれば見上げるような高さだ。だが待てよ?


 成人男性の垂直飛びなんて、50センチ程度。身長が1/10になったというのなら恐らく垂直飛びも1/10になって5センチ程度のはず。


 「さて、恐らくジャンプ力というのは敏捷あたりのステータスに依存すると思うんだが……今の人類の成人男性の敏捷が1ポイントだとすれば、俺はその100倍以上だ。例えば、元々垂直飛びが50センチだったやつが小さくなったとしてだ、体のサイズが1/10だから飛べる高さも1/10の5センチになったとして……敏捷1ポイントで5センチ飛べるのなら、俺は……え? 5メートルくらい飛べる計算になるんだが……マジ?」


 まぁ、やってみないと分からないからな。とりあえず、俺は垂直飛びを試してみる。


 すると、俺はぐんぐんと上昇していき……いかん、マジで天井にぶつかった。


 「ぐぬぬ……そっか、体は凄く軽くなったのに対し、肉体の強さはむしろ強くなったからこういうことになるのか……しかし、ちょっと楽しいかもしれない……」


 いかん。世界がヤバイ状況になっているのに少し楽しんでいる俺がいる。

 だが、楽しむのは後にして、俺は机に上がるとホチキスを取り出して芯を抜き取った。そして芯を伸ばして針状にして裁縫を試みる。


 「おお、意外とうまくいくもんだな……」


 俺はとにかく黙々とパンツ、シャツと作っていく。作りは簡単だ。前と後ろの2枚の布地をハサミで切って作り、その2枚を縫い合わせる。ちょっと大きめに作るのがポイントだ。そして、ゴム紐というのは手持ちがないので、紐で結ぶような造りにした。


 ああ、布地の裁断はハサミを使った。しかし、なぜかやたらとハサミの切れ味が良すぎる。百均で買った安物のはずなんだが……はっ!? 俺はふと気になってスキルを見回した。


 「切断」Lv10……その効果は切断攻撃の威力向上。


 どうやらこのスキルの効果でハサミの切れ味が強化されたのか。それならそれで都合がいい。というわけで、俺は次から次へと下着を量産していった。ワンセットじゃあ足りない。最低5枚は欲しい。


 そうして上下の下着が完成したところでようやく俺はひと段落した。


 「ふぅ……ようやく落ち着いた。」


 そりゃ、素っ裸なんてちょっと落ち着かないもんな。この部屋には俺しかいないにしても、だ。

 しかし、まだまだこれは序の口。下着だけ着て外に出られるかっての……


 というわけで次はズボンとパーカーを作る。ズボンはジーンズ生地で作った。そして、何故パーカーかといえば、まぁ、そっちの方がかっこいいからだ。出来上がった服はまぁ、不格好ではあったが、ちゃんと着れる。


 これも下着と同様に5着作った。


 そして最後が靴……これがむずかしい。


 靴ってすっごく複雑な構造なんだよな。当然靴の知識なんてない俺には作れない。だが、何か履いとかないとマズイ。というわけで、とりあえず皮のベルトを靴底として活用することにした。

それにサンダル風のベルトを取り付ける。


 ベルトは輪ゴムを三つ編みにしたもので代用した。細さと強度、それに柔軟性を考慮し、なおかつ部屋にあるもので考えた結果がそれだ。


 そして整えた身なりを鏡で見て……


 「うん、ダサい」


 それしか言葉が見当たらない。黒のパーカーに青のジーンズ。そこまではいい。そしてサンダル……これが季節が夏で、着ているものもパーカーじゃなくてただのTシャツとかならまだよかっただろう。


 「まぁ、贅沢は言ってられないよな……しかたない、今はこれで我慢しよう。」


 さぁ、とりあえず身なりは何とかなった。次は武器だ。

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