プロローグ:夢
《職業を選択してください。》
一体何の話だろう? 職業? いや、屠畜場の職員なのだが……今更職業を選べってか?
屠畜場というのは、食肉用として飼われている牛や豚を肉にする場所で、俺は正にその家畜の命を奪う仕事をしている。それも1日に数百頭は相手にする。
いや、そもそも俺は確か寝ているはずなんだが……その俺に職業を選択しろとは一体どこのどいつだろうか?
「……」
俺は無視することに決めた。しばらくしたら収まるだろう程度に考えていたのだが、甘かった。
《職業を選択してください。》
俺は頭を抱えた。どうやら職業とやらを選択しないとこの状況は続くらしい。だったら、適当でもいいから選んでさっさと終わらせよう。どうせ職業を選択しても所詮は夢の話。明日もまた仕事だ。
「どんな職業があるのか選択肢を出してくれ。」
俺は面倒くさそうに尋ねた。
《選択可能な職業は以下になります。
・屠畜人
》
「ちょっ、ちょっと待て? 選択肢一つしかないじゃん。」
おいおい、てか、わざわざ選ぶ必要ないだろ。それ今の俺の仕事じゃん……
だが、この謎の声はしつこく職業を選択せよと迫ってくる。
《職業を選択してください。》
俺はもうどうにでもなれ……と思った。
はいはい分かりましたよ……その屠畜人でいいよもう……なんか、夢の中だけでも、夢がありそうな職業がよかったな。社長とかさ。
「それじゃ、屠畜人でよろしく。で、もういい?」
《職業は「屠畜人」を選びました。初期ステータスは以下になります。ご確認ください。
名前 :佐久間 翔太
レベル: 1
HP :1200
MP : 800
攻撃 :1100
防御 :1000
敏捷 : 800
魔力 : 500
PT : 0
職業 :屠畜人 Lv1
スキル:「スタン」Lv1, 「切断」Lv1, 「剥ぎ取り」Lv1
職業説明
屠畜人:獣相手に戦闘する場合、ステータスが上昇。
獣を倒した場合、得られる経験値がアップする。
スキル説明:
「スタン」 :攻撃にスタン属性を付与する。相手を気絶させることができる。
「切断」 :切断攻撃の威力向上。
「剥ぎ取り」:倒した相手の素材を上手く剥ぎ取ることができる。
》
おお……なんだかゲームっぽいな……夢の中なのによくできている。そしてスキルもまさに屠畜人らしいものばかり。
それにしても、いきなりステータスとやらを見せられても、これがすごいのかどうか、強いのか弱いのかどうか、よくわからない。
《ステータスの値は、一般的な成人男性の能力値を1000として考えてください。》
「ふぅん? ということは……平均以下の項目がいくつかあるから弱いってことか……まぁ、夢の中の話だから別にいいんだが……って、この夢はいつまで続くのやら。」
断っておくが、俺の体系は至って普通だ。年齢25歳にして身長は185センチ。体重は80キロ。職業柄、力仕事が多いから身長に対して筋肉のせいで体重は多いように思う。
まぁ、ステータスなんてどうでもいい話だ。どうせ夢だし。
《一週間後の12時に開始となります。それまでしっかり準備をしてください。》
「へいへい。よくわからないけど承知しました。それじゃあな。」
その時刻に何が始まるんだろう? まぁいっか。どうせ夢だ。
俺はその謎の声の内容を軽く無視して眠りについた。
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