別れ道
シリアスです。
ユラは、目を覚まし昨日の事を思い出して、思わず勢いよく起き上がる。だが、目眩がしてゆっくりベッドに倒れ込む。ヴァイスは、驚いて慌ててユラに駆け寄る。ユラは、枕にうつ伏せに倒れ呻く。
主神は、窓の外を見ていた。クリュセトは、紅茶を優雅に飲みながらユラとヴァイスのやり取りを見ている。カリオスは、壁に寄りかかり真剣な表情。
「ヴァイス、今何時かな?」
「現在時刻は、8時半過ぎですね。」
ユラは、今度こそ起き上がる。そして、驚いてから苦々しく呟く。勿論、ヴァイス達にも聞こえてる。
「うん、完全に遅刻だね。」
ユラは、はっちゃけたように笑う。
「ハイリヒ様は、昨日の件が有りましたので。急遽ですが、本日は休みになりました。」
カリオスは、真剣な表情を崩さずに言う。ユラは、小さくため息を吐き出して俯く。
次の瞬間に、カリオスは痛みに顔をしかめる。
「…………っ!!」
「そう、帰って良いよ。」
ユラは、黄金の瞳を輝かせカリオスを見る。カリオスは、ユラとの繋がりが切れた事に気が付いた。主神は、驚いてユラを見ている。クリュセトも、意外だったようで目を丸くしてユラを見る。
同時刻に、カリオスを含む他のメンバーからユラの与えた祝福が消えた。ユラは、カリオスに目を向ける事なく無言で部屋から出ていった。
ヴァイスは、慌ててユラを追いかけた。
「ユラ様、良かったのですか?」
「何が?」
ユラは、ヴァイスの問い掛けに苦笑を返す。
「カリオス様に、悪気は無いと思われますが。」
「友人だった彼に、あんな表情で警戒され怖がられたら僕だって身を引くさ。それが、彼の幸せに繋がるのなら僕は喜んで姿を消すしね。」
ヴァイスは、思わず青ざめた。ユラは、貴族の証である香水とバッチを取り出す。そして、身分を返上すると手紙を書いて。家の者には、王宮に帰るように命じた。全員が、頑なに断ったがユラに最終的には説得させられてしまった。
そして、王宮医療班の副団長を辞退する事も手紙に書いて、ヴァイスに王宮に持って行かせた。
「ユラは、これからどうするんだ?」
「勿論、この国から出て行きますよ。」
すると、主神は苦笑してから言う。
「お前は、それで苦しくないのか?」
「とても、苦しいです。でも、それより親しい人達に拒絶される方が、僕にとって何より怖く辛い。」
ユラは、涙を流している。そして、それを隠すようにフードを深くかぶり門から出ていった。
「ユラ……。」
「でも、良いのかな?レレット王国から、君が去ると国は滅びるよ。彼らも、決して無事じゃない。」
クリュセトは、ユラに暢気に問い掛ける。
「別に、構わないです。もう、僕と彼らには繋がりは無いので。どうなろうと、僕には関係ない……。」
ユラは、苦し気に答えると迷わず歩き出す。それを見て、クリュセトは苦々しく呟いた。
「何であの国は、ユラ君の恩を仇で返すのかな。」
「………さて、俺は帰るよ。また、絶対に会いに行くからな。それと、名前は本当に消しても良いのか?消されると、あっちの人間の記憶からも消えるぞ。つまり、榊 暦という人間が存在してない事になるんだ。つまり、お前は忘れられてしまう。」
ユラは、無言で頷いた。主神は、困ったように笑って姿を消した。すると、ヴァイスが現れる。
「私は、ユラ様の眷族ですから。ネヒトは、天界に帰りましたので安心してください。サーカスも、軌道に乗ってサポートの必要が無くなりました。」
「そう。これで、思い残す事は無いね。でも、ヴァイス……王宮執事に戻らなくて良かったの?」
ユラは、暢気にヴァイスに聞く。
「ユラ様の居場所が、私の居場所ですから。」
「そうだ、ユラ君。僕と、契約しないかい?」
クリュセトは、暢気に言う。ユラは、苦笑して嫌だと言うとヴァイスの後に隠れる。
ヴァイスは、苦笑して歩くのだった。
「では、我も同行しよう。」
「リュー様!?」
ユラは、驚いてから嬉しそうに笑った。
カリオスは、報告書を見て青ざめていた。だが、後悔しても仕方がない状態だった。
「カリオス、ユラ君は国を出たらしいよ。」
ユリスは、静かな瞳でカリオスを見ていた。
「まぁ、俺達から恩恵が消えたことからして………」
レオは、苦笑してから窓の外を見る。
「この国は、ユラから………竜神ハイリヒ様から見捨てられた。結局、ユラには恩を仇でしか返してないなぁ。俺達、学園では同級生でもあったのに。」
オズは、不甲斐なさげに言う。
「僕達も、最低だよね。正体を知ったとたん、ユラから遠ざかって勝手に怖がる。ユラだって、とても辛かったと思う。もう、帰って来ないのかな?」
クルトは、寂しそうに呟いた。
カリオスは、無言で窓の外を見つめた。
主神「あー、最終回っぽいが違うぞ?」
クリュセト「まだ、カリオスとユラ君の………」
作者「ストップ!ネタバレ禁止!」
ヴァイス「まだ、契約を破棄しただけですから。」
作者「ヴァイスー!」
ユラ「何か、歯止めが効かない人達でごめん。」




