表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/115

ユラの秘密

ユラは、竜王に寄りかかり目を閉じ過去を振り返ってみる。そして、重い口を開き言う。


「まず、僕は元異世界人だ。僕はね、前世はここで言う商会の従業員でね。だけど、子供からの付き合いの親友に殺されてしまった。」


すると、カリオスは前に友人に殺されかけ生死をさ迷った話を思い出してユラを見る。実際は、本当に死んでしまったのかと。ユラは、どこか人を避けていたり本心を言わない事がある。


何か、納得してしまった。同時に、自分もこの仕事をしている限りはユラを利用するかもと思うと慰めの言葉は出せなかった。カリオスは、黙り込む。


ユラは、そんなカリオスを見て悲しく思う。ため息を吐き出して、疲れたように静かに目を閉じる。


「ユラ、大丈夫なの?」


クルト王子は、少し驚いてユラを見つめる。思わずユラは、驚いて目を開きクルト王子を見てから優しく笑う。これは、良い腕の魔術師になると思って。


「あれ、もしかして見えてるのですか?」


「ユラ、魔力の流れがおかしい。」


ユラは、大丈夫と頷き暢気に笑う。


「それにしても、クルト王子もお強くなられましたね。これなら、護衛どころか騎士団長として育てるのも良いかもしれませんね。ふふっ、将来が楽しみです。きっと、素晴らしい活躍なさるでしょう。」


クルト王子は、ユラの言葉が最後の言葉に思えて思わずユラの腕を掴んで泣きそうな表情で言う。


「嫌だ、何処にも行かないで……」


ユラは、少し驚いて困ったように笑う。


「今は、まだお側に居ますよ。ですが、私はこの世界では異端な存在なのです。なので、いつまでもは申し訳ありませんが無理な話です。」


「ユラは、レレット王国は嫌い?」


ユラは、暢気に笑い言う。


「勿論、居心地が良さ過ぎるほど好きですよ。ですが、それとこれは別問題です。」


「そっか……。うん、話を続けて。」


ユラは、後でクルト王子のフォローをしようと思いながら続きを話し出す。


「転生人と異世界人、どちらが強いか知っていますか?答えは、転生人です。何故ならば、この世界の肉体を持ち異世界の魂を持つからです。」


「ん?いったい、どう言う事かな?」


ユリスは、キョトンとしてユラを見る。


「肉体がこちらのものなので、適応力があり魂があちらのものなので異世界人同等の能力を持つ。だから、主神は僕を強制的に神聖賢者という役職につけさせた。ちなみに、異世界人は適応力が無いので此方の病気で死ぬこともあるらしいですよ。」


すると、ユリスは納得して苦笑する。


「つまり、敵対すれば勝ち目は無いから利用するとか考えるなよって事だね。さすが、そこまで警戒されて牽制されれば手は出せないし諦めるよ。」


「さて、そしてこの眼についてです。」


すると、ユリスは恐る恐る聞く。


「それって、真実の瞳だよな?竜神様が、眷属の1番信頼できて頼りになる者に与える。」


「おや?ユリス様は、この神眼をご存知で?」


すると、ユリスは頭を押さえる。


「あぁ……。その眼を持つ者は、短命で年若くして死んでいると言われてる。だから、竜神様は滅多な事がなければ眷属にも与えなかったらしい。さて、なんで賢者である君が持っているんだい?」


「その前に、ユリス様は竜神を信仰してます?」


すると、ずっと黙っていたカリオスは言う。


「ユラ、前に教えたでしょ?エルフは、竜神を信仰する。精霊王を、信仰してたけど種族としてこの地に現れてから竜神を信仰し始めたんだ。」


ユラは、そう言えばそうだったと頷く。


「私を、転生させたのは竜神様ですからね。前世に、竜神様を助けたらしくお礼にと。最も、そのせいで主神に怒られ最悪は断罪まで追い込まれて。僕が、大人しく神聖賢者にならなければ死んでました……。ちなみに、転生した時に神竜の逆鱗を飲まされて私の寿命は悪魔やエルフよりも長生きなんですよ。だから、竜神様はこの眼をくれました。僕が、悪い人に利用されないように。」


すると、ユリスはなるほどと頷く。


「でもさ、その神眼は人には過ぎた力だ。君は、大丈夫なの?少し、辛そうに見えるけど。」


「大丈夫ですよ。僕が、正気を失わない限りは。」


カリオスは、何と言って良いかわからなくなる。


「そっか。それにしても、転生児で竜神様の家族で神聖賢者って過剰ステータスだろ。」


「怖いですか?」


「いいや、ユラ君が無意識に暴れる存在なら怖いけど。でも君は、自分の力を理解してちゃんと使いこなしてる。もちろん、文句はないよ。」


すると、クルト王子も笑って言う。


「僕は君が、何者であろうが気にしないよ?」


「でも、カリオスには時間が必要かな。」


ユリスは、カリオスを見て真剣に言う。


「分かってます。さて、そろそろ行きますね。竜王も、取り敢えず国に帰りなよ。僕は、大丈夫。」


竜王は、頷き姿を消した。ユラは、足早に去る。クルト王子は、少し迷ってユラを追いかける。




ユラ達が去った後で……


「カリオス、お前の気持ちは分かる。けどな、お前はユラ君の友達なんだろ!何で、声をかけない。」


ユリスは、思わず怒ったようにカリオスに言う。


「僕は、どう言えば良いか分からなくなって。」


「お馬鹿!あのさ、いつもの通りで良くないかな?ユラ君は、きっと怖かったんだ。知られて、態度が変わったり今の関係が崩れるのがさ。察しなよ!」


カリオスは、苦笑して頷く。


「そうだね、一番怖かったのはユラだ。」


「今日は、ユラもここに泊まるらしい。ちゃんと、友達と思うなら話しするべきだよ。」


ユリスは、ため息をついて歩く。


「うん、ありがとうユリス。」


「僕は取り敢えず、ユラ君に敬語なしで話して貰えるように頑張るよ。カリオスだけ、羨ましい!」


カリオスは、笑いながらユリスを追いかけた。

レレット王国に帰り、学園生活が始まった。そんななか、ユラは竜神から神託を受ける。そして、とある国がレレット王国に宣戦布告。理由は、クルト王子!?王宮では、クルト王子を殺すべきだと騒ぐやからも出てきて……どうなる!?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ