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男から女へ(※性転換)

主神様は、少しだけ迷うようにユラに言う。


「ユラは、レレット王国の聖女育成学園を知っているか?と言うか、知ってるよな?」


ユラは、キョトンとして首を傾げた。そして、少し考えてから主神を見て頷く。その顔に、嘘はない。


「確か、王都の南側にある女学園でしたよね?」


「そうだ。最近、生徒の態度やらが問題でな。」


ユラは、苦笑している。聖女育成学園は、文字通り聖女やシスター等の女性聖職者を教育する。そこの生徒が、何かしら粗相をしている。それは、神の信仰を妨げ敵対している事を意味する。


そして、それを見逃している国神は……罰を受ける。


ユラは、今は国神ではない。だが、変わった国神は若輩者である。だから、主神はユラにお願いした。


しかし、ユラは余り乗り気では無さそうだ。何故ならば、女学園なので基本男性は入れないのだ。つまり、入るには女装をする必要がある。


勿論、薬で女性になるのも可能だが。


「彼はまだ、国を支える事に必死ですからね。」


「と言うわけで、お願いできないか?」


ユラは、困ったように悩む。過去に、依頼で女性になり情報は引き出せたが、相手から求婚された記憶を思い出す。15歳で、そうだったのだ。今のユラは、見た目は20歳前後なのである。


いくら、女の園でも男が絶対に入らないとは限らない。ユラは、うーん……。っと考えている。


「ちなみに、護衛はクルトで召し使いはオズに頼んである。後は、ユラの返答次第なんだよな。」


「それ、僕に拒否権は無いですよね?」


ユラは、思わずジト目で主神を見る。


「でも今、聞いてるだろ?」


素晴らしい笑顔で、わざとらしく明るくおどけながら言う。ユラは、疲れたようにため息を吐き出す。


「それ、逆ですから!まずは僕に、ちゃんと話してから2人に頼むべきです!本当、非常識ですよ!」


思わず、叫ぶようにツッコミを入れたユラ。


「それで、受けるのか?断るか?」


「これ、断れる内容なんですか?」


ユラは、不機嫌そうに尋ねれば主神は苦笑。


「まぁな、お前は関係ないし。俺が、お前を巻き込もうとしているだけだ。俺だって、若い神が殺されるのは良くは思わない。だから、救済処置というかチャンスを他の神々に認めさせた。」


「やっぱり、断れない案件じゃん!」


ユラは、思わず敬語を忘れて言う。


「そうか?」


「そもそも、それは外堀を埋めといて言う台詞ですか?僕には、お前には拒否権はない!にしか聞こえませんでしたよ!もう、仕方ない………ヴァイス。」


ヴァイスは、笑顔で頷くと手帳にペンを走らせる。


「畏まりました。予定は、此方で調整致します。」


「済まないな、厄介事ばかり押し付けて。」


主神は、本当に申し訳ない様子で言う。


「そう思うなら、無理難題や厄介事は控えてください。僕だって、出来る限度があるので。」


そう言うと、椅子から立ち上がり薬品棚から薬を取り出す。性変換薬、または性転換薬と呼ばれる薬である。そして、服をどうするか迷う。


「分かった。それと、服ならこれを着てくれ。」


ユラは、服を受け取ると寝室に向かう。そして、少しだけ躊躇ってから薬を一気に飲みほした。


「うぅ………、やっぱり痛い。」


骨格から、女性の肉体になるので痛いのだ。勿論、痛覚麻痺の薬も飲みながら。でないと、痛みで気絶してしまう。それは、少しだけ不味いのだ。


「はぁ………、やっと終わった…………。」


ユラは、小さく呟きゆっくり着替える。もっちりした色白な肌に、腰まで伸びた美しいストレートの黒髪。そして、思わず視線が向かうような胸。膝元までの、黒いスカートでいかにも女性の先生だ。


寝室を出ると、主神様は赤い眼鏡をユラに渡した。


「やっぱり、この眼鏡が似合うな。」


「スカート、やっぱり嫌いです………。」


ユラは、眼鏡を受け取りかけて鏡を見る。鏡には、誰もが見惚れるだろう大和撫子のような美女。


メイドが、ストレートの髪に編み込みをいれる。


すると、ノック音の後にカリオスとシアンが来る。ユラは、反射的に魔法でもとの姿になる。


「ユラ、お取り込み中だった?」


「いいや。今、ちょうど終わった所だよ。」


カリオスは、ユラを見てから笑みを消す。


「でっ、何を隠してるの?」


ユラは、目を逸らして気まずそうに言う。カリオスは、最強の魔術師なので魔力の流れも読めてしまうのだ。ユラを包む、魔力の流れを見逃す訳がない。


「あー、しまった。今回は、見逃してくれない?」


「はぁ………、内容しだいかな。」


カリオスは、ため息を吐き出してから言う。


「主神様、説明をお願いします。」


主神様は、カリオス達に今回の件の説明をする。


「つまり、ユラは今………女性なのか?」


「……………うん。」


シアンは、興味津々な表情である。ユラは、渋々と頷くと2人を見て苦笑する。カリオスは、満面の笑顔でシアンも見たいと顔に書いてある。


「と言うわけで、暫く王城から抜けるから。」


「了解。その代わり、ユラの今の姿を見せて。」


シアンは、完全におふざけモードである。ユラは、即答で嫌そうな表情をして鋭く断る。


「嫌だ!」


「ユラが、そこまで嫌がるなんて珍しいね。」


カリオスは、完全に静観するつもりのようだ。


「………………。」


「ユラ、命令おねがい♪」


ユラが、その言葉を聞いた瞬間に魔法が解ける。


「え?」


「おぉ………」


ユラは、その反応を見て寝室に全力ダッシュ!


「うわぁーん、カリオスの馬鹿!人でなし!」


「うん、息子も良いが娘も可愛くて良いな。」


主神様は、それだけ言うと帰った。


「え?あ、ごめんユラ!」


「なるほど、あの姿は異性には見せられないよな。おそらく、見られたら言い寄られてしまうし。」


シアンは、真剣に心配している。


「まさか、あそこまで美女だとは思わなくて。」


「「それは、同意する。(します。)」」


シアンとヴァイスが、思わず頷いてから言う。それから、ユラは夕飯になっても寝室から出なかった。

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