神聖医学術師の実力
※出てくる薬草は、存在しません。あくまで、設定も作者が勝手に考えたものです。(;・∀・)
テナコは、トゥルーフラワーを持たない。ユラは、落ち着いた表情でそれを見ていた。だが、暫くして小さくユラが頷き振り向く。カリオスは、キョトンとユラを見つめ返し首を傾げる。
「このままだと、どうしようも無いからカリオスの無実だけでもハッキリさせちゃおっか。はい。」
そう言うと、カリオスにトゥルーフラワーを渡す。カリオスは、花を受け取りユラを見る。
「質問するから、本心で答えてね。嘘をつけば、その花が枯れてしまうから。ちなみに、その花が本物かどうかの確認のためにその質問のあと嘘をついて貰うけどそこの手間は許してね。」
カリオスは、無言で頷いて優しく笑う。
「それじゃあ、質問するよ?カリオス、君はベザリ公爵を剣で害したの?害してないの?」
「いいや、してないよ。そもそも、僕は基本は杖しか持たない。今回は、持ち歩いてるけど剣を見てもらえば分かるけど人を切った事すらないよ。」
トゥルーフラワーは、白いままだ。ユラは、ニコッと笑ってからカリオスに嘘をついて貰う為に次なる質問をする。勿論、カリオスも大人しく従う。
「次は、嘘をついてね。カリオス、3日前に僕が届けたお菓子はマフィンだったよね?」
「いいや、ドーナツだった。」
すると、トゥルーフラワーは徐々に黒くなり枯れてしまう。これで、カリオスの無実は確定した。
「本当に、勿体ない使い方するよな。」
シアンは、苦笑しながらユラを見る。
「えっ、シアンどう言うこと?」
カリオスは、キョトンとしてシアンを見る。ユラは、目を逸らしグラスに口をつける。
「カリオス、さっきの花がどれくらい入手が難しいか知ってるか?それに、どれくらい保存魔法が高難度で扱いが難しくてあそこまで白く保ててるのは珍しいか知ってるか?それを、ユラはあっさり……。」
カリオスは、青ざめてユラを見るが既に目が逸らされている。なので、変わりにシアンが答える。
「トゥルーフラワーは、魔素濃度が高い岩場にしかない。当然、魔素が高ければそれだけ危険で狂暴でそれなりに頭の使える厄介な魔物が多い。だから、ベテラン達さえ避ける採取薬草だ。さすが、神聖医学術師様だ。これは、俺も負けてらんないな。」
カリオスは、疲れたようにため息を吐き出す。
「ユラ………。何か、申し訳ないよ。」
「ちなみに、保存魔法だけど極大魔術しかない。しかも、余程の魔力コントロールが良くないと純白の保存なんて出来ない。と言うか、世の中に出回ってる数少ないトゥルーフラワーの全てが少し変色した物ばかりなんだぜ?それで、弱小国が買える金額なんだ。純白のトゥルーフラワーが、どれくらいの値段なのか想像もつかない。と言うか、想像するだけで恐ろしい金額なんだけど。例えるなら、大国を買っても余るお値段と言えば分かるよな?」
それには、カリオスだけではなくその場の全員が青ざめた。ユラは、誤魔化し笑いをする。
「しかも、トゥルーフラワーは敵意と悪意と害意に敏感な花だ。採取や取り扱いは、SSSで俺でも扱いきれない。ユラ、将来はうちに就職しないか?」
「え?うん、考えておくね。」
すると、騎士団長の全員が驚いてユラを見る。シアンは、まさか考えといてくれるとは思わず動揺しながらも嬉しさにガッツポーズをしている。
「え?マジ?うん、考えといてくれ。」
「まぁ、どうせ死ねないだろうし……。」
ユラの小さな呟きは、当然だけどカリオス達にも聞こえておりカリオスは少しだけ安堵の表情になる。
「さて、カリオスは無実です。物理的証拠を、僕が示したら罪を認めるんですよね♪」
とても、可愛いらしい天使の笑みで言う。
「わっ、私はやって無いのだし罪はない!」
「でも、私はやって無いって事は殺人未遂には関わっていたんですよね?」
ユラは、天使の笑みから冷たい笑みに切り替える。
「あいつ、墓穴を掘ったな……。」
シアンが呟けば、周りも同意するように頷く。
「私は、何もしてない……そうだ、私は関係ない。」
「だから、どうしてそう頭の中がお花畑なのさ。」
呆れたように、ユラはため息を吐き出す。
「うるさい!私は、何も悪くないんだ!」
「テナコさん、貴方はベザリ公爵殺人未遂事件に関係あるんでしょ?墓穴を掘ってから、訂正しても遅いと思うのだけど?いい加減、認めたら?」
ユラは、ニヤッと笑うとテナコに最初に渡した花にかけていた魔法を解除する。偽装解除された花は、トゥルーフラワーでテナコも混乱してて気づいていない。もう、テナコには手元を見る余裕がない。
「違う!私は、関係無いんだ!」
「それは、手元の花を見てから言いなよ。」
テナコは、トゥルーフラワーを持っているのに気付いて手を離す。黒く枯れた、トゥルーフラワーの床に落ちる音がする。ユラは、テナコが大人しく罪を認めるとは最初から思って居なかった。
「みっ、認めない!私は……」
「貴方は、まるでタガラシ草みたいだな。」
なので、偽装したトゥルーフラワーを渡しあえて偽装なしのトゥルーフラワーを持つように語りかけたのだ。テナコは、予想通り最初に渡した花の存在を忘れていた。そして、ユラの話術によって墓穴を掘ったり嘘の言葉を言ったりしたわけだ。
「貴様、はかったな!」
そう言うと、テナコは剣を抜きユラに襲いかかる。
「僕は、カリオスの無罪を証明しただけだよ?お前にした、少々の小細工は目障りだからついで。」
たんたんと、有りのままを告げて冷たく笑う。
ユラは、テナコの剣をグラスの中身を溢す事なく回避するとあっさり気絶させてしまう。
「うん、実に弱い……。弱すぎる……。」
ユラは、それだけ呟くとグラスのジュースを飲む。テナコは、兵士によって連れて行かれた。
「それより、タガラシ草って?」
カリオスは、興味ありげにユラを見る。
「別名は、根絶やし草。水の少ない、砂漠地帯にある取り扱いSランクの薬草だよ。自分が生きるために、周りの草花を枯らして栄養を奪い取るんだ。要するに、自己中心的な草なんだよ。でも、砂漠地帯という事は食べるものが少ない。そして、周りの草花を枯らして栄養を奪い取るという事はタガラシ草は栄養をたくさん持ってる訳だ。というわけで、最後は砂漠に生きる草食動物に食べられるんだ。」
すると、皆は凄いとばかりに頷いている。
「つまり、ユラはこう言いたいんだね。他人を犠牲にして、自分だけ生き残ろうとするから自分より強い人に倒されてしまうと。なるほど、納得だね。」
「そういう事だよ。草食動物が狙うから、なかなか採取出来ないんだよね。それに、他の薬草と一緒に入れると他の薬草が枯れちゃうし。ちなみに、タガラシ草は栄養豊富でダイエットに向いた薬草でもあるんだよ。同時に、食物繊維も取れるし。」
すると、シアンが苦笑して言う。
「ちなみに、取り扱いがS~SSSランクの薬草はベテランやその道のプロさえ避ける数少なくはえてるのが希少な薬草だ。勿論、採取は超危険だし。」
それを聞いて、改めて皆はユラが凄いのだと気づかされる。そして、ユラは暢気に笑うのだった。




