秘密と驚愕
さて、勇者一行が僕の所に来ている。他の人は、興味深くこちらを見ている。
「さて、何で賢者達を連れてこないの?」
「だって、ギラギラした視線が疲れるんですよ。」
ユラは、頭が痛そうにため息を吐き出して言う。
「あのね、彼らは君の護衛なのっ!」
「でも、さ……ユラさんに会いに行くって言ったら普通に見逃してくれましたよ?あはっ♪」
ユラは、ピキッとして怒りを堪える。
「あのね、異世界とは違ってこの世界は命が軽いんだよ?だから、絶対に賢者とは離れないで!じゃないと、悪徳貴族や商人に利用されたりするよ。これ以上、勝手な行動をすると僕でも護りきれない。」
ユラは、真剣な表情で疲れた声で言う。
「ユラさんが、やっぱり俺達に護りの魔法をかけてたんだな。それにしても、ユラさんは凄い実力者なんだな。まぁ、神聖賢者って賢者のトップなら理解できる。でも、いろいろ不思議なんだよな。」
ユラは、言いたい事をすぐに理解する。
「そうだね。ここで、今から言う事を誰にも話さないなら秘密を教えても良いよ?どうする?」
『真名に、誓って……』
ゲテル君達も、聞く気なのかチェスを止めてる。
「その話、俺達も聞いて良いかな?」
騎士団長達、全員が部屋に入って来る。ユラは、少し驚くが諦めた様子で頷いてため息を吐き出した。
「僕は、転生した後に竜神と竜王から様々な教育を受けた。その間、時空竜が時を止めてたから歳は減らない。けど、知識や技術は自然とついてしまったんだ。今の僕に、止まった時間を足して年齢を付けるなら軽く1000歳は越えてるよ。」
すると、ユリスは固まってユラを見る。
「僕らより、歳上だったのかぁー!?」
「これで、歳と技術の違和感は理解できた?」
すると、勇者達はまだ質問があるらしい。視線で、会話をしてから切り出した。
「何で、竜神様はそんな英才教育をユラさんに?」
「うーん、それは……」
困ったように、笑うと言うか悩む素振りをする。それを見て、カリオスは真剣な表情をする。ユリス達も、笑みを消している。オズやクルトも、不安そうにユラを見ている。やがて、勇者が聞く。
「えっと、聞いちゃ不味い?」
ユラは、首を横に振り渋々と口を開く。
「実は僕、人間で有りながら人間じゃないんだ。」
シーーーン…………(沈黙)…………
「えっと、ユラ?説明を、求めても良いかな?」
「賢者達が、僕を神の子と呼んでたでしょ?」
すると、全員が驚き絶句する。
「でっ、でも…。ユラは、自分は人間だって。」
「僕は、神様が力任せに作り出した転生者だ。だから、この世界の人親はいないし親は神様。」
すると、カリオスは真剣な表情をする。
「力任せに、作られた身体は大丈夫なの?」
そういう、禁忌じみた術は余り良い結果をもたらさない。カリオスは、それを心配しているのだろう。
「うん、普通に過ごせばね。」
「そう、普通に過ごせばね?」
カリオスは、目を細めて笑っているが怖い。
「えっと、カリオス?怖いよ?」
「君の生活は、普通なのかな?僕には、そうとは思えないんだけど。是非とも、教えて欲しいな。」
ユラは、首を傾げるとキョトンとする。
「最近は、普通だと思うけど?」
「最近はね?でも、前は死にかけたでしょ?」
その言葉に、勇者達は驚き青ざめる。
「ん?うん、だけどちゃんと生き残ったし。」
「でも、相当なダメージを身体に受けたよね?何せ、生死をさ迷い声が暫く出せないくらいだったしさ。ごめんだけど、誤魔化さないでくれる?」
「まぁ、大丈夫なはず。」
「もしかして、命の危機とか無いよね?」
この身体は、この世界で生まれる事のなかった人の子に竜神の鱗と血を媒体にして僕の魂を肉体に定着させた感じで作られている。
そして、馴染んでから主神が血と魔力で不安定な身体を安定させた。つまり、2人の神の血が僕には流れている。つまり、例えるなら人間(仮)だろう。
けど、作られた身体ほど弱いものは無い。
「さて、どうだろう。」
紅茶を口に含み、苦笑してユラは目を逸らした。カリオス達には、それだけで充分だった。
「余り、長くは無いんだね。」
ユラは、曖昧に笑う。竜王は、影から人の姿になるとユラの頭を撫でる。すると、糸が切れたように倒れるユラ。カリオスは、驚くが竜王が苦笑する。
「さて、ユラが話す気が無いようなので眠って貰った。特に、カリオスには知ってて欲しいからな。」
「それは、どういう……」
しかし、それに答えたのは竜王ではなかった。
「それを、今から話す。カリオス、ユラを森へ返しては駄目だ。ユラは、あと2年と数ヶ月で死ぬ。」
主神は、ユラの頭を自分の膝にのせて座る。暫くして、カリオスはユラがここに2年しかいないと言った理由を知って青ざめる。
「どっ、どう言う事ですか?」
「ユラは、お前には言わなかったがユラが体調を崩した日があっただろ?あれは、神眼の副作用だ。このままだと、器である肉体が崩壊するのも時間の問題だろう。助かる術は、有るには有るのだがユラが嫌がる。俺も、どうしたら良いか困っている。」
すると、カリオスはユラを見て更に青ざめる。
「それで、助かる術は?」
「ユラが、人間をやめる事だ。竜になるか、神になるかの二択しかないけどな。因みに、ユラは俺と竜神の血が身体に有るからな。この時点で、もう既にユラの神様としての力は動いてる。」
すると、全員が驚く。それは、つまり……
「昨年は、この国だけ流行り病が起きなかった。それに、農家も豊作で生産も上がってるだろ?何よりも、この国特有の異常気象がユラが来てからまだ1度も無い。これは、生き神であるユラの為に周りが神々が動いてるって事だ。この国は、ユラによって護られている。まぁ、ユラは言わないけどな。」
本日、2度目の絶句。余りに、衝撃的な主神の言葉に思わずユラを見るカリオス達。
「さて、カリオス。あと、2年だ。それまでに、ユラを何とか説得してくれ。これは、お願いだ。」
カリオスは、疲れたように笑う。何て言うか、無茶苦茶だし理不尽だ。カリオスは、それでも笑みを消して真剣に頷く。大切な、親友を失わない為に。




