一人の時間
さて今日は、クルト様が仕事で休みでオズも忙しいらしく休み。と言うわけで、一人で登校中。
「おい、平民のユラ!俺と、決闘しろ!」
「嫌です。急ぐので、失礼しますね。」
足早に、走り出す。困った、戦うのを学園で避けていたけど二人が居ないとすぐに絡まれる。
「はんっ、どうせ冒険者ランクを金で買ったんだろ?弱くて、臆病者な弱者が!」
さて、どうしようか。何か、敬語も疲れたな。
「全く、あいつら馬鹿だよな。お金で、ランクを買った冒険者が昇格の鈴を持つはず無いのに。」
「昇格の鈴?」
振り向くと、オズが不機嫌そうに見ている。
「あれ、休みじゃなかった?」
「ごめん、忘れ物を取りに来た。」
そう言うと、何かを持って走り去る。
「あっ、昇格の鈴について聞きそびれた。」
まぁ、そのうち分かるよね。さて今日は、どうしようかな?授業が終わり、立ち上がる。
「はぁ!」
突き出された、短剣を回避して短剣を持った腕に鞄を思いっきりぶつける。腕を痛め、短剣が床に落ちる。ユラは、魔法を使おうとして激痛に眉をひそめ小さく息を呑むと短剣を拾う。
杖があれば、魔法が使えるかな?
「あのさ、何のよう?」
「くっ……、私を殺せ!」
え?まさかの、くっ殺さんだぁ………。確か、くっ殺さんは殺してはいけないお約束だよね。
「この程度の、お遊びで殺さないよ?」
その言葉に、周りの生徒は笑顔で見守る。
「おっ、お遊び………。」
「はぁ……、簡単に人に命をあげたら駄目でしょ?」
そう言うと、暢気に教室から出ようとする。
「おっ、お待ちください!貴方に、忠誠を誓わせてください。私で、出来ることなら何でもします。」
あー、そう言うタイプの人間かぁー。思いっきり、対応を間違えた……。うん………。
「断るよ……。じゃあ、また明日ね。」
「あの、私に貴方を殺すように命じたのは………」
ユラは、立ち止まると苦笑して言う。
「森賢者の血筋の1つでしょ?僕の森の賢者と言う通り名が彼らには気にくわないらしい。」
ため息をついて、杖を召喚すると詠唱する。
「汝は、見えざる目にして隠された記録者。汝は、時の縛りから解放され写すものを我が物とせよ。」
すると、少女の目から黒い煙が出る。
「自分の恨みに、他人を利用するな。」
すると、杖を振るうと煙が消えていく。
「あっ、ありがとうございます!」
「エトナの森に、もう入っちゃ駄目だからね。」
杖を消して、ため息を吐き出して教室から去る。
「やぁ、ユラ君。」
「もしかして、ユリスさんですか?」
すると、秘密のジェスチャーをする。
「どうかなさいました?」
「お願い、正体を隠してるから敬語やめて。あと、僕はユーリって呼んでね?バレたら怒られる。」
「それで、ユーリは何をしにここへ?」
ユラは、少し迷ってから言う。
「実は、妹が森賢者に魔法をかけられたんだ。」
妹?森賢者?魔法?…………何それ、僕知らない!
「その顔だと、どうやら当たりかな?」
「ロレイさん、ユーリさんの妹さんなんだ。」
ドヨーンとして、苦笑しながら頷く。
「そうだよ。次の、暗部の長にしたいけどずっと断られてる。うーん、手厳しいよ。」
「あははっ、頑張って。」
ユラは、励ますように笑う。
「このあと、少し暇かい?」
「特に、予定は入れてないけど。」
キョトンとして、学園から出て馬車に乗る。
「少し、お茶でもしよう。」
「お邪魔します。」
すると、ユリスは少し残念そうになる。
「あのさ、敬語は止めてくれない?」
「そうは、言われましても。」
「カリオスには、タメ語なのに狡い!」
いやいや、カリオスは年下だからね?
「ユリスさん、落ち着きましょう。」
ユリスは、紅茶を渡して言う。
「ユラは、カリオスに2年間だけこの国に居ると約束したんだよね?その後は、どうするんだい?」
「一応、中等部を卒業するまでは居ますよ。」
紅茶を受け取り、ゆっくり息をついてユリスをのほほんと見る。ユリスは、真剣にこちらを見る。
「ユラ君は、国に所属するつもりは無いんだね。」
「無いです。僕は、臆病者だから………。」
どこか、遠い瞳で静かに呟く。
「ユラ、今度さ騎士団長だけで茶会をするんだけど来ない?クルトは、カリオスが誘ったしオズ君はベイルが誘ったしルピア王子はレオが誘ったしさ。シアンは、冬馬って元勇者を誘ったらしいよ。」
「へぇー」
1つ良い?元勇者と元魔王を会わせて大丈夫?ある意味、凄すぎるメンバーだね。うーん、どうしよ?
「別に、無理しなくて良いからね。」
「それって、僕みたいな平民が出ても良いのでしょうか?はっきり言って、王城に顔パスで入れる時点で戸惑いが有るのですが?かなり………。」
すると、ユリスは苦笑してから言う。
「国王から、言伝てを頼まれてる。読むよ?[魔術師ユラを、現時点を持って国の客人として名誉貴族の地位を与える。こちらは、縛るつもりは無いので自由にしても良い。]だそうだよおめでとう。」
「うーん、嬉しくない。全然、嬉しくないよぉ。」
紅茶のティーカップを、机に置くと落ち込む。
ユラは、宿前でユリスと別れるのだった。




