表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

恋愛短編シリーズ(作者名サウス・ジュンでの)

攻略対象はメイドをご所望

作者: サウス・ジュン

「あれ?もしかして俺って攻略対象なのか?」


10才の誕生日に俺、神無月慎吾かんなづきしんごは前世の記憶を唐突に思い出した。


どうやら、乙女ゲームの世界に似た世界に転生したらしい。

なんでわかるかって?


何故か思い出した記憶の中に「ドッキ×3スクランブル~あなたと恋の大暴走~」というタイトルの乙女ゲームの情報があって、今の俺の名前とかその他もろもろが完全に一致したからだ。


内容的にはイケメンの攻略対象と仲良くなって、数々の障害を乗り越えてハッピーエンドを目指すというシンプルなもの。

俺もどうやらそのゲームの攻略対象らしいと判明した。


幸いなのは、俺はメインの攻略対象5人の中では優先度の低い5番目のキャラで俺の個別ルートか逆ハーエンド以外は関係ないということだけか。


逆に、個別か逆ハールートに入られれば確実にとばっちりがきそうで怖いけど・・・


「あのヒロインと恋愛は嫌だな・・・」


このゲームのヒロインはまあ、よくいる明るく天真爛漫なキャラなのだが致命的なまでに空気が読めず、悪役令嬢的なキャラとの問題の半分はヒロインの性格的な問題だろうという評判だ。


「だからと言って悪役令嬢もな・・・」


悪役令嬢は悪役令嬢で、攻略対象全員と何故か接点があって、その関係でヒロインをいじめるけど、イケメンに媚を売るのが得意なビッチ系だからな・・・


あ、ちなみに俺は攻略対象の中でもメインと同じくらいに金持ち設定でナルシストな自己中で、女遊びがお盛んという設定です。

・・・なんか生きてるのが辛くなる単語しかないな。


い、いや。でも、彼も親が仕事で忙しくてあまり相手にしてもらえなくて寂しかっただけなんよ?


さて、それはともかく、問題はゲームですよ、ゲーム。

今は10才。

高校生のストーリーだからあと、6年ほど時間がある。


家柄的に入れるのは舞台の高校しかないけど、なんとかストーリーに食い込まないように対策を練らねば。


こんこん。

そんなことを考えていたら、ノックのあとに、メイド服をきた幼馴染・・・春風ゆめが入ってきた。


ゆめは、使用人の子供で昔から僕の世話役としてつねに一緒にいる。

可愛い系の顔立ちで、通ってる俺と同じ小学校では地味にモテており、よく告白されるが仕事があるからと断っているらしい。

入ってきたゆめはどこか警戒したような表情をしていた。


「慎吾様。お稽古のお時間です。」

「ああ。わかった。すぐに行くよ。」


そう答えると、驚いたような表情を浮かべるゆめ。

一体どうしたんだ・・・って、ああ、そういえば、ゲームの慎吾は稽古事はほとんどサボってたんだっけ。

そっか、だから入ってきたときに警戒したような表情だったのか・・・これから信用を取り戻さねば・・・


「ねぇ。ゆめ。今まで心配かけてごめん。これからはマジメに稽古も受けるし、勉強もするから。」

「し、慎吾様・・・」


呆気にとられたようなゆめはやがて目のはしに涙をためて嬉しそうに笑った。


「ううう・・・よがっだよ~・・・ぐすん・・・」

「苦労かけてたよね。ごめんね。」


崩れ落ちたゆめの前に座って頭を撫でる。

そうしていると落ち着いてきたのか、恥ずかしそうにしながらもにぱっと明るく笑ってくれた。


・・・・・やべぇ・・・なんだろ・・・ゆめが可愛い。


今まであんまり気にしてなかったけど、ゆめって雰囲気は地味だけど、顔立ちは可愛いし、性格も真面目で優しいから、俺の好みど真ん中じゃん。


そういえば、幼い頃の慎吾の記憶でも初恋はゆめだったな。

そうか・・・長い時間で忘れていたけど、一度意識すると、ダメだ。


「慎吾様?」


不思議そうに首をかしげる姿にも思わず悶えてしまうほどに可愛く感じる。


きっと、芽生えて自覚した気持ちに混乱していたのだろう。

俺は思わず気持ちを口にしていた。


「だから、ゆめ。俺と結婚しよう。」

「えっ・・・・」


俺の台詞にぽかんとしてしまうゆめだったが、言った台詞を理解したのかだんだんと顔が赤くなる。


「し、慎吾様。い、今なんて・・・」

「あっ・・・えっとだな・・・」


思わず言ってしまったので咄嗟に返せなかったけど、俺は腹をくくってゆめをしっかりと見つめた。


「俺は、ゆめが好きだ。だからこらからはゆめにふさわしくなれるように頑張る。ゆめ。俺と結婚を前提に付き合ってください。」

「えっ、あっ、あの、あのあの、わ、わた、わたしは・・・その・・・」

「ゆめ。」


真っ直ぐに見つめるとゆめは俯いてポツリと言った。


「ずるいよ・・・」

「ゆめ?」

「わ、私は昔からしんちゃんが好きだよ!大好き!だから、しんちゃんの側にずっといた!でも、しんちゃんは気づかないで・・・なのにこんな・・・ずるいよぅ・・・」

「・・・・・!!ゆめ!」


溜まってたもの吐き出すように言い切ったゆめ。

昔の呼び方に戻るほどに、いつもの丁寧な口調を捨ててしまうほどに思ってくれていたゆめ。

俺は、ゆめが俺を好きだと言ってくれて嬉しくて思わず抱きついてしまった。


「ごめんね。待たせて。」

「ほんとだよぅ・・・」


互いに力をこめて抱きつく。

この日、俺はゆめと恋人になった。



俺とゆめの両親にはその日のうちにすぐに伝えた。

みんなゆめの気持ちを知っていたのか、物凄い祝福されて、一応、形として婚約者という肩書きももらった。


俺とゆめが18才になったら、結婚式を上げる予定だ。




さて、それから時は流れて、いつの間に高校生・・・つまり、ゲームの舞台の場所にきてしまった。


あれから、ゆめとは順調に仲を深めていった。

実は、依存心がめちゃくちゃすごいゆめと毎日一緒にいて、でも、勉強などには手を抜かず、そして、ゆめとの甘い時間も大切に過ごした。


自分で言うのもなんだけど、ゲームの慎吾の何倍ものスペックを手に入れた俺は、父の会社の跡取りとしても勉強をはじめていて、卒業と同時に継ぐことがきまった。


ゆめも、もともとのメイドとしての技能を奥様用に更に高めて、花嫁修業は順調なようだ。




さて、そんなわけで、俺とゆめはゲーム舞台の高校である「私立針金高校」へと入学をした。

ゆめと俺は学校に掛け合って、同じクラスにしてもらえたので俺は満足だ。


そんなことを考えてながら過ごしていたら、あっという間に入学して一ヶ月がたった。


気がつくと、俺以外の攻略対象はすでにおちていて、もう逆ハー状態になっていた。

いや!速すぎるよ!


ゲームだと終盤でパラメーターが均一で尚且つ個別がすべて終わってから開放なのになんだよこの速度!


あ、ちなみに、俺もヒロインとのイベントにかち合いそうになったけど、実はほとんどかち合わずにすんだ。


理由は単純。

俺がゲームとは真逆の性格だからだ。

俺のイベントはあの性格だからこそのものがほとんどなので俺は実に悠々自適にゆめとのイチャラブ学園生活を送れていた。


クラスにはもはや公認カップル通り越して、おしどり夫婦に見られている。

悪くないな・・・


だって、このごろゆめは新妻みたいな行動が多くて、俺は早く婚姻届けを出したくて仕方ないもん。


まあ、ヒロインからのちょっかいが時々あるけど、俺は絶対に負けない!

必ず、ゆめとのハッピーエンドをつかんでやる!


だから、ゆめ。

今日は一緒に寝てもいい?


お読みいただきありがとうございます。

乙女ゲームの攻略対象とメイドという題材を思い付いて書いてみました。


本来は連載にしようと思ったのですが、とりあえず短編にしてみました。

場合によっては連載にします。


まあ、ぶっちゃけ、作者が幼馴染の従順メイドというスタンスで書きたかっただけです(笑)


では、この辺でm(__)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] TS転生ではないってことは前世も男なんだろうけど…男である主人公がやたらと乙女ゲームに詳しい理由に関してノータッチで全く理解出来ない。 主人公の意見からしてヒロインや悪役令嬢目当てではないだ…
[良い点] メイド系幼馴染とは…素晴らしいですね! 依存も入ってるところも良いです‼ [気になる点] もう少し幼馴染とのイチャイチャしてるところを見たかったですっ [一言] とても良い素晴らしい小説で…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ