表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

手からお米を出すだけの簡単なお仕事です

作者: 佐久間 藤太


「ステータス1…だと…」

「なんと、その様な事が…」


瞬間、僕の立場はどん底に落ちた。いや、そもそも底辺だから変わらないか。


クラス丸ごと異世界に転移した、って時は驚いたけど、夢にまで見てた異世界転移と言うこともあって、それなりに期待していた。

勇者たち、ってのも手伝って、この国から今まで受けたことの無いような豪華な食事も出来た。米が無かったのが残念だったけど。

召喚された勇者達には特殊なスキルと圧倒的なステータスが有る。そう聞いてクラス底辺からいよいよ、って思った時に…


「どうする…?」 「戦えないって…」


「見た目は良いけど、なんの役にも立たないって…ちょっと…」


嗚呼、もうやめてくれ、解ったから、僕が何かを望むのは間違いだって、そんなのよくわかったから。


「でも、可哀想じゃね?」「まあ言うなよ…」


「でもさ、あいつどうなるんだ?」


「だけどさ、スキル何なのかまだわからんぜ、もしかしたら、レアスキルかもしれんし」


「どちらにしてもまあ、守ってやれば良い話だろ?」


「お、やっぱ学校一のイケメンは違うねぇ!」


「茶化すのはよせよ、お、どうやら解ったみたいだぞ」




「ふむ…どうやら食料系のスキル…珍しくは無い…ですが、無いわけではない。ハズレですな」


国外追放、軟禁。色々大臣達の相談し合う声が聞こえる。

ああ、糞みたいな人生だったな、と思った時ーー


「しかし、何ですかな、この《米を出す》、とは。食料系のスキルなのだろうが、【米】とは聞いた事もありませんな」


「ん?米?」


大臣達の話を聞いたクラスメイト(日本人)の空気が変わる。


「米…?」「おい、今…」「…ああ…」


失望は期待に、希望に変わる。


米のない世界で、米が食える。

これ程までに重要なスキルは無い


「ふむ…おい!衛兵!この男をつまみだ…

「待ってください!」


「何ですかな?勇者殿」


「彼も自分たちの大切な仲間です、そんな事は認められません!」

「彼を追放するのでしたら、私も一緒に出て行きます!」


カッコいい人が叫ぶ、カッコイイ台詞だが、内心は米が食えると言う期待でいっぱいである。


「そうだ!彼を追放するんだったら、俺も一緒に追放しろ!」

「あ!おい、ズルいぞ!俺もついてくぞ!」

「私も!」「僕も!」

(言えない…実はパン派なんて言えない…)


米が食いたい日本人は口々に叫ぶ。

全く現金な話である。


「…解った、追放は無しとする!これは失礼な事をした、詫びよう」


「いえ、追放されない、とあればそれで良いんです。彼の面倒は僕らで見る、米は…彼は僕らが責任を持って守ります」


「そうか…わかった」


「……チッ」


「何か申されたか?」


「いえ、何も(早々に出る必要があるな…)」


「そうか、なら良い」



その後、米がスキルレベルが上がらないと出せる量が増えない、と知って殴り合いの取り合いになるのは、また別の話。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 米好きにはたまらない作品ですね!! ちゃんと落ちまであって良かったです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ