表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
間違えて運に極振りしちゃったけど召喚士なら何とかなりますか? ~召喚で出てくる魔物が異常個体ばかりなんですけど!~  作者: やおよろずの
第四章 六大ギルドになっちゃおう!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/85

081 第三天位冒険者の昇格試験①

その日のグラン=ラフィースギルド集会所は、朝から異様に騒がしかった。

普段から騒がしいのはもちろんだが、その日のざわめきは、いつもとは少し違った。


広間の端に置かれた長机を、六人の冒険者が囲んでいる。

そして、その一角へと、集会所中の視線が集まっていた。


「レグにアッシェ、カイル、エリーゼ……横にいるのってソノイチだよな?」

「ああ。ディガルまでいるぞ。よその冒険者が何の用なんだ?」


ひそめたつもりの声が、あちこちから漏れてくる。

視線の先にいたのは、昨日ギルド運営から呼び出された六人の冒険者たちだ。


グラン=ラフィースには五大府の本拠地がない。

だからこそ、この街で第五天位まで登りつめた冒険者は、それだけで目立つ。

その第五天位が四人も同じ場所で集まっている。

さらに、他の街で名の知られた冒険者まで一緒だ。


そんな顔ぶれが、同じ長机を囲んでいる。

何か大きな出来事があったと周囲が考えるのは当然の流れだった。


「もしかして、あれか? 外来種の件か?」

「いや、ディガルがいるってことは飛んでる魔物関連だろう」

「だけどソノイチもいるんだぜ。ダンジョンだろ」


好き勝手な推測が飛び交う。

そのざわめきを聞きながら、カイルは椅子の背にもたれ、うんざりしたように呟いた。


「みんな好き勝手言ってくれるねえ。まさか俺らが第三天位の昇格試験の相手をするために集められた、なんて分かるわけねえけど」

「でしょうね。ただ、ギルド運営がここまでやるってことは……またアマリリイみたいな異常者でも出てきたのかしら」

「それなら、まだ話は分かる」


エリーゼは感情の薄い声で続けた。


「早いうちに実力を測っておきたい。危険性を見極めたい。そういう意図なら、ギルド運営の判断として理解できなくもない。……だが、そんな冒険者の話は、ザラスト以外に聞いたことがない」

「だよなあ。ザラストはもう第五天位だし、今回の相手じゃない。となると、別の誰かってことになるわけだが……分からん。全然分からん」


そんな予想で盛り上がる面々を前に、ディガルは大きく舌打ちした。


「くだらねえ話してんじゃねえ。相手が誰だろうが、やることは変わらねえだろうが」

「誰が相手でも勝つ、ってか? 頼もしいねえ。何か秘策でもあるのか?」

「秘策じゃねえ。コイツに本気出させるだけだ」


ディガルはそう言うと、壁際に立てかけた魔導銃へ手を置いた。


「このために弾を三種類用意した。ばら撒き用のオスミドライト銃弾。相手の動きを封じる雷鳴晶の銃弾。それと──」


そこで一度言葉を切ると、懐から小さな金属ケースを取り出した。

蓋を開けた瞬間、アッシェが目を見開く。


「えっ、待って!? それ、オリハルコン!?」

「ああ」


ディガルは口の端を吊り上げる。


「一発で金貨十枚。竜の鱗もぶち抜く、特注の魔弾だ」


ケースの中に収められていたのは、淡い金色の光沢を帯びた弾丸だった。

表面には、肉眼で追うのも難しいほどに細かな術式が彫り込まれている。


「き、金貨十枚……」

「すまん。馬鹿なのか?」


エリーゼが真顔で言った。

罵倒というより、純粋な確認に近い声音だった。


「浪漫だろうが」

「浪漫で金貨十枚を撃つな」

「絶対外せないな」


レグが静かに言うと、ディガルは不敵に口の端を吊り上げた。


「外せないんじゃねえ。外れねえ。照準を合わせて撃てば、相手が回避しても追尾する。そういう魔弾だ」

「何だよそれ、ズルくねえか……?」


カイルが呆れたように笑う。


「大金でズルしてんだ。文句あるか」

「流石、金貨十枚……」


アッシェが妙に納得したように呟いた。


ディガルの魔弾を前に、場の空気がわずかに緩む。

だが、その盛り上がりの外側で、ソノイチだけがふと視線を動かした。


「……来たぞ」


その一言に、五人の意識は一瞬にして現実へ引き戻された。


集会所の奥から、一人の女性が歩いてくる。


ギルド運営の制服を着た、落ち着いた雰囲気の女性だった。

年齢は若く見えるが、妙に貫禄が感じられた。


彼女が近づいてくると、周囲の冒険者たちは自然と道を空ける。


「お待たせしました」


女性は六人の前で立ち止まると、軽く頭を下げた。


「本日の試験担当を務めます、コナツです」

「貴女が担当なのね」


アッシェが言うと、コナツは小さく頷いた。


コナツ──ギルド運営お抱えの召喚士であり、群召喚の第一人者。

彼女は冒険者ではないため、その実力を”天位”で測ることはできない。

それでも、レグたちが名を聞いたことのある程の知名度があった。


「今回は少々特殊な昇格試験になります。詳しい説明は現地で行いますので、早速移動したいのですが……皆さま、準備はよろしいでしょうか?」

「少々、ねえ」


カイルが軽く笑った。


「第五天位を四人、第四天位を二人集める試験が、少々特殊で済むのか?」

「済まないかもしれません」


コナツは真顔でそう答えた。

そのあまりに正直な返答に、カイルの笑みが少しだけ引きつる。


「……正直だな」

「皆さんに油断される方が困りますので」


コナツはそう言うと、六人を順に見た。


その視線に、侮りはない。

ただの試験協力者としてではなく、それぞれを一人の実力者として見ている目だった。


「詳しい説明は、模擬戦闘用訓練場で行います。既に受験者の方は現地に到着していますので、皆さんも移動をお願いします」

「受験者の名前は?」


ディガルが低く尋ねた。

コナツは一拍置くと、どこか言葉を選ぶように答える。


「それも、現地でお伝えします」

「……隠す必要があるのか?」


レグが問うと、コナツは困ったように小さく笑った。


「はい。ラウゼン様からそう言われているので。それに──」


彼女は踵を返し、模擬戦闘用訓練場へ続く区画へと歩き出した。


「ギリギリまで秘密の方が面白いじゃないですか」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
どんどん更新してください
まあ他の街の2人はともかくとして、他の4人はアノギルドバトルの結果を知っていてもおかしくないからねぇ
対人、ましてや暫定格下に向けて撃つもんじゃ無え
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ