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044 新たな仲間!

体調を崩して、五日が経った朝。

私はベッドの上で目を覚ますと、そっと上体を起こす。


……うん、もう大丈夫そう。


ちょっと前はこの段階で頭がクラクラしたり、気持ち悪くなったんだけど、そんな感じはもうなくなってる。

──試しにベッドから出て歩いてみるが、フラフラするようなこともない。


「……よし!」


私は小さくガッツポーズをした。

この五日間、ベッドの上で天井の木目を数えるくらいしかやることのなかった身としては、自由に歩き回れるだけでも嬉しいのだ。


……そうだ、もしかして。


ドアに近づいて、取っ手に手をかける。


──ガチャ。


開いた瞬間、視界の両脇に大きな影が二つ見えた。


「……」

「……」


ジョンソンとブルースだ。

話には聞いてたけど、本当にずっと立ってたんだ……。


「お、おはよう……?」


声をかけると、二人は無言で、同時に一度だけ頷いた。


「二人とも、ずっと立っててくれてたんだよね? ありがとう! おかげで元気になりました!」


力こぶを作って見せるが、二人ともじっと私を見つめるだけ。


……でも、なんだろう、どこか安心したってカオをしてる気がする。

私の思い込みかもしれないけど、なーんかそんな感じがするんだよね。


そんな二人と一緒に廊下を出て、階段を降りる。

一階には、いつものみんなの姿があった。


「マスター!」


アルテミスが駆け寄ってきて私の顔を覗き込むと、ふっと表情がやわらいだ。

アルテミスには心配かけちゃったな。


「お、起きたか。もう大丈夫なんか?」


パンさんが帳簿みたいな紙束から顔を上げる。


「はい、おかげさまで!」


私がそう言うと、パンさんは安心そうに「そうか」と呟いた。


みんなのおかげでずっと休めた。

もうすっかり元気だ。


「ま、間に合いませんでしたわ……」


見ると、リンドールさんががっくりと肩を落としていた。


「……? どうしたんですか?」

「い、いえ。サキさんのお身体が少しでも楽になるようにと、ポーションを錬金していたのですが……完成する前に、サキさんが元気になってしまいましたわ……」


そういえば、錬金で頑張ってるってパンさんが言ってたっけ。

というかポーションはもうコリゴリなんですけど……。


「あ、ありがとうございます。でも、もうすっかり元気です!」

「な、なら良かったですわ……」

「別に、もう少しゆっくりしててもいいのよ?」

「いえ、もう寝ててもやることなくて……。それより、私、寝てる間に考えてたんです!」


私はベッドの上で考えてた”例の計画”についてみんなに話す。


「……なるほどな。アルテミスはんみたいなのを召喚して、サキはんが付き添わなくてもギルドポイントを稼げるようにするっちゅうことか」

「はい。エルフを一人、妖精を一人召喚してみようかなと思ってます」

「おお、一気に二人も増えるんか! となると部屋の数は足りるかっちゅうと──」


そうか、部屋の数……!

全然考えてなかったけど、召喚したら私たちと暮らしていくんだから、このギルドルームに部屋も必要だよね。


「足りるわ。大丈夫よ」

「良かった! じゃあ、早速召喚してみますね。まずは──指輪を4つだけ着けます!」

「なんやそれ!」


私はツッコまれつつ、【低級魔石の指輪】をアイテム欄から4つとりだし、装着する。

これで、私のステータスは──


────────────────────

 人間 召喚士 Lv. 11

 【体 力】 17

 【魔 力】 10(26+4)

 【持久力】 17

 【攻撃力】 1

 【防御力】 1

 【 運 】 999

 【速 度】 1

 【知 力】 1

 【精神力】 1

 【スキル】

  亜人召喚Ⅰ 亜人召喚Ⅱ 低魔召喚Ⅰ 

  時短召喚術 召喚権限委任(サブマスター)

  魔力回復量増加Ⅰ 帳尻合わせ(バランサー)

  獲得経験値増Ⅰ

────────────────────


ほら、魔力がピッタリ10に!

寝込んでるときに計算してたんだよね。


そしてちゃんと、【亜人召喚Ⅱ】と【召喚権限委任(サブマスター)】も取得済み。


あれだけマイナスだった私の魔力も、あっという間にエルフを召喚できるまでに回復している。

これも【魔力回復量増加Ⅰ】と【帳尻合わせ(バランサー)Ⅰ】のおかげだ。

一日4回復はかなり強いよね。


なんてことを思いながら、私は早速いつものセリフを呟く。


「じゃあ、いきますね。【亜人召喚Ⅰ】──エルフ!」


私の言葉に答えるように、目前に青白い魔法陣が現れる。

そして、人を象った光の中から、ショートヘア―の少女が現れた。


「ここは……」


少女はきょろきょろと辺りを見回すと、アルテミスを見つけ──


「ええっ!?!? お、お姉さま!?」


と、呟いた。


──えっ、お姉さま?

アルテミスが!?


「……まさかと思ったが、ザラメイヤか?」


アルテミスが珍しく驚いた顔をしている。


「そうですよ~! いやぁ、まさかこんなとこでお姉さまと会えるなんて♡」

「……お姉さまと呼ぶなと言っただろ。師匠と呼べ」


こ、今度は師匠!?

と、とにかく、二人とも随分と仲が良さそう。

アルテミスに関係性を聞いてみよう。


「もしかして、アルテミスの知り合い?」

「……はい、マスター。彼女はザラスト・ザラメイヤ。私の弟子です」

「初めまして~! 何となく雰囲気は察しました! 貴女が私のマスターですね?」

「は、はい! 初めまして、サキと言います!」

「ボクはザラスト・ザラメイヤ。ザラザラした名前なので、ザラ、って呼ばれたり! よろしくお願いします~!」


ザラスト・ザラメイヤ──たしかにザラザラしてるね。

でも、明るくて良い子そうで良かった。

これなら安心してジョンソンを任せられそう。

とりあえず、ザラには召喚した目的を伝えておこうかな。


「いきなり召喚してすみません、ザラには──」

「召喚は普通いきなりですよ!」

「ま、まあそうなんだけども。とにかく! ザラには重要な役割があって召喚しました!」

「なんでしょう、マスターのモノになってください、とか?」

「違います!」

「……ザラ、マスターは私のものだ」

「それも違う!!」

「あれっ、違うんですか? ボクはてっきりそういう関係なのかとばかり……」

「ザラにはそう見えるか? 流石、私の弟子だな」

「お姉さま、ありがたきお言葉~♡」

「もうっ、だから違うって!」


ぜ、全然話が進まない……!



「な、なんやようわからんけど、ええ子そうで良かったわ」

「そうね。アルテミスちゃんのお弟子さんなら、強さもお墨付きだし」


私は苦戦しつつも、ザラに何とか目的を伝えたのだった。


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