040 灰焔の地下溶岩洞!②
バジリスク、オルトロスを難なく倒したゴブリンズは、次の獲物に狙いを定めて歩き出す。
ほんと、頼もしい限り!
私がやることなんて……
──あっ、ドロップアイテム!
今回は金策──もといギルドポイント策なんだから、むしろドロップアイテムが目的だった。
そう思い、回収しようと足を踏み出したそのとき──
私に大きな影が落ちる。
「──えっ?」
上を見ると、なんと大岩が私めがけて落ちてきていた。
──えっ、もしかして、死んだ……?
一瞬走馬灯が見えた気がした──けど、フリーズする私とは対照的に、アルテミスがすっと空に掌をかざす。
すると、岩はスーッと速度を落として私のちょっと上で静止した。
そして、アルテミスはそれをそっと横に置いた。
「──あ、危なかったー!! ありがとう、アルテミス……!」
「マスター、砂とか被ってないですか? 細心の注意を払ったつもりですが……」
「全然平気だよ!」
あの一瞬でそこまで考えてたなんて……さすがはアルテミス。
焦っていたのは私だけだったみたい。
そうだよね、アルテミスがいるから大丈夫。
「良かったです。……アイツら殺す」
そう言ってアルテミスはキッと空へ視線を戻す。
そこには、悠々と飛行するワイバーンたちの姿が。
……なるほど、私に向かって大岩を落としてきたのはワイバーンだったんだね……!
彼らはこっちの攻撃が届かないのをいいことに、自由に飛び回って落石のタイミングを計っていた。
うーん、どうしよう……。
アルテミスがいるから落石攻撃を受ける心配は無いと思うけど、
倒せないとワイバーンのドロップアイテムがゲットできないし、
何よりずっと頭上に注意を払うのが鬱陶しい……。
どうしようか悩んでいると、突然大きな”何か”が空のワイバーンに向かって飛んでいくのが見えた。
な、なになに……!?
目を凝らして、よーく見てみると……。
それは、バジリスクだった。
「ええっ!? バジリスク!?」
「はい、どうやら彼らが投げたようですね」
彼ら……って、まさか、ゴブリンズ!?
……なるほど、空に攻撃が届かないから、ものを投げて対抗したわけだ。
でも、それがバジリスクって……。
まあ、剛体種ゴブリンをあれだけ遠くに投げる力があるんだから、バジリスクを空高くぶん投げられるのも頷ける。
バジリスクは弾丸のようにワイバーン目がけて飛んでいく。
あんな巨体が空を切って突っ込んでくるんだから、ワイバーンもさすがに避けるのが難しい。
ドンッと鈍い衝撃音とともに、ワイバーンは衝突し、そろって目を回しながら落ちてきた。
落下の衝撃で絶命したのか、バジリスクとワイバーンは地上で煙となって消えていった。
「二人ともすごいよ! その調子でガンガン倒してくれる?」
私が大声で叫ぶと、二人はこっちを見て大きく頷いた。
ふと横を見ると、ゴツい装備の冒険者たちが棒立ちでゴブリンズのことを見ていた。
そりゃ、気になるよね……。
──よし、魔物の相手はゴブリンズに任せて、私たちはこそこそとドロップアイテムを回収しよっと。
黒曜石の滑る床に注意しつつ、まずは最初のバジリスクのドロップアイテムを回収に行く。
……んん? これって……。
「た、タマゴ……?」
そこには、紫がかった大きなタマゴがあった。
……もしかして、ドロップアイテムってこれ!?
「そのようですね」
「ど、どうしよう。私、バジリスクを育てていくつもりは……」
「……バジリスクのタマゴは珍味として人気があると聞いたことがあります」
「えっ、食べるの!?」
こんな、いかにも毒がありますって見た目なのに……。
「はい。毒があるのですが、適切に調理すると美味しいとかなんとか」
「へ、へぇ~。なるほど、食べるって発想が無かったかも。じゃあ、持って帰ってみようかな」
……これもアイテム欄に入るよね?
そう思って、『アイテム』を開いて卵を持ってみると──
────────────────────
【バジリスクのタマゴ】 毒々しい色をしたバジリスクのタマゴ。見た目に反して珍味とされる。
────────────────────
へえ、説明文でも珍味って書かれてる。
そう言われると、ちょっと楽しみになってきたかも。
帰ったら、調理方法を知らないかパンさんたちに聞いてみよっと。
続いて、オルトロスのドロップアイテム。
これは──血の塊?
よく分からないので、アイテム欄に入れて確認。
────────────────────
【血結晶】 血液が結晶化したもの。鮮度が落ちづらく、錬金に用いられる。
────────────────────
錬金に用いられる──ってことは、リンドールさんが喜んでくれそうだね!
これはいっぱい持って帰ってあげたいな。
そして最後は、ワイバーン。
え、えーっと、これは……まさか……。
────────────────────
【ワイバーンのタマゴ】 ずっしり重いワイバーンのタマゴ。ほのかに熱を帯びている。
────────────────────
……いやいや、3個中2個がタマゴって!!!
魔物ブリーダーじゃないんだから!!
……まあ、とりあえず持って帰ろう。
これも美味しいかもしれないしね……?




