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004 召喚士という職業

私が書類を何気なしに見ていると、扉の開く音が聞こえてきた。

見ると、パンさんとペールルージュさんの姿が。

用事が終わって帰ってきたみたいだ。


「ただいまぁ、掃除はどないや~? サキはんのご飯も買ってきた……で……?」


パンさんはアルテミスの方を見て固まってしまった。


「……彼女は?」


パンさんがこちらに視線を送ってくる。

もしかして、勝手にギルドルームに人を入れちゃマズかった……?

私は慌てて謝ることにした。


「す、すみません……! 彼女は、アルテミスっていって……私が召喚したエルフなんですけど……勝手に召喚して、ギルドルームに入れちゃってすみませんっ!!!」


私が必死に頭を下げていると、私の前にアルテミスが立った。


「……私の可愛い可愛いマスターがこんな……。貴様ら、許せん……」


何故だかアルテミスから溢れんばかりの殺意が漂ってくる。

マスターの私を守ろうとしてくれてるみたいだけど、悪いのは私だ。


「アルテミス、悪いのは勝手に召喚した私だから怒らないで……!」

「しかし……!(慌ててるマスター可愛い……)」


私が必死にアルテミスをなだめていると。


「さ、サキはん、召喚士やったんか……?」


パンさんが驚いた様子で口を開いた。

そういえば、私の職業をパンさんに言ってなかったっけ。

ギルドに入れてもらったのに、失礼なことをしたかも。


「は、はい……ごめんなさい、伝えるのを忘れてて……」

「い、いや! 謝ることちゃうよ!──てかマジか!? 召喚士が手に入るなんて、そんな掘り出し物があるか!?」


なんだか興奮気味のパンさんだけど、どうやら怒っている様子は無さそう。

でも、どうして興奮してるんだろう。


「……パン、この子はステータスが低すぎてウチに入ったんじゃなかったの? それがどうして召喚士ってことになるのよ」

「う、ウチにも分からん……召喚士なら魔導の才能があるはずやし、引っかからんはずがないんや……。しかも、こない強そうなエルフを召喚できるとか召喚士の上澄みの上澄みやで……信じられん……」


どうやら、この世界の召喚士は魔導とかいうものの才能がないとなれないみたい。

私みたいにゲーム感覚で職業を選べるのは貴重なんだな。


「サキはん、もう一度聞くで、アンタ、召喚士なんやな……?」

「は、はい!」


私がそう言った瞬間、パンさんが床の上に土下座の体制を取った。


「すまん!!! 知らんかったんや、アンタが召喚士や知っとったら、掃除なんかさせへんかったでホンマ!」

「や、やめてください土下座なんて……! 伝えてなかったこっちが悪かったんです、スミマセン! それに、ステータスが低くて五大ギルドに入れなかったのは事実ですし、私は全然弱いですよ……?」


なんだか召喚士ってことでハードルがとんでもなく上がってる気がする……。

私なんて、運動不足な上に知力1の女なんだから、期待しないでほしい……。


「弱いことあるか! 召喚士なんて五大ギルドでも引く手あまたの超貴重な職業やで!? こんな弱小ギルドに入ってくれたのが奇跡みたいなもんや!」

「ちょっと、そんなこと言ったら彼女やめちゃうでしょ」

「あ……。サキはん、今の無しで頼むわ……」


パンさんが両手を合わせてごめんなさいのポーズをとる。

どうやら召喚士という職業はかなり重宝されるみたいで、私がギルドを辞めないか心配しているみたい。


「(流石、私のマスター……)」


チラッとアルテミスを見ると、何だか誇らしげな顔をしていた。


「あんさんもすまん、掃除なんてさせてしもて……えー、名前何やっけ?」

「私はマスターの従者であり、王姫ジュリエッタを護る騎士が一人、王騎士アルテミスだ」

「……ん? ジュリエッタいう名前、どっかで聞いたことあるような、ないような……」

「というか王騎士って超高ランクのエルフよ、どうなってるの貴女……」


全っ然なんのことか分からないけれど、どうやらアルテミスはエルフの中でも強い方みたい。

そんな人が私に忠誠を誓ってくれているなんて、なんだか信じられない。


「ねえ、これだったら例の件、サキちゃんに任せてもいいんじゃない?」

「──ほんまや! こない助け舟が来るなんて、世の中分からんもんやなぁ。……二人とも、すまんけど明日ギルド集会所に行ってダンジョンクエストを受けてくれへんか?」

「ダンジョン……クエスト?」

「せや。ダンジョンって聞いたことないか?」


ダンジョン自体は、ゲームの知識で知っているけど、それと同じかな。

私の中の仮説を、パンさんに伝えてみることにする。


「なんだか、魔物と宝箱が出てくる地下迷宮みたいなイメージを持ってます」

「せや、大体合っとる。まあ宝箱はほぼ取られつくしとるから、魔物を狩ってドロップアイテムを得る場所ってイメージやな」


パンさんによると、普通に生息する魔物とは違い、ダンジョンに沸いてくる魔物はどういうわけかドロップアイテムを残して消えてしまうらしい。


「で、ここからが本題やねんけどな。実はウチのギルド、解散の危機やねん」

「え、えぇっ!?」


まだ入って数時間なのに、いきなり解散と言われて驚いてしまう。

何か理由があるのかな。


「最近、人口の増加と共に五大ギルド以外の数も増えてきててなぁ。運営側も管理が大変らしくて、ギルドポイントが少ないギルドを閉鎖させるとか言うててな」

「私たち、魔物と戦えないからギルドポイント少ないのよ」


そうなんだ、じゃあどうやってギルドポイントを稼いでいるんだろう?

そんな疑問は置いといて。


ダンジョンで戦えば、冒険者としての経験もついてレベルが上がるかもしれないし、召喚士としての戦い方も学べるかも。

パンさんの提案は、私にとっても渡りに船、だよね。


ということで、私は二つ返事で引き受けることにした。


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