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002 五大ギルド参加希望です!──え、ムリ?

天界に長く居ると私の肉体に良くないらしく、早速転生させられた私の転生先は、大きな街の一角。

ノヨカさんによると、この世界には”ギルド”なるシステムがあり、とりあえず五大ギルドに所属しておいたら良いらしい。

五大ギルドに所属していれば、魔物を倒したりクエストを達成すると報酬が得られるとかなんとか。


と、いうわけで。


「ギルド集会所を目指すのじゃ!」というノヨカさんの言葉を信じて、私は転生先の街を歩き回る。

街並みはまさにファンタジー世界の大都市といった感じで、道路の舗装状態や建物の感じからして、まあまあ治安が良い街のようだ。

街行く人々は、普通の市民といった人の他にも、武器を持った人、中にはコスプレではない獣耳を生やした人など、これまた目を奪われる光景だった。


そんな街並みから得られる情報は置いといて、私が目を止めたのは、『グラン=ラフィースギルド集会所』という看板。

グラン=ラフィースとはこの街の名前かな。

そんなことを思いながら、私はギルド集会所の門を潜った。


中に入ると、そこには街とはまた違う光景が広がっていた。

漆黒の全身鎧に身を包んだ屈強な男の人に、なにか神秘的なオーラを纏った魔法使いのような装いの女性、はたまた「まさに獣人!」といった方々など、ザ・冒険者な人たちばかり。

そんな中、力も魔力もない私は何だか場違いに思えてソワソワする。

あるのは運だけだし。


そんな私に、受付嬢らしき女の人が話しかけてきた。


「こんにちは! ギルド参加希望の方ですか?」

「は、はい!……どうして分かったんですか?」

「ギルドに所属している方はギルド証を着けていますので。それではギルド参加の手続きを行いますので、カウンターまでどうぞ!」


そう言って、受付嬢さんはカウンターに案内してくれる。


「参加希望のギルドはありますか?」

「えーっと、五大ギルド? でお願いします」

「あ、はい。五大ギルドの中で、希望があれば教えてください」


受付嬢さんの反応的に、もう五大ギルドに入るのは当たり前のことみたい。

その上で、五大ギルドのどこに入りたいかを聞かれていた、ということだった。


そう言われても、私は五大ギルドとしか聞いてないからそんなの分からない。

それを受付嬢さんに素直に伝えてみる。


「すみません、実は私、ギルドについての知識が疎く……五大ギルドって何なんでしょう?」


私がそう言うと、周囲から「えっ!?」という驚愕の声や、クスクスといった笑い声が聞こえてくる。

どうやら、五大ギルドは超一般知識みたい。

私は気恥ずかしさを覚えるが、受付嬢さんは馬鹿にした様子もなく淡々と私の疑問に答えてくれる。


「五大ギルドとは、黒・白・赤・青・緑の5つの最上位ギルド群を指す言葉です。五大ギルドなんて呼ばれてますが、正確に言うと五大ギルドはそれぞれ最上位ギルドとその関連ギルドでできています。もちろん他にもギルドはあるのですが、ほとんどの冒険者はこの五大ギルドの関連ギルドに所属しています」


なるほど、つまり親会社とグループ会社みたいな関係ってことか。

五大ギルドの本体──その最上位ギルド自体は非常に狭き門だけれど、その関連ギルドは比較的容易に参加可能なんだとか。

五大ギルドは滅多なことが無い限り解散することもないし、所属できれば将来安泰、後は更に上のギルド目指して頑張る、ということのようだ。


とりあえず五大ギルドについては大体わかった。

なんにせよ入ってみないと分からないし、五大ギルドならどこでもいいから入れてもらおう。


「色々教えてもらっちゃって……助かります。五大ギルドであれば特に希望はないです!」

「分かりました。では五大ギルド群に参加希望ということで承ります。では、ステータス測定から行いますね!」


そう言うと、受付嬢さんはカウンターの下から謎の水晶玉とモニターを取り出した。


「ステータス測定……ですか?」

「はい。五大ギルドに入るには、冒険者としての最低限のステータスがあるかを確認してるんです。戦闘能力がない方を五大ギルドに入れてしまうと、重大な事故に繋がる可能性があるとかで」

「な、なるほど……」

「ふふっ、大丈夫ですよ! 冒険者志望なのに普段から全然運動してないみたいなことが無い限り、絶対通りますから!」


──「それ私じゃん!」というセリフを飲み込み、私はドキドキしながら、謎の水晶に手を置いた。

通りますように通りますように……!!!


「……えーっと。ほんとすみません。サキさんの戦闘能力では五大ギルド群には参加できません」


受付嬢さんがそういうと、周囲から大きな笑い声が起こった。

……どうやら、運のステータスは見てくれなかったようだ。

内心凄く恥ずかしくて走って逃げだしたいのだけど、平静を装う。


「そ、そうなんですね……あはは……すみません……」

「あ、あはは……」

「はは……」


──私は居た堪れなくなり、そそくさとその場を後にしようとすると。


「アンタ、五大ギルド入れんかったんか」


女性の声に振り返ると、そこには黒いライダースーツにジャケットを着た女性が立っていた。


「は、はい……」

「そうか、まあ人生そういうこともあるわな。なんで五大ギルドに入りたかったん?」


なんで……って言われると、ノヨカさんからオススメされたから、なんだけど。


「私ちょっと世間知らずなんですが、聞いた話によると、魔物を倒したりクエストを達成したときに報酬を得るには五大ギルドに所属してないといけないんですよね」

「あー、なるほどな。アンタ、名前は?」

「サキ、です」

「サキはんな。ウチはパンや。ええか、サキはんの言っとることは半分合ってて半分間違っとる」

「えっ……?」

「ギルドに所属しとらんと活動報酬が得られへんのはそうや。報酬は現金やなくてギルドポイントとして得られるからな。でもな、報酬を得るだけなら別に五大ギルドやなくてもええんやで?」

「五大ギルド……以外……」


確かに言われてみれば、『五大ギルド』って言われてるくらいだし、他にもギルドはあるんだよね。

もしかしたら生活が安定しないとか、報酬が少ないといったデメリットはあるのかもしれないけど、この世界に慣れるまでは多少の辛抱は必要だよね。


「せや。五大ギルド以外にも魅力的なギルドはぎょーさんあるで。例えば、うちのギルドとかな!」

「パンさんの……?」

「その通り。ウチのギルドなら、参加にあたってさっきみたいなステータス制限もない。サキはんが冒険者としての活動に慣れるまで、とりあえず所属しておくのも悪ない思うで?」

「えっ、でも、良いんですか……?」


ステータス不足で落とされた私を参加させてくれるなんて、信じられない。

なんて良い人なんだろう……。


「もちろんや、別に悪いようにはせん。正直言うとな、ウチも人手不足なんや。みーんな五大ギルドに参加したがるからな」

「そうなんですね……」

「どや? とりあえず入ってみて、合わんかったら抜けたらええし」

「ぜ、是非お願いします!」


こうして、私はパンさんのギルドに所属することになった。


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