正式に婚約を発表
今日は待ちに待ったダンスパーティーの日だ。
私にとって社交界デビューの日でもある。
「ジョウコ、今日も着物なんだな」
「はい、持ってる中で最高級のものにしたんですが…まずかったですか?」
「いや、最近はダンスパーティーでも着物を来てくるご婦人は多いし平気だろう」
「よかった」
「今夜のお前は、いつにも増してキレイだな」
それは化粧の効果だろう。
イオくんがそれはそれは丁寧にメイクしてくれたから。
「バラキエル様こそ、普段もかっこいいですけど今日もすごくかっこいいです!」
「はは、気合いを入れてきたからな」
「ふふ」
「じゃあ行こうか」
「はい」
いざ、ダンスパーティーへ。
バラキエル様のお屋敷に着くと、使用人たち総出で出迎えてくれた。
その後たくさんの貴族がダンスパーティーに参加しにきて、みんなに挨拶をして回る。
そして全員来たところで、ダンスの前に発表があるとみんなに伝えたバラキエル様。
私はバラキエル様の隣に黙って立っておく。
「皆様、今日はお集まりいただいてありがとうございます。今日は大事な発表があります」
みんななんだなんだとバラキエル様を見つめる。
「俺の隣に立っているのは、皆様もご存知の通り伯爵になったばかりの聖女…ジョウコです。俺は、ジョウコと婚約をしました」
みんなが騒つく。
「聖女様を狙ってたのに」「バラキエル様とあんな異国の娘が婚約なんて信じられない」「何かの間違いじゃないの」
…みんな好き勝手言うなぁ。
「ああ、それと…」
バラキエル様はいきなり人前で私を抱きしめた。
「…!?」
「俺はこの通り、ジョウコを溺愛していますので…ジョウコに手を出そうとしたり、傷つけたり…しないでくださいね?」
にっこりと天使のようなお顔で笑って圧をかけるバラキエル様。
好き勝手言っていた人たちはみんな押し黙ってぶるぶる震えている。
そして、今日来てくれた人たちの中には私が助けた貴族の人も多かったらしく…拍手して祝福してくれた。
好き勝手言っていた人たちも遅れて拍手してくれる。
「では皆様、今日のダンスパーティーをお楽しみくださいね」
そしてダンスパーティーが始まった。
「では、一曲お付き合い願えますか?俺の愛しの姫君」
「はい!」
バラキエル様と踊る。
着物だが、自然と身体が動いてキレイに踊れた。
「おお…着物であそこまで優美に踊れるとは」
「くぅっ…バラキエル様に婚約を先越されたのが悔しいっ」
「異国情緒あふれる美人だよなぁ」
「どちらかといえば美少女という雰囲気ですが…」
「東洋の人間は童顔が多いらしいからな」
なんか変に注目を浴びているが、無視。
バラキエル様とのダンスはすごく楽しい。
身体が上手く動いてくれるのもそうだけど、バラキエル様のリードが上手い。
楽しんでいるうちに、一曲終わってしまった。
その後もパーティーを楽しんで、パーティーもお開きに。
帰っていく皆様に挨拶をして、無事にダンスパーティーと婚約発表は終わった。
「お疲れ様、ジョウコ」
「バラキエル様こそお疲れ様です」
「ふふ、俺は楽しかったから疲れてないぞ」
「わ、私もですっ!」
バラキエル様は私の髪を一房とって、キスをした。
「愛おしい人、これで晴れて公式に婚約者となったな」
「はっ、はいっ、でもからかわないでください」
「はは、ごめんごめん」
顔が真っ赤になっているのが自分でもわかる。
本当にバラキエル様ったら意地悪だ。
「送っていく。一緒に行こう」
「は、はい」
そしてバラキエル様に連れられて、家路についた。
「じゃあジョウコ、またな」
「はい、また」
帰っていく馬車に乗ったバラキエル様を見送った。
そうすると、侍従のみんなが出てきた。
「おかえりなさい、主人様!」
「お、おかえりなさい!」
「おかえりなさいませ、ご主人様」
「おかえり、ジョウコ。お疲れ様」
「みんな、ただいま」
手洗いうがいをして居間に戻る。
するとみんなが私に聞いてきた。
「ねえ、ダンスパーティーってどんなだった!?」
「すごく素敵だったよ」
「ば、バラキエル様とのダンスはどうでしたか?」
「うっとりするほどだったよ」
「楽しかったですか?主人様」
「うん、すごく楽しかった!」
「今日はなにも無茶していないな?」
「うん、もちろん!」
「ならいい」
ということでその後遅めの夕食を取って、シャワーを浴びて、みんなにおやすみなさいしてベッドに潜り込んだ。
『今日のダンスパーティー、すごく素敵でしたよ』
それはなによりです…天の声さんありがとう。
おやすみなさい。
「おやすみなさい」
その日は夢すら見ずに爆睡できた。
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