家の色々は神様のおかげらしい
「ねえ、フェルくん」
「はい、主人様」
「家のガスコンロとか水洗トイレとか電気って、どうなってるかわかる?」
ずっと疑問に思っていたことを魔法が得意なフェルくんに聞いてみる。
「はい、これは神様の加護によって動いています」
「…神様の加護?」
「はい!さすがは主人様ですね」
ニコニコ笑うフェルくん。
ちょっと待って。
神様の加護ってなんぞや?
『神の加護。貴女様には…正確にはこの家には、この世界の神の加護がついています』
また謎の天の声。
あなたは誰ですか?
『面倒なので秘密です』
家に加護ってどういうことですか?
『ガスは火の神が、水回りは水の神が、電気は雷の神が加護を与えています。また土の神が家の維持のための加護を担っています。他の神々は、貴女様のこの家ごとの転移を担いました』
…それはまた大層な。
なんのために私を?
『面白そうだから、だそうです』
また酷い理由で呼ばれてしまった。
世界を救うとかのご大層な理由は?
『ありません。貴女様は、面白いものを神々に見せてくださることのみを期待されています』
わぁ、これは酷い。
『ちなみに、ガス、水回り、電気、家そのものは加護により守られていますが石鹸やら日用品やらは補充されませんのでご自身で調達をお願いします』
ああ、はいはい。
それはわかっておりますとも。
…あ、そういえばボディーソープやシャンプー、洗顔料やハンドソープが軒並み全部、そろそろ補充が必要だ。
しかしこの世界の石鹸はあんまり質が良くない。
むむむ…これは…。
「ねえねえ、フェルくん、ミカくん、イオくん」
「はい、なんですか?主人様」
「どうかしたの?」
「何かありましたか?」
「うん、あのね、うちにあるボディーソープとかシャンプーとか洗顔料とかハンドソープとかってやっぱり普通には買えない?」
私が尋ねればみんな頷いた。
「無理ですね。これだけの質のものは普通には売っていません」
「むしろ、あの、お金持ち向けの商品でも置いてないと思います…」
「錬金術師に頼むしかないかなぁ」
なるほど、錬金術師…今手元にあるお金は四億と四千万と四百万。
もしSランクの奴隷で錬金術師の人を買ったら…五百万だから、四億と三千万と九百万。
…毎回錬金術師に依頼すると依頼料もバカにならないだろうし、やっちゃうか!
「ねえみんな、もう一人錬金術師の奴隷を迎えてもいいかな?」
「主人様がそうしたいならもちろんいいよ!」
「ぼ、僕も賛成です…!」
「主人様のなさることに反対など致しません」
よし、もう一人奴隷をお迎えしよう!