バラキエル様がなんか甘い
「ジョウコ、お疲れ様」
「あれ、バラキエル様。ごきげんようです」
「はい、ごきげんよう。今日も慈善事業に精を出してたのか?」
「はい!頑張りました!」
「そうか、よく頑張ったな」
バラキエル様が頭を撫でてくれる。
なんだか嬉しくなってしまう。
「これから夕飯か?」
「ちょうど今最後の治療が終わったところで、あと一時間したらご飯にしようかと」
「ならちょうどよかった。有名店のケーキを買ってきたんだ。奴隷たちの分も用意した。良かったらみんなで食べてくれ」
「いいんですか!ありがとうございます!」
「頑張っているジョウコへのご褒美だ、気にするな」
微笑んでそんなことを言ってくださるバラキエル様。
バラキエル様がなんか甘い。
前から優しい人だったけど、前にも増して甘い。
「俺の可愛い婚約者さん、あんまり無理はするなよ」
「は、はい!無理はしません!」
「よろしい。じゃあ、俺はジョウコの顔も見れたし満足したから帰る。またな」
「は、はい!バラキエル様もご無理なさらないでくださいね!」
「わかってるよ、ありがとう。もう前みたいに無茶な働き方はしないから安心してくれ」
ということは前は無茶な働き方してたんだ…。
無理させないように、約束取り付けておこう。
「絶対絶対、お約束ですよ」
「わかってる。約束だ」
にこっと天使のように微笑んで帰っていくバラキエル様。
馬車を手を振って見送った後、部屋に戻るとみんながニヤニヤしていた。
「あ、主人様、良かったですね!」
「婚約者とさっそくラブラブじゃーん」
「主人様が幸せそうで、何よりです」
「よかったな、ジョウコ」
「あ、ははは…」
………恥ずかしい!!!
照れてしまって、上手いことが言えない。
照れ笑いが精一杯だ。
バラキエル様はあくまで私に借りを返すためだけに婚約してくださっていて、私も身を守るために婚約した。
けれどバラキエル様は私となら結婚しても良いとこの間言ってくれたし、私もバラキエル様となら結婚したいと思える。
だからまあ…このまま本当に、ラブラブになれたら嬉しいな。




