ダンジョン攻略?マジで言ってんの?
「お願いします!」
「どうかお願いします!」
「何卒!何卒!お願いいたします!」
「えぇー…」
どうしてこうなった。
玄関を開けたらいきなり、異世界の人々から街に急遽できたダンジョンの攻略を頼まれてしまった。
ダンジョンとは自然現象で、突然自然豊かなところにも街中にも出来てしまうらしい。
誰かが攻略しないと魔物がダンジョンの外まで這い出てくるのだとか。
で、力あるダークエルフを従える私にお鉢が回ってきたらしい。
「ど、どうしますか?主人様。あの、ぼ、僕なら主人様を守る結界をダンジョン内でも張り続けられますけど…あの…」
「僕も主人様を守りながらでも戦えるよー」
「俺もいくらでも戦えます、近接戦は得意です」
あー、これ行く流れだぁ…。
「…はい、行きます」
「やったー!初めての戦闘奴隷らしい仕事だぁ!!!」
え、この子達戦闘奴隷なの?そんなつもりで買ったわけじゃないんだけど…まあしょうがないか。
「じゃあ、引き受けてくださるのですか!?」
「ありがとうございます、ありがとうございます!」
「これでモンスターに怯えずに済む…!!!」
まあそんなわけで、街中ダンジョンに挑むことになった。
装備を整える暇もなく、ダンジョンに案内された。
しかし、装備なんていらなかったらしい。
「主人様を守れー!」
ダークエルフであるフェルくんの結界魔法は私を守る鉄壁となった。
「おらおらおらおらー!」
同じくダークエルフであるミカくんの攻撃魔法はダンジョン内の敵すべてを蹴散らす風の刃となり、敵はほとんど残らない。
「せいっ!はっ!」
ミカくんの撃ち漏らした敵は、イオくんが体術で蹴散らした。
鬼かと思うほど強い。この子達。
そしてあっという間に地下深く、ボス部屋まで来てしまった。
ボスも、出てきた瞬間ミカちゃんの風の刃で首を落として即終了。
ダンジョンは無事に攻略済みとなり、姿を消した。
「ダンジョンからお嬢様御一行が出てきたぞ!」
お嬢様御一行って…!
恥ずかしいっ!
「ダンジョンが消えた!やったぞー!」
「おおー!」
「お嬢様ー!」
「せめて条子とお呼びくださーい!!!」
「ジョウコ様万歳ー!ジョウコ様万歳ー!」
余計に恥ずかしいっ!
まあとりあえず、無事帰ってこられただけでも良かったとしましょうかね。
そうそう、ダンジョンで敵が落とした宝石やマジックアイテム、武具などは全部フェルくんが拾ってアイテムボックスという魔法のポケットみたいなものに入れておいてくれた。
あとでセラフィムさんに買取をお願いしようと思っている。買い取ってもらえるかはわからないが。
…が、そんな心配はいらなかったらしい。
「ジョウコ様、ささ、拾ったアイテムの売買のお話をしましょうか」
「は、はい。お願いします」
ということで、セラフィムさんのお店でアイテムを全部売った。
中には珍しいものもあったようで、ダンジョン攻略のお礼も兼ねてと高めに査定もしてもらえて神聖金貨十枚…一千万になった。
これは今後もし街中にまたダンジョンが出現したら、攻略してもいいかもしれない。
「これからもよろしくお願いしますよ、ジョウコ様。やはり貴女と出会えて良かった。うふふふふ。このアイテムは高く売れるぞ…うふふふふふ」
また気味の悪い笑い方をしていらっしゃる…まあいいけどさ。
「じゃあ、私はこれで」
「ジョウコ様。この度は本当に、ありがとうございました。街を守っていただき、このように素晴らしい商品まで…」
「いえいえ、お気になさらず。こちらこそ買い取ってくださってありがとうございました」
フェルくんとミカくん、イオくんはダンジョン攻略が楽しかったらしくその日はご機嫌で、出てきたお夕飯もいつも以上に気合が入っていたのでまあよしとした。
なにより一千万も入ったのは嬉しいしね。
四億と四千万と四百万もあるし、こうやってこれからも資金を増やせるなら、今はまだまだ安泰かな。
しかし考えてみると、初ダンジョンで着物であそこまで動ける私達…いや、フェルくんたちは本当にすごい。
「…ステータスとか見えないのかな?」
『ステータス。ステータスは、ステータスと念じれば出ます』
「…誰!?」
「主人様?ど、どうしました?」
フェルくんが不安そうにこちらを見つめる。
この子達には聞こえてないのか…。
「ううん、なんでもないよ。ありがとう」
そう誤魔化してから、心の中でステータスと念じた。
私のステータスが出た。
【名称】ジョウコ モガミ
【年齢】二十三歳
【レベル】二十
【職業】マスター
【称号】箱入りお嬢様
【スキル】買い物上手 売り物上手 ステータス確認 応援 護られる者
【その他】体力 百
魔力 ゼロ
攻撃力 百
魔法攻撃力 ゼロ
防御力 百+二千
魔法防御 ゼロ+二千
素早さ 百
…防御と魔法防御がおかしな数値出てるのは、多分フェルくんの魔法のおかげだろう。
素の魔力と魔法攻撃力、魔法防御が低いのは異世界からきたからか。
マスターって職業は…まあ、戦闘奴隷たちの主人だからかな?
称号は見なかったことにしよう。
さて、みんなのステータスも見てみるべきだな、これは。